DAN DOH(ダンドー)!! 〔新装版〕

心にいつもニコボール

DAN DOH(ダンドー)!! 〔新装版〕 坂田信弘 万乗大智
ひさぴよ
ひさぴよ

90年代の少年サンデーで連載していたゴルフ漫画。小さな少年・青葉弾道(通称ダンドー)がド素人の状態からゴルフを始めて成長していく物語です。ゴルフにそれほど詳しくなくても楽しめる作品です。 子供の頃に読んだ時は気付きませんでしたが、原作は風の大地の坂田信弘先生だったんですよね。今にして読むと坂田ゴルフ塾の教えが随所に散りばめられているのが分かります。 ダンドーという主人公は、ある意味、坂田先生の理想の少年像ともいうべき存在かもしれません。 誰よりも他人への思いやりがあり、健気なまでに努力家で、窮地に陥っても絶対に諦めず笑顔を絶やさない。その象徴として、ボールに笑顔を書いた「ニコボール」という存在があります。 試合では対戦相手の嫌がらせを受けたりして、毎度ピンチに陥るんですけど笑、このニコボールに思いを乗せたスマイルショット(ウルトラスーパーショット)を繰り出すのです。 たとえ非現実的なショットであっても、ニコボールという特別な想いの力で納得させてくれるのが最高ですね。こういう所が漫画の素晴らしいところだなあと思うのです。 また、ダンドーと同じくらい魅力的なプレイヤーとの出会いもあります。ダンドーの最初の師匠、新庄さんをはじめ、兄貴的存在の拓さんも忘れられません。拓さんのキャディーをダンドーが務めた全日空オープン編は、何度読んでも感動してしまいます。それと実在のゴルフ界のレジェンド、帝王ジャックニクラウスも登場し、ゴルフの奥深さを見事に示してくれます。 ご都合主義的なところもある漫画でしたけど、最後はダンドーの純粋さが全てをひっくり返してしまうパワーがあって何だかんだ好きな漫画でした。

JINBA

100年後にバズる漫画

JINBA 浦田カズヒロ
野愛
野愛

100日後に打ち切られる漫画家を読んでから妙に感情移入してしまい、どんな作品を描いていたのかと思ったらケンタウロス競馬漫画。 ケンタウロス競馬漫画というパワーワードよ。どういうことなの? しかもJINBAの前にもケンタウロスギャグ漫画を描いていると知り、そのケンタウロスに対する執念にちょっとゾクゾクした。 100日後を先に読むか後に読むかで感想変わるかもしれない。 ケンタウロス競馬漫画というとてつもないインパクトに受け身が取りきれないまま割とちゃんとしたスポーツ青春ストーリーがはじまり、どこまでがギャグでどこまでがガチなのかわからないまま2巻まで読み終えた。 この漫画について教えてもらったときに読んだ「あっというまに掲載位置が下がっていた」というコメントや100日後のカエル先生の苦悩が頭を過り、救いを求めながら3巻を読んだ。 純粋に作品を批評する土俵に立たないまま、ハイテンションかつ猛スピードで展開されていくストーリーをただ追いかけた。 時代が追いついていなかったんだ。 良いとか悪いとかではなく、凄い作品に出会えたような気はしてます。いつか時代が追いついて、ケンタウロスが競馬に出る日が来たらこの漫画は歴史的な作品になるはず。 追いつける日を楽しみにしています。

フリクションガール

マネ厳禁!学校の壁を登る女子に出会った!

フリクションガール noga
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

一人暗く過ごしていた新高校一年生・うーちゃんは、妙な光景に出会う。え…… 誰かが非常階段を、 「外から」よじ登ってる! (注:絶対マネしないでね!) 何やってるの!と思わず声をかけたうーちゃん、登っていた女子・ギャオに誘われ、あれよあれよとボルダリングに挑戦することに。 今までピアノに打ち込んできたうーちゃん。受験に失敗し、失意の中で「指が駄目になる」覚悟で挑んだボルダリング。ギャオの喜ぶ顔を見て、もっとやってみたくなる。……「サイコーになる」って、どんなだろう? ★★★★★ この作品、ボルダリングの「魅力」の取り上げ方が、独特だ。 まず、ギャオが登る場所。学校の非常階段を外から攻略、岩を見ればマリア様の上もお構いなし、そして荘厳なステンドグラス窓も、彼女には攻略対象でしかない。 全ての壁が……自然であれ人工であれ……攻略対象なのだろうが、ギャオの場合、かなり無謀で、挑戦的だ。日常の風景の中に、まるで未踏の地を進む冒険家のようなときめきを見出している。 我々は、真似してはいけない。鍛え抜かれたギャオの挑戦の日々を、この作品で眩しく見つめるだけにしよう。 それから、途中から参加のマミちゃんの、ダイエットやインスタ映えという視点も、ああ確かに大事だよね、と思わされる。(ダイエットきっかけでボルダリングする漫画として『ぽちゃクライム!』もご覧下さい!) ★★★★★ 取り敢えず、ギャオとマミちゃんと遊ぶのが楽しい、から始まる、うーちゃんのボルダリング。 ここでカバーを見返してほしい。 物語最初の暗い表情とも、最後の柔らかな笑顔とも違う表情。いつの日かこれを見るのが、きっとこの作品の到達点なのだろう。うーちゃん変われるか!? あと、部活とかって……?

BREAK BACK

超エゴイストな元世界7位のプロ選手が主人公…!!

BREAK BACK KASA
たか
たか

偶然作者のツイートを見て読んでみた作品。 怪我で引退した元世界ランキング7位の女子プロテニスプレーヤー・上條は、試合で強敵を前にした恐怖と高揚が忘れられずギャンブルにのめり込む。1億の借金を背負うが、ある人物に無名の高校を全国優勝させたら借金をチャラにすると言われ指導者になるというあらすじ。 https://twitter.com/KASA_TENIS/status/985751371113623554?s=20 とにかく面白いのが、この主人公・上條の傍若無人ぶり! 初対面の高校生を躊躇なく相手を殴り「お前」と呼び捨て、理論的な説明を求められたら「天才だから無理」と理不尽に却下する。 …どこかの女子高生天才小説家ばりに傲岸不遜。 さらに初めての練習試合でボロ負けしたときは、無言でとっとと帰宅し、その翌日には 「テニスの天才美少女と世間を騒がし…小中高と全て日本一…全日本選手権も最年少優勝…そんな私の輝かしい経歴に昨日」 「お前らが泥を塗った」 …と言ってのける。そこに痺れる憧れる…! まだ1巻を読んだ時ところなので、正直「うわなんだこいつ」感は否めないが、彼女のふるまいは世界ランク7位という充分実力に裏打ちされたもののはず。 今一番続きの気になるスポーツ漫画です…!