たまに思い出す短編が収録されています。それが「どうにもならない夜」というタイトルです。ストーリーを完全ネタバレで説明すると、主人公は実家暮らしニートの男で、親の財布から金を盗ってるどうしようもない奴です。祖母の葬式で親戚中に自分のダメさを叱責され、火葬場ではしゃいでる子供達に囲まれながらテレビを観ていた主人公は「もういやだ死んでしまいたい…」と心の中でつぶやきます。翌日新幹線に乗った主人公は昨日テレビで特集されていたテーマパークに行き、マスコットキャラの着ぐるみをナイフで刺そうとしますが、中の人が強かったので未遂で終わります。控え室に連れていかれた主人公に中の人が「世の中にはそういう人間も必要やねん、もうちょっとええ方法見つけてたらよかってんな」と声をかける…という話です。主人公はダメな奴なんだけど普通の人なのでいきなり通り魔になるのは唐突なんだけど、どうにもならない夜は自分にもあるのでなんかリアルなんですよね。