好きなことを仕事にすればこその
ヤリガイや苦しみもあるだろう。
まして仕事に関わる人それぞれに
立場や考えの違いはあるのだから。
ゲーム製作の現場を舞台にした漫画。
ゲーム製作者でクオリティに拘る天川と
契約条件厳守、とくに納期に拘る星野。
二人の葛藤に更に会社や業界の事情が絡んで
ドラマが進んでいく。
そのドラマはとても面白かった。
だが自分としては同時に
「ああ仕事に関するスタンスは
自分とは結局違う人たちのドラマだな」
とも考えさせられた。
自分としては仕事は「納期を守るのが最優先」
だとは思うので、どちらかというと考え方は星野寄り。
やはり天川にはイラついてしまった。
だが地味だが更にイラついたのは、
元請け?販売会社の責任者の仙水だ。
仙水が映画監督を例にして疑問を提示した
「クリエイターはワガママなほど優秀だという奇妙な価値感」
という言葉や
天川に言った
「お前はパトロン付きの芸術家じゃないんだ」
という言葉。
それらには共感した。
だが全然共感できなかったのは
納期を延ばすことに関して
「みんながちょっとづつ嫌な思いをするだけだから」
といったこの言葉。
そしてこれとほぼ同じ言葉を後に天川も
天川なりの言い回しで使っていた。
そのちょっとづつを自分もしたくないし、
他人にもさせたくないから
普通の人は仕事を頑張るんだよ、と思ってしまった。
勿論、仙水も天川も言いたいことの本質はそのことではなく、
言葉のアヤだったともいえる一言ではある。
それはわかる.
わかるこそ、というか、とどのつまりというか、
クリエイターとして優秀な天川と、
現場と客の間で調整に悩む星野、
管理職として優秀な仙水、
そして普通に現場での下っ端営業仕事が中心の
さして優秀ではない自分とでは
「やっぱり考え方は違うわけだよな」
と思ってしまった。
身につまされた。
そういった、自分とは違うなと考えさせられた点や
イラついたりした点も含めて、
東京トイボックスという漫画は面白かった。
クリエイターたちの魂を揺さぶる熱血ゲーム業界群像劇『東京トイボックス』が、<デジタルリマスター版>として復活! 『東京トイボクシーズ』へと続く起源の物語を、しかと見届けよ!! ※デジタルリマスター版では、当時の生原稿データから電子書籍用にデータをフルリメイク。巻末には、当時の秘蔵ネームを一部収録しております <1巻あらすじ> 東京・秋葉原にある弱小ゲーム制作会社、スタジオG3。代表を務める天川太陽は、「面白いゲーム」を作ることに己の全てを掛ける。東京・大手町の大企業に勤める月山星乃。その仕事ぶりは誰もが認めるバリキャリウーマン。ある日、最悪な出会いを果たした二人だったが、月山は会社からG3再建のために出向を命じられる羽目に――。「売れるゲーム」を求める月山と、ただひたすら「面白いゲーム」を作ろうとする太陽、そして大手ゲーム会社による画策……。働くオトナたちの青春を描く熱血ゲーム業界物語が幕を開ける――!!
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