寡黙で狂暴な男・津島(つしま)の逃亡劇を描いた表題作と他4作品を収録した鬼才・土田世紀の傑作短編集。運送会社のアイドル的存在であった事務員・美智子(みちこ)を強姦した津島(つしま)は、それを知った会社の男達に囲まれて殴られる。しかしその後、バットを持って反撃に転じた津島は、男達を容赦なく痛めつけ、ついには一人を殺してしまう。そして会社のトラックに美智子を乗せて逃亡する津島は……!?
心にしみる名作や衝撃的な問題作など傑作8作品を収録したジョージ秋山珠玉の短編集。愛犬・ジロを可愛がる無邪気な少年・淳(じゅん)は、母親からジロが隠したらしい片方のサンダルを探すように頼まれる。そこでジロにサンダルを探すように命じた淳だったが、ジロはなぜかドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」を持ってきて……!?
年老いた漁師・サンチャゴは、長い不漁に見舞われていた。ある日、サンチャゴは大物を求め遠い海へとひとり小舟を漕ぎ出した。やがて、彼の仕掛けた餌に、目にしたこともないほどの巨大なカジキマグロが食らいついた──。アーネスト・ヘミングウェイによる海洋小説の傑作を六田登が漫画化。
舞台は幕末の江戸。神田お玉が池の呉服問屋の跡取り息子・咲太郎は、正義感が強いのだが単純でおっちょこちょいの男。学問所へ様々な仲間と通っているが、なぜか一人だけ西洋風の頭に西洋風の着物。そんな咲太郎が仲間や女の子と花のお江戸を天真爛漫に生きる。また、千葉周作道場の師範代をしている大物・坂本竜馬との付き合いを通じて男の人生を学ぶ。人間の本質に鋭く迫るヒューマンドラマ。ジョージ秋山が描く痛快時代劇!
セックスといえばガマガエルの交尾を連想するような歪んだセックス観を幼少時に植え付けられた青年・聖(せい)の苦悩と愛欲の日々を描いた青春ストーリー。ある日、年上の少年達からセックスについて教えられた子供の聖は、自分の母親はそんな事を絶対しないと言い張る。しかし深夜に目が覚めた聖は、セックスしている母親を目の当たりにして深いショックを……!?
徳富蘆花の小説「不如帰」を原作にした、明治時代の女性・浪子(なみこ)の美しくも悲しい恋愛を描いた感動のラブストーリー。陸軍中将片岡(かたおか)子爵の娘・浪子は、幼くして実母を亡くし、その一年後にやってきた継母・繁子(しげこ)から冷たい仕打ちを受ける。そして18歳になった浪子は、運命を感じた男爵・川島武男(かわしま・たけお)と結婚するのだが……!?
1983年5月26日。絶好の釣り日和りの男鹿半島へとやって来た杉村真。だが…釣りに夢中の杉村を、突然の地震が襲った!前代未聞の大津波に巻き込まれてしまうが、九死に一生を得た。死者26人、行方不明者64人もの被害をだした大地震と津波…。杉村は、実態調査をすることを決意するが、調査や取材を重ねる内に、釣り人や沿岸住民が、いかに津波に対して無防備だったかを知ることになる…。
主人公・仲井貴一郎は、偶然再会した同級生・藤田日和の兄で歌舞伎役者の立河染太郎の妻の代役を務めることになった。歌舞伎の世界に魅せられた貴一郎は、歌舞伎役者への道を踏み出していく。
学校のアイドルである理事長の娘との恋愛を描いた「ふたばの恋」、アイドルになった同級生と恋に落ちる「同級生」、突然現れた娘を名乗る少女との生活を描いた「リボンとグラサン」など8編の短編を収録。
自らを「銭豚」と呼ぶ金貸し、蒲郡風太郎。彼のもう一つの物語。蒲郡風太郎から借金をした男の娘、理江。理江は父を助けるつもりで風太郎の愛人になる道を選ぶが、父は自殺する。残された理江は、風太郎の金5000万を盗み、放浪の旅にでる。旅の中で彼女が見る世界とは……。あの問題作「銭ゲバ」アナザーストーリー!!
代々、遊郭を営んできた神能(かんのう)家は、今では吉原、川崎、堀之内などで十数軒のソープ店チェーンを経営するようになった。だが、多様化する風俗業界のあおりで、経営がピンチに!そこで、神能家の跡取りである数馬に、家業を手伝う前に旅に出るようにという指令が出た。SEXの武者修行だ!!「やる気まんまん」シリーズ名物の数馬「大将」と「オットセイ」の全国ちん道中記のご開帳!!
死んでいた朝に海鳴りが哭くいのちの渚を行く女涙はとうに捨てました怨流の道を行く女心はとうに捨てました──小池一夫と上村一夫による『修羅雪姫』から二十数年。上村一夫の急逝により新作が望めなくなってからも作品は愛され、海外へも影響を与えてきました。そして、池上遼一も、この作品に魅了された一人でした。「雪を描きたい」という絵師・池上遼一の想いが、小池一夫に新作『修羅雪姫外伝』を書かせたのです。
将軍家や大名直参たちも見守る中、八丁河岸で行われた拝一刀(おがみいっとう)と柳生烈堂との果たし合い。壮絶な血戦は相討ちに終わり、人々は父の前に立ちつくす幼子・大五郎に哀れを感じながらも、誰ひとり遺体を葬ろうともせず去っていく。やがて、暗闇の中で力尽きて倒れた大五郎の前に、ひとりの武士が通りかかり…。父の屍体の側に立ちつくしていた大五郎が示現流始祖・東郷重位と出会い、再び歩き始めた――時代劇画史に残る名作『子連れ狼』新シリーズ!!
矢口先生が災害を元にして描いたものとしては、三毛別羆事件の『羆風』が有名だと思うが、こちらも壮絶だった。 当時の新聞や写真、聞き取りによる実体験に脚色を加えたドキュメンタリーになっており、単に分かりやすいとか読みやすいというだけでない、語り手としての力を持った作品になっている。