JINBA

100年後にバズる漫画

JINBA 浦田カズヒロ
野愛
野愛

100日後に打ち切られる漫画家を読んでから妙に感情移入してしまい、どんな作品を描いていたのかと思ったらケンタウロス競馬漫画。 ケンタウロス競馬漫画というパワーワードよ。どういうことなの? しかもJINBAの前にもケンタウロスギャグ漫画を描いていると知り、そのケンタウロスに対する執念にちょっとゾクゾクした。 100日後を先に読むか後に読むかで感想変わるかもしれない。 ケンタウロス競馬漫画というとてつもないインパクトに受け身が取りきれないまま割とちゃんとしたスポーツ青春ストーリーがはじまり、どこまでがギャグでどこまでがガチなのかわからないまま2巻まで読み終えた。 この漫画について教えてもらったときに読んだ「あっというまに掲載位置が下がっていた」というコメントや100日後のカエル先生の苦悩が頭を過り、救いを求めながら3巻を読んだ。 純粋に作品を批評する土俵に立たないまま、ハイテンションかつ猛スピードで展開されていくストーリーをただ追いかけた。 時代が追いついていなかったんだ。 良いとか悪いとかではなく、凄い作品に出会えたような気はしてます。いつか時代が追いついて、ケンタウロスが競馬に出る日が来たらこの漫画は歴史的な作品になるはず。 追いつける日を楽しみにしています。

フリクションガール

マネ厳禁!学校の壁を登る女子に出会った!

フリクションガール noga
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ

一人暗く過ごしていた新高校一年生・うーちゃんは、妙な光景に出会う。え…… 誰かが非常階段を、 「外から」よじ登ってる! (注:絶対マネしないでね!) 何やってるの!と思わず声をかけたうーちゃん、登っていた女子・ギャオに誘われ、あれよあれよとボルダリングに挑戦することに。 今までピアノに打ち込んできたうーちゃん。受験に失敗し、失意の中で「指が駄目になる」覚悟で挑んだボルダリング。ギャオの喜ぶ顔を見て、もっとやってみたくなる。……「サイコーになる」って、どんなだろう? ★★★★★ この作品、ボルダリングの「魅力」の取り上げ方が、独特だ。 まず、ギャオが登る場所。学校の非常階段を外から攻略、岩を見ればマリア様の上もお構いなし、そして荘厳なステンドグラス窓も、彼女には攻略対象でしかない。 全ての壁が……自然であれ人工であれ……攻略対象なのだろうが、ギャオの場合、かなり無謀で、挑戦的だ。日常の風景の中に、まるで未踏の地を進む冒険家のようなときめきを見出している。 我々は、真似してはいけない。鍛え抜かれたギャオの挑戦の日々を、この作品で眩しく見つめるだけにしよう。 それから、途中から参加のマミちゃんの、ダイエットやインスタ映えという視点も、ああ確かに大事だよね、と思わされる。(ダイエットきっかけでボルダリングする漫画として『ぽちゃクライム!』もご覧下さい!) ★★★★★ 取り敢えず、ギャオとマミちゃんと遊ぶのが楽しい、から始まる、うーちゃんのボルダリング。 ここでカバーを見返してほしい。 物語最初の暗い表情とも、最後の柔らかな笑顔とも違う表情。いつの日かこれを見るのが、きっとこの作品の到達点なのだろう。うーちゃん変われるか!? あと、部活とかって……?

BREAK BACK

超エゴイストな元世界7位のプロ選手が主人公…!!

BREAK BACK KASA
たか
たか

偶然作者のツイートを見て読んでみた作品。 怪我で引退した元世界ランキング7位の女子プロテニスプレーヤー・上條は、試合で強敵を前にした恐怖と高揚が忘れられずギャンブルにのめり込む。1億の借金を背負うが、ある人物に無名の高校を全国優勝させたら借金をチャラにすると言われ指導者になるというあらすじ。 https://twitter.com/KASA_TENIS/status/985751371113623554?s=20 とにかく面白いのが、この主人公・上條の傍若無人ぶり! 初対面の高校生を躊躇なく相手を殴り「お前」と呼び捨て、理論的な説明を求められたら「天才だから無理」と理不尽に却下する。 …どこかの女子高生天才小説家ばりに傲岸不遜。 さらに初めての練習試合でボロ負けしたときは、無言でとっとと帰宅し、その翌日には 「テニスの天才美少女と世間を騒がし…小中高と全て日本一…全日本選手権も最年少優勝…そんな私の輝かしい経歴に昨日」 「お前らが泥を塗った」 …と言ってのける。そこに痺れる憧れる…! まだ1巻を読んだ時ところなので、正直「うわなんだこいつ」感は否めないが、彼女のふるまいは世界ランク7位という充分実力に裏打ちされたもののはず。 今一番続きの気になるスポーツ漫画です…!

シャンペン・シャワー

友情努力勝利プラスαすぎる昭和の名作

シャンペン・シャワー かわみなみ
野愛
野愛

少女漫画もスポーツ漫画も滅多に読まないけど、この2つが合わさって更にギャグ漫画要素も入るとこんなに面白いのかとびっくり! 少女漫画でサッカーを取り扱った作品て現在に至るまでどれくらいあるのでしょう。好きな男の子がサッカー部とかそういうのは多いかもしれないけど珍しいのでは? しかもわたしが生まれる前に連載されていた作品で、Jリーグ発足前らしいのでまたもやびっくり。ガチのサッカー好きだから描けた漫画なんだなあ…。 だからこそ、サッカー好き以外の人も楽しく読める漫画だと思います! ジャングルで育ったバナナばっかり食べてる野生児アドルと、彼を取り巻く変人だらけの仲間たちがてんやわんやサッカーしたりサッカー以外のことをしたりとにかく楽しい! 変人だらけだけど絵は昭和のキラキラこってり少女漫画なので、アクが強いのに美しくて絶妙なんですね。アドルめっちゃ可愛いし。 サッカー漫画とかアニメって試合の描写が超次元なものが多いけど、こちらの作品はだいぶまともと言うかしっかり描かれているのではないかなと思います。 後半になると結構超次元サッカーだし、男塾みたいな修行もしてるけども…それもまた一興。 友情努力勝利にプラスしてギャグと美が加わってるんだから最強です。2chコピペのトッティもこのチームなら常識人かもしれない…という世界観をぜひ味わって!!

僕×スター

異色のボクシング漫画?

僕×スター 肥谷圭介
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

『ギャングース』『マーダーボール』の肥谷圭介先生新作! ある程度は読まないと何の話か分からなそうだけど、最初のカラーページとタイトルからしてきっとボクサー漫画に違いない!“巨弾拳闘新連載”だからきっとそう! けど、異色!始まり方はあまりに異色! いじめられっ子と思われる高校生が駅で不良に絡まれるかわいい女子高生を助けるよう命じられヤバそうな奴らから助けようとするが・・。 主人公の力は果たしてラッキーなのか?それともセンスの塊なのか!? いつボクシングをやってくれるのか!? 基本的に逃げてるだけにしか見えないが・・? 話がどう転がっていくか既存のボクシング漫画と違いすぎてずっとワクワクしながら読めちゃう! 何をやってもうまく行かないこんな世の中で、平凡で友達もいなく才能もなく兄は引きこもりでどうしようもない毎日を過ごしていると思っている彼にはおそらくボクシングの才能があるのだ、それもとびっきりの! このなかなか分かりやすくは才能を自覚させない焦らしてくれる展開がたまらない。 普通は1話目で自覚してスタート切りますもんね。 普通は、主人公が不良だったり強さに憧れだったりがあったりしますもんね。 それがないんだなー。いいなあ。 代わりに、主人公のずば抜けたしぶとさと図太い根性を提示してくれる。 物理的に「戦う」ことが日常にほとんどなくなってきた社会だからこそ、戦う状況が起きる必然を話の流れで持ってきてくれているので、すごく違和感ないのと、戦いが単純な肉体の暴力だけじゃないというのも魅力。 現代的な武器としてSNSを使うのがいぇーいという感じ! ラッキーパンチなのかそうではないのか、見る人が見れば分かる! 血が沸く!肉が踊る! これからの展開が楽しみすぎます。 タイトルは『僕xスター』 僕がスターダムにのし上がる話でしょうきっと! スペルが「BOXSTER」なので、誰が見ても分かるように、X(エックス)はカケルの記号としても使われていて、「僕」と、星のスター「STAR」とボクサー「BOXER」を混ぜた造語でまたいいタイトルですねー。 順調に行けば2020年2月末に発売かも?とのこと! https://twitter.com/hiyagoose/status/1206424738320408576?s=20

俺のプロレスネタ、誰も食いつかないんだが。

まだ見ぬプロレスファンの貴方へ

俺のプロレスネタ、誰も食いつかないんだが。 さかなこうじ 柴田惣一
野愛
野愛

2000年代において90年代のプロレスメインで漫画にするというのがなんとも心憎いですね…。 白黒テレビで家族揃ってプロレスを見ていた時代が終わり、メジャー団体だけではなくインディー団体が生まれ、冬の時代を迎えながらも細分化され現代のプロレスに繋がっていく…そのいちばん美味しくていちばん学んでおきたいところを掻い摘んで知ることができるのであります。 とは言ってもプロレス好きな人なら履修はしてあるかな?という話題が多いとは思います。逆に言うとこの辺おさえとけばなんとなく今に繋がる流れがわかるってことなのかもしれません。 まあそんなことはさておき根本にあるのは「人の好きを笑うな」ということだと思う。 この漫画をプロレスファン以外のひとが読むことは滅多にないでしょう。でも、もしプロレスファンじゃないひとがこの感想を読んでこの漫画を読むことがあるならば(ないと思うけど)伝えたいことがあります。 誰に笑われても、誰に否定されても、どうかその好きに誇りを持ってほしい。 ニワカでも詳しくなくてもいいんだよ!あなたの好きがコンテンツを支えるんだよ! わたしの好きなプロレス団体の代表は常々「プロレスをメジャースポーツにする」と謳っています。今存在する全てのコンテンツが、新規に伝えることを辞めてしまったら衰退するばかりなのです。 ニワカであることを誇れ!古参はニワカを愛せ! たまちゃんをニワカだと批判するキャラクターが途中登場しますが、これは全てのヲタクが自分を省みるべきという戒めなのだと思います。知識とか認知とか金額とか(それらはひとつの指標だけど)だけを誇ってはいけないし、他のヲタクを排除してはいけないのです。 愛するコンテンツを守るために愛を広げなければいけないのです。 虎はウザいしたまちゃんはもっと喋れ、女装家レスラーやジェンダーレスレスラーがいるんだからオカマとか安易に言うんじゃない、とか思うところは多々あれど、結局はラストシーンでたまちゃんが虎に発した台詞が全てだと思います。 好きなものは好きと言おうじゃないか。好きなものを好きでい続けようじゃないか。 そして、プロレスをメジャースポーツにしようじゃないか!!!