僕はラブソングが歌えない 高井唯人
僕はラブソングが歌えないについて語ろう
あらすじだけ見るとハーレム系のラブコメかなと思うけど、数ページ読んだら気づく不穏な空気。
イケメンエロゲ系転校生vs鈍感ラノベ系主人公という構図と思わせておいて、主人公はただただ領域を侵されていくだけ。
創作物における鈍感だけどモテる男の子は、鈍感なまま女の子達のピンチを救い、自らの気持ちと向き合いメインヒロインと結ばれる
というのが定石だと思うけど、まあこれは現実的なお話ではない。
実際、女の子のことちゃんと見ててマメで手が早いやつはモテる。言葉にすること、行動で示すことって結局強い。
自信なさげなヒロイン達の弱点をうまく見抜いて、言葉巧みにすぐセックスしちゃうのもなんか妙なリアリティがある。
思春期の恋愛なんてご都合主義ラブコメのように上手くはいかず、その後の恋愛観どころか人生観まで狂わせちゃうことってあるよね…と自分の蓋を開きかねない作品だった。
背景が殺風景なところがまた不穏さを煽って上手く出来てるんだなあ…読めば読むほどに発見がある