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突如として大洪水に襲われ、あらゆる文明は水没。その後、氷河期を迎えて滅びかけた世界――。生き残った少数の人類は、自給自足の生活を強いられている。ダメ人間のユキは、リッカという少女と同居しているが、病弱なリッカはやせ細っていくばかり。彼女に1日3食おいしいものを食べさせてあげたい……クズだけど、ダメだけど、イヤだけど、大事な君のために働かなくては。滅亡寸前の世界で、少女のためにダメ人間が踏ん張る!
2017年春の四季賞を受賞された久野田ショウさんの読み切り作品。
ニートの主人公が同居人である10歳前半の働く女の子の為に七転八倒しながら労働に励むというあらすじです。
氷河期の世界という舞台の中、随所にある登場人物の全然どうでもいい会話のシュールさが際立っています。その中で主人公の労働に対する意識の変化がとても自然に描かれていて、読み終えた後に何とも言えない余韻が残ります。
ふと「日常のありがたみ」や、「働く意味」を考えさせられ、優しい気持ちになれた作品でした。
これまでの2作とは全く違うテーマの作品ですが、明らかにセンスがずば抜けている方なのだと、改めてその才能に脱帽いたしました。いつかこの方の掲載作がまとめて単行本になる日がくればいいと切に願います。