TVアニメ化もされた秀作です
「0戦はやと」は、私が小学生の時に少年キングに連載されていました。当時は「ゼロ戦レッド」や「紫電改のタカ」等の太平洋戦争時の戦闘機の活躍を題材にした作品も多く、懐かしい気持ちになり再読しました。時を隔てた今読み返して見ると、坂井三郎氏の著書「大空のサムライ」や戦争末期に活躍した「三四三海軍航空隊」「厚木(二〇三)海軍航空隊」を参考にしていると感じられる発見も有り、新たに興味をそそられ読み込んでしまいました。漫画ですから荒唐無稽な部分も有りますが、懐古趣味の昭和生まれの方だけでなく、若い人にも楽しめる作品ですので一読あれ。
「紫電改のタカ」をはじめ少年誌の創世記には太平洋戦争のいわゆる“撃墜王”ものが人気であり、本作『0戦はやと』もそのブームを築いた作品です。
嫌味で無能な上官、ニヒルな同基地のライバル、死神的存在の米軍エースパイロット(事情あり)このあたりはテンプレ、終盤は特攻も考慮に入れなければならないなど現実の日本軍同様に追い込まれていきます。
ライバル“一色”、米軍エース“キングサタン”の退場と終盤の物語の結末はかなり駆け足でまとめられています。
これは他の空戦ものと同様で世論の反戦の波に飲み込まれた形と言っていいでしょう。
主人公の死をもって物語は結末を迎えないため、まだ救いのある作品に感じることができるはずです。