古事記から「藤原」を巡る秘史へ #1巻応援

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藤原(中臣)鎌足の息子、史(ふひと)は朝廷で一官吏に甘んじていたが、大海人大王大王(天武天皇)より歴史書の編纂を秘密裏に命じられる。抜群の記憶力で叩き込んだ史文を、彼はある思惑から名を隠して口述する事に。しかし、倭語で筆記する者に正体を隠す為、止む無く女装をする。稗田阿礼と名乗る女装した史を見た筆記者の太安万侶太安万侶は思わず言ってしまう……「愛(うつく)しい」と。

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歴史書とは「古事記古事記」の事。梅原猛の「稗田阿礼=藤原不比等」説に「稗田阿礼女性説」を掛け合わせた感じのストーリーは、様々な秘密や疑問が折り重なった、多様な面白さが詰め込まれている。

女装を巡る秘密と太安万侶のドキドキはコメディとして。分かりやすくコミカルな神話語りは知的好奇心として。神話への思いがけない疑義は政治ミステリーへ……等々。

見所を沢山詰め込みながら、史の「中臣」への疑問は、「藤原」を巡る大きな秘密に向かって静かに、だが大きく進んでいく。

歴史を少し知っている人なら、家名を変えながら1200年もの間続く藤原家の権勢の、理由を知りたいと思うのではないか。始祖・鎌足の後、没落した藤原を再興した、史=不比等の存在にその根本理由があるとしたら……という大きな運命に、記憶力以外は割と真っ当な若者の不比等が今後、どのような心持ちで挑んでいくのか。

また一つ、嘘みたいな本当の様な、不思議に胸躍る歴史ミステリー(エンタメ要素もバッチリ!)が生まれてしまった……。

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