にちようびにうまれたこども
あらすじ
ダーラム家の主ローランドの恋人は、父の跡を継いだ若き執事エリックだ。けれど、ふたりの間には厳然たる身分の差異が存在しており……。階上と階下、主と執事の恋を描いた表題作を始め、厳しい自然に暮らす森の住人、かつての教師と生徒の秘密、そして少女たちの密やかな時間を綴った紺野キタの珠玉の作品集!
きみはてんしのて
あらすじ
サイコメトリー能力をもつセラピスト・司鎖深一は、ある日、歌人・暁生香聖から依頼を受ける。それは香聖の甥・千里の「人間らしい感情を取り戻す」というものだった──。複雑に絡み合う人間模様が織りなす、サイコメトライズラブ・ロマンス。
りゅうせいえこー
あらすじ
少年たちは追い求める全てを燃やす。流星の彼方を目指して――。シンはガラクタが集まる街に赤ん坊の頃に捨てられ、ゴミを売って生きてきた。イヤな事がある度にシンはカイの元へ向かい、憂さをはらし、時には体を求めあってきた。やがてふたりはシンの育ての親の死をきっかけに共に街を出ることに……。一方、ある人物を探し、旅をするジェイと志郎。ふたりの目的は、その人物を組織へ連れ戻すことだった……。流星の彼方を目指して旅立った少年たちの運命は……。
はちうえのじゅうにん
あらすじ
鉢植えを買ったら、妖精がついてきた──!? 男同士じゃ幸せになれない、そう言って別れた恋人・一謙の言葉に傷ついている智久の前に、ガジュマルの妖精・カイトが現れ、「俺を大事にするならあんたを絶対裏切らない」と告げる。でも、智久は一謙のことをふっきることができない。一方、一謙も自分から別れを切り出したくせに智久のことが気になってしかたがなくて…… 表題作ほか、恋に迷う青年たちを描いた『砂漠の井戸』を含む古街キッカ作品集登場!
あおのやみぎんのゆめ
あらすじ
キープは300年もの間、吸血鬼・ミッドナイトを狩るため生きてきた。死闘の末、ミッドナイトを倒したはずだったのだが、完全に狩ることができなかった。一方、対の吸血鬼を失ったグッドラックは、かつて対であったエンドレスとそっくりの吸血鬼に会うのだが…!?
くれないのやみしろのかげ
あらすじ
吸血鬼・エンドレスは400年目に16歳の少年・怜を仲間にするため『抱擁』を行う。だが、エンドレスは『目覚め』を強引に行い、怜は吸血鬼として不完全なまま、エンドレスの血でなければ生命を維持できない。一方、エンドレスの血は太陽の光によって汚れてしまい…
せかいはふたりのためじゃない
あらすじ
どう見てもゲイカップルのアレックスとエステル。ふたりは、実は由緒正しき吸血鬼一族最後の生き残りだった――!吸血鬼も、人間も、殺人犯も、子供も、魔女も、恋した途端、ロマンチストに大変身!?神楽坂はん子の不思議恋愛世界へようこそ。
あくまではにー
あらすじ
男なら誰もが一度は夢見る、ちょっとエッチな押しかけ悪魔、契約の証はあま~いキッス☆のはずが、高校生の大村嵩人の前に現れたのは、ネル。男の悪魔で、そのうえオタクだったから大変!!熱く萌えを語るネルだけど、なにか秘密があるようで……最初はうんざりしていた嵩人だったけど、いつのまにかネルの魅力(!?)になんだか恋の気配が!!?
もふくのでぃなーぱーてぃ
あらすじ
「ベッドの上ならずっと口が軽くなるかもな?」一日に二度だけ陸と繋がる火影島に、兄の死の真相を探りにやってきた双子の鳴と如は、火影島の持ち主であり五十嶺家の当主でもある柾嗣に、たとえ体を使ってでも取り入るつもりだった。館に着いた夜、如はいきなり見知らぬ男からキスされてしまい!?無理やりで始まった如と柾嗣だったが……
すてねこのいえ
あらすじ
ひとりで孤独に生きてきた吸血鬼のエドは、ある日、気まぐれから捨て子の少年フィルを拾い、以来一緒に暮らしている。好きだと言い、無邪気になついてくるフィル。そんなフィルにエドは欲情し、戸惑う。この気持ちは……長い間忘れていた感情に支配されたエドは、フィルにくちづけるのだが…
ろすとぼーいず
あらすじ
「お父さん見つけ──」ある夜突然現れた少年エアに連れられて瑞季は子どもの王国ネバーランドで暮らすことに。元の世界に戻ろうとする瑞季だったが、普段は強気で意地っ張りのエアの不器用な寂しさに触れるうちにいつしか惹かれはじめて…!?
はりのかたなとごきのふね
あらすじ
身体が人の手のひらに乗るほどしかない兵九郎は月の光の下では人並みの大きさになれる。それゆえに祟りの子と噂されてきた。兵九郎は噂を覆すべく里を出て都にのぼり、京の貴族・琴平の守護役となることに成功した。琴平を踏み台に出世をもくろむ兵九郎だったが、何かといい加減な琴平に不安を覚える。しかし、琴平はどうも喰えない感じのする男で…。
ようろくけいにみなみむき
あらすじ
引っ越したら、隣は昔の男の部屋だった。最悪だっ!ケンカ別れして2年、ケータイのメモリーだって消してあったのに、こんな偶然ありなのか?春夏秋冬。若者たちの恋が始まる!
よくBL作品を見て思うのが、「ボーイズ」ラブと言いつつ出て来るのはおっさんが多いなぁ、という事。その事をBL愛好家がどう思うのかは聞いてみたい所なのですが、ことこの短編集では、出て来る三つの関係性に必ず「少年時代」が描かれていて、おっさんを描きつつ「ボーイズ」を名乗る事に説得力があります。 子供の頃に出会っていたり、救われたりという記憶を持ち続けた人の強い囚われは、信頼から恋心へ、必然として変わっていく。男性同士の恋愛感情が分からない私にも、自然に共感出来る感情が、そこにはあります。 そしてその中に一編だけ、百合作品があります。強引に親密さを築く様子は、他の作品とかなり違いますが、無垢な人に「刷り込み」をする点は共通しています。あり得なかった関係性を何とか繋ぐ、強い想いに目眩がします。 百合姫作品がBLの中に入っているというだけでも、珍しい作品集なのでは?無垢な信頼が強い愛着に変わる物語を、繰り返し読める作品集です。