意外な終わり方をする
一応ギャグ漫画なので幸江に不幸なことが起これば起こるほど面白いんですが、最終的にはそんな幸江が誰よりも幸福な人なんじゃないかと思えるようなどんでん返しがあり、それまでの面白いが感動に変わります。
業田作品で最も有名なのは、映画化もされたこの作品でしょう。実際、私が初めて単行本を買った業田作品も、この『自虐の詩』でした。この作品の触れ込みは、「日本一泣ける4コママンガ」。普通、4コママンガといえばギャグマンガです。泣けるようなストーリーをやりたいのであれば、明らかに普通のコマを割って抑揚を付けられるマンガの方が有利でしょう。どんなものなのか、と気になって手に取りました。正直、最初は面白いと感じなかったのです。絵柄もギャグもあまり肌には合わないな、と。それでも「最後まで読んで欲しい」「終わりまで読めば解る」という大多数の声を信じて最後まで読んだら……
もう、まんまと感銘を受けてしまいましたよね。私のように最初は微妙だと感じる方もいるかもしれませんが、この作品だけは最後まで読み切って下さい。
幸江という名前ながら、ずっと不幸な目に遭い続けた主人公が、最後に至った境地。
幸や不幸はもういい。
どちらにも等しく価値がある。
人生には明らかに意味がある。
映画版の最後でも同じ文言で読まれる手紙は、どんなに辛い境遇にある人の人生をも肯定する比類なき名文です。そして、最後に出て来るこの至高のモノローグ。これらの言の葉は、私の血肉となって長らく心の支えとなっています。
ちゃぶ台がひっくり返ったとしても、幸せになりたいですか?業田良家の日本一泣ける4コマ漫画!単行本初収録を含む愛蔵版、上巻!