何がなんだかわからないまま、「伝奇SF…なのかな?」などと思いつつ読んでるうちに世界観
(巨人族と小人族の二つに別れている、舞台の国は日本でなく「チャポン」、中央政府と群島自治政府が対立している、そもそも地球じゃないみたくetc…)が徐々に飲み込めていって愉快でした。
国民クイズのようにわかりやすい話ではないし、
これ尼レビュでも指摘されてた点なのですが、
描き下ろし分の4,5巻がやや哲学的・宗教的な色合いが濃く、
画風の変化もあり、もうちょい肩の力を抜いたユーモアが欲しくもあったーーけれども、
加藤先生の抜群の画力で描かれる謎めいた雄大な叙事詩はもう一つの代表作と呼ばれるに相応しい
名作です。2006年のモニツー創刊号から完結に至るまでおよそ9年の労作に拍手を送りたい。
ところで私は飛ぶことで勇気を身につけた気弱な借財囚の挿話が好き。一見奇抜な絵柄や題材に目が行きがちなカトシンは、しかし根底に愛情があるのがいいんだよね。