心強く、自分を守るは自分。
退職代行、、言葉だけは知っていたものの内容は知らなかった。 余程のメンタルじゃないと務まらないなと思ったのが正直なところで。 ざっくり、主人公のリコもブラック企業に勤めてて、代行の弁護士に声かけてもらって会社を辞めて自分も事務として入る。って流れでスタートします。 絵も迫力あるし、監修している方が、退職代行の弁護士さんとのことでよりリアル感も伝わるのではと思います。 色々と考えさせられる。
辞めたい…けれど辞められない…パワハラ・過重労働・不当賃金・極悪ノルマ…無法地帯のブラック企業から逃れることはできるのか!?闘う女弁護士・不知火と見習い・リコが綴る”仕事”の真意を問う労働譚!「辞める」仕事は逃げじゃない!
朝の唱和、厳しいノルマ、パワハラ、恫喝、休日出勤、飛ぶ同僚……典型的なブラック企業で働く契約社員の水城リコ(25)の退職から始まる物語です。限界を迎えつつあったリコが、「退職代行」を生業とする弁護士・不知火に出逢うことで人生に転機が訪れます。
はたから見れば絶対に辞めた方がいい、と思える状況でも追い詰められた当人はまともな思考力も奪われ、どうやっても抜け出せない状況にあると思わされてしまうのがブラックな環境の恐ろしいところです。そんな時に利用できる「退職代行」というサービスの存在を知っているだけでも人生は大きく変わることでしょう。
「耐えていればいずれ報われるなんて考えは…自分を殺すことになる」
という作中のセリフの通りです。
この作品が面白いと思ったのは、ブラック企業から抜け出したことで開放感・幸福感に満ち溢れたヒロインがかつての自分と同じような苦しみを背負っている人に無自覚的にマウントを取ってしまうシーン。人間の業を感じさせられました。
幕間には、監修を務める実際に退職代行を行っている女性弁護士のコラムもあり、参考になりつつ仕事とは、雇用とはと考えさせられます。
真面目な部分も面白いですが、美人でデキるお姉さんの不知火さんは格好よくて惚れてしまいますし、ゆるふわに見えてバリバリに仕事ができるスーパー事務員の恋川さんなどキャラも立っています。
追い詰められる前に読みたい、あるいは周りに追い詰められていそうな人がいるならその人に差し出したい一冊です。