ショムニの作者さんによるマンガ
元風俗嬢であることをお首も隠さないちひろさんが台風の目のように、弁当屋とその周りへ旋風をもたらす、一話完結で語られる人情物語。 人を恐ろしい勢いで魅了していく、ちひろさん。 風俗嬢であったことを隠していたら、バレたときにアレコレ言われそうだから、隠さないちひろさんの対応はある意味正解だったのかもしれない。 主人公のちひろさんをもっと知りたくなって、前作「ちひろ」も読んだけど、やっぱり、ちひろさんという存在はふわふわしたまま。 いるけど、突然いなくなりそうな人。 でも、老若男女問わず惹かれる魅力を持つ人。 突然、深淵を見たかのような瞳をする人。 ちひろさんがおもしろいので、マンガ「ちひろさん」のおもしろさは増していると思うのだけど、文章力が足りず、一度読んでみて!としか言い表せないのがもどかしい。 ちなみに、2023年2月に映画「ちひろさん」が上映される。 作者とコナリミサトさんとの対談記事を読む限り、原作のちひろさん像から乖離することはなさそうで安心した。
1巻あとがきで「ちひろさんは本当に存在する」的なことが書いてありました。実在の人物ということではなく、こういう人はどこかに必ずいるということだと思いますが、ちひろさんが身近にいたら、すごく影響を受けてしまうような気がします。
ちひろさんは、嫌われることを恐れず、誰に対しても差別をしない。
おかしいと思ったことはおかしいと言い、嫌なことをされたら仕返しする。正直で明るくて仕事もできて、男女問わずモテる。
元風俗嬢だから、家庭に複雑な事情があって、過去に何かしら大変な思いをしてて、人とは違う人生経験をしてて、人生の酸いも甘いも知ってるから、悩みとか相談したらいいアドバイスくれるんじゃないかって思いがちなのはなんとなくわかります。
へんな目で見てくる人、差別的な言動を取る人、不潔なもののように扱う人もいるなかで、最初から「元風俗嬢」を明かして町の中に入っていくちひろさんの覚悟のようなものも見えてきます。
押し付けないけど、強い意志を感じるちひろさんの言葉が、今までなんとなく蔑ろにしてしまっていた感情とか行動を見直すきっかけになると思います。