むすばるやけあと
あらすじ
昭和20年、上野──。終戦直後の焼け跡で、全てを失った者達の魂が爆ぜる。自分以外の家族を失った戦争孤児・兼吉は、絶望の中でもがき続ける。だが謎の青年・金井田との出会いが、少年の心を解きほぐし…? 「ALL OUT!!」「ここは今から倫理です」で、今最も注目を集める気鋭の作家・雨瀬シオリの最新作、満を持して登場!!
ろまんす
あらすじ
明治17年岡山県にある造り酒屋の一人息子として生を受けた吾郎は、幼い頃から絵の世界に魅かれる。16歳の時、父親の不始末により一家は夜逃げに追い込まれ、吾郎は一人東京へ発つ。華やかな都会で愛に迷い、自由を求め、芸術を模索する…激動の芸術ロマン伝説!!
ふろーら
あらすじ
20世紀初頭のフランス。父の世話に忙しく、気づいたら行き遅れ寸前のフローラ。弟や周りの心配をよそに、本人は自覚も焦りもなし。そんな彼女に気になる男性が現れて…!? ちょっと昔のフランスで綴られるアラサー独身女性の恋活コメディ!?
個人的に2018年中でもトップ10に入るほど好きな作品です。 『ALL OUT!!』や『ここは今から倫理です。』でお馴染みの雨瀬シオリ先生。全部タイプの違う作品でありながら、全部が高水準で面白いのですから最高です。 この『結ばる焼け跡』は、戦争の良い悪いは別として第二次世界大戦直後の日本に生きる人々の心持ちは一体どのようなものだったのか、という所に焦点を当てて描かれた人間ドラマです。 食べる物も乏しく、今日を生きるのに命懸け。衣食足りて礼節を知るのであれば、逆もまた然り。ただ、そんな過酷な時代であっても、現代から見ても尊い人間の営みというものも同時に存在する。人の世の何とも言えない無情さ、愛おしさが綯い交ぜになって去来する、極めて文学的な読後感の物語となっています。 これはこれで続きをもっと見たいのですが、『ALL OUT!!』も『倫理』も読みたいし……もう雨瀬シオリさんは5人くらいに分裂して頂けないでしょうか、と無茶な想いに駆られるほどに素晴らしい作品です。