元ヒロイン、モブになる 有生青春
一癖二癖あるキャラクターたちが面白い
ぼんくら陰陽師の鬼嫁 秋田みやび 遠野由来子
北御門皇臥と名乗る、由緒ある陰陽師だという男。
小学校の頃、親の職業を発表する際、「陰陽師」と正直に言って周囲から辛い視線を送られたことで、陰陽師が普通でない職と気づいた。
名字は北御門といかついが、本当の名前は普通。嫁は皇臥と読んでくれるが、母親は本名で呼ぶ。
仕事柄、キラキラネームのほうがやりやすいらしい。陰陽師って、大変。
おまけに、物語では今まで人に譲っていた苦手なことをどんどんやらされている。
養う人が一人増えたからと、鬼嫁は言う。
彼の設定が一つずつ明らかになるにつれて、おもしろいなあと思ってしまう。
悪人になりきれない母も良い性格をしている。
あと、異常なほど知識を吸収したがり、どんどんと覚えていく主人公(嫁)も実は変わっている。
貧乏性設定のせいで、姑の嫌がらせが嫌がらせになりきらなかったりする。
読んでいると、話が飛んでいるような気がすることがあるのだけど、原作小説だとその穴が埋まっているんだろうか。
理由がわからないけど家賃が安すぎるマンション「シャイニングパール」へ越してきた大学生・あけびくんが、管理人へ挨拶に行ったところ「僕を愛してほしい」と唐突にお願いされるところから始まる独特な読切。
どうして家賃が安いかというと、管理人がもっと住人に愛されるにはどうしたらいいかを、一緒に考えたり行動したりしてほしいから。めんどくさい。でも安い。
前作「カラオケ24」は何も考えず笑えたんですが、今作は終始困惑、という感じでした。というか、管理人さんやハスキーなど、キャラの濃さに対して話が短すぎた気がします。あのめんどくささはもっと掘り下げるべき。そしてハスキーをオチに持ってきたのは「!?」って感じだったんですけどそれで余計にもう終わり?感が強くなった気がします。もっと読みたかったです。