『誰にとってもどうでもいい人』
顔に張り付いたような彼の笑顔が軽くホラーである。最後がよくわからない。彼はどこへ消えたのか。工場をやめたにしては寮の部屋の布団は敷かれたまま。ノートなどの持ち物も残っている。彼女が勝手に彼の部屋に入っているのは何故なのか。そして極めつけは、彼がノートに書いていた「だれにもなりたくない」という言葉。何故そんなことを書くのか。彼は、彼女の言葉に対して「ひどいこといいますね」と言ったのだから「だれにもなりたくない」とは思っていないはずではないか。
彼の理想郷は何処にあるのか─────!?(第82回新人コミック大賞入選受賞作/月刊!スピリッツ9月号)
読んでくれ!ヤバいから
第82回 青年部門 入選「誰にとってもどうでもいい人」石田和人(31歳・埼玉県)