あらすじ

あの男は、「藤原」…と呼ばれていた。「古事記」編纂の最中、養父から自分の出自と真の名を知らされた中臣史。その重さに潰されそうになりながらも、「史」として生きる道を選ぼうとするが…。
ふることふひと(1)

大王の密命を受けたのは、一人の下級役人だった。 時は古代。飛鳥浄御原宮の宮中で働く下級役人・中臣史。その史に、大海人大王から密命がくだる。その命を果たすため、史はいくつかの条件を提示するがーー!?

ふることふひと(2)

あの男は、「藤原」…と呼ばれていた。「古事記」編纂の最中、養父から自分の出自と真の名を知らされた中臣史。その重さに潰されそうになりながらも、「史」として生きる道を選ぼうとするが…。

ふることふひと(3)

時は古代。飛鳥浄御原宮で働く下級役人・中臣史は大海人大王からの密命で極秘裏に「古事記」の編纂を行う。その最中、自らの出自と真の名を知るも、己の道を歩むことを決意するが・・・。

ふることふひと(4)

時は古代。飛鳥浄御原級で働く下級役人・中臣史は、大海人大王からの密命で極秘裏に「古事記」の編纂を行う。その最中、自らの出自と真の名を知るも、「中臣史」として生きることを決意。己の知る史書の欠落を埋めるため、真の「阿禮姫」と再会を果たす。そしてそれは、封印された、兄・定惠との記憶につながるものでもあった――。

ふることふひと(5)

阿禮姫を大嶋のもとへ行かせることになった史。すべては「鎌足の子」である自分から目を背けてきたせい。そう考えた史は、二度と大事なものを手放さずにすむよう、父・鎌足を知り、向き合おうとする。

ふることふひと(6)

人々に正しき道を示すのは、大海の覇者ではない。私の子です。ついに宿禰の正体を知った史。そのことで娼子を傷つけ、自分のしていることが正しいのかと揺らぐ。しかし、安萬侶に「正しさを人に委ねるな」と言われたことで思いを定め、今まで避けていた大嶋とも向き合う決意を固める。

ふることふひと

古事記から「藤原」を巡る秘史へ #1巻応援

ふることふひと 壱村仁 風越洞
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

藤原(中臣)鎌足の息子、史(ふひと)は朝廷で一官吏に甘んじていたが、大海人大王(天武天皇)より歴史書の編纂を秘密裏に命じられる。抜群の記憶力で叩き込んだ史文を、彼はある思惑から名を隠して口述する事に。しかし、倭語で筆記する者に正体を隠す為、止む無く女装をする。稗田阿礼と名乗る女装した史を見た筆記者の太安万侶は思わず言ってしまう……「愛(うつく)しい」と。 ◉◉◉◉◉ 歴史書とは「古事記」の事。梅原猛の「稗田阿礼=藤原不比等」説に「稗田阿礼女性説」を掛け合わせた感じのストーリーは、様々な秘密や疑問が折り重なった、多様な面白さが詰め込まれている。 女装を巡る秘密と太安万侶のドキドキはコメディとして。分かりやすくコミカルな神話語りは知的好奇心として。神話への思いがけない疑義は政治ミステリーへ……等々。 見所を沢山詰め込みながら、史の「中臣」への疑問は、「藤原」を巡る大きな秘密に向かって静かに、だが大きく進んでいく。 歴史を少し知っている人なら、家名を変えながら1200年もの間続く藤原家の権勢の、理由を知りたいと思うのではないか。始祖・鎌足の後、没落した藤原を再興した、史=不比等の存在にその根本理由があるとしたら……という大きな運命に、記憶力以外は割と真っ当な若者の不比等が今後、どのような心持ちで挑んでいくのか。 また一つ、嘘みたいな本当の様な、不思議に胸躍る歴史ミステリー(エンタメ要素もバッチリ!)が生まれてしまった……。