ケッペキゲーマー

熱量と繊細さが詰まったeスポーツ物語 #1巻応援

ケッペキゲーマー あまの
sogor25
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本作の主人公は極度の潔癖症で5年に渡り引きこもりを続けている黒田公正。 部屋から外に出られないために自分の存在を肯定することができず、そのせいで余計に外に出づらくなっているという悪循環に陥っているような状態で、彼の本棚には「強迫性障害」についての本が並んでいます。 ある日、そんな彼の家にカウンセラーがやってくるのですが、そのカウンセラー・足立は車椅子の少女だったことに黒田は驚きます。 この作品はそんな足立とのカウンセリングの中でゲームを薦められたことをきっかけに黒田が"eスポーツの世界"へと足を踏み入れていく物語です 最近にわかに増え始めている"eスポーツ"をテーマにした作品なのですが、第三者から見える世界と極度の潔癖症である黒田に見えている世界、そして"ゲームの中の世界"が全く異なる描かれ方をしていて、マンガの表現として異質な雰囲気を帯びている作品です。 さらに 、強迫性障害の描写や足立の"普通とは違う"ゲームのプレイの様子など インパクトのある描写が多く見られるのですが、それ以上に、自身の現状をなんとか変えようとする黒田がeスポーツにのめり込んでいく、その過程に強烈な熱量を秘めています。 障害というものを扱っている作品ではあるのですが、それを感じさせないほど 物語にのめり込ませてしまうエネルギーを持っている作品です。 1巻まで読了

オリンピア・キュクロス

オリンピックの意味、そして表現とお金。

オリンピア・キュクロス ヤマザキマリ
nyae
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たぶん、2020年東京オリンピック開催が決まったことがこの連載が始まるきっかけになったと思うんですが、決して「オリンピック万歳!」的な内容ではなく、元は神に捧げる祭事であったところから、いかに経済効果を上げるかが目的となってきたこと、そしてアスリートは「国のために戦い、そして結果を出す」ことが当たり前になっているのは何故か、ということがメッセージのひとつとなってます。 メインのストーリーとしては、古代ギリシャの壺絵師を生業とするオタクの青年が、自分が好きなこと・やりたいことと他人に期待されることの違いに悩み、ひょんなことから様々な時代の日本へタイムスリップし(どっかで見たな)、スポーツをすることの意義やオリンピックのあり方、表現と感動、そして経済を学び、そしてそこで得た知識やアイデアを地元の村の繁栄に役立ててゆきます。 こうあるべきと押し付けるようなものではないですが、今はオリンピックに少し重きを置きすぎというか、お金や勝ち負けよりももっと優先してもいいことってあるんじゃないかな、という作者の願いが、とくにあとがきを読むことで伝わります。 確かに、選手たちはいちいち国を背負いすぎだし、他人に「夢と勇気」を与えることが目的なの変じゃない?君がやりたいからやってるんじゃないの?と個人的にも思います。 (全員がそうじゃないかもですが)好きで、楽しくて始めたはずのスポーツが、いつしか重圧になってしまい、結果を残さなければ存在意義すら失いかねない。 5巻の羽海野チカさんとの対談でもありましたが、世界的なスポーツ大会の舞台に立っている姿を見るだけで「偉い、尊い、優勝!」ってなっても良いはず。どんな結果であろうと選手に文句をつける人はそれなりの権利があるんでしょうね?という話です。 この漫画はまだ続いてますしどういう着地をするかは分かりませんが、オリンピックというものについて色々思うところがある人には読んで欲しいかなと思います。

ぐらんぶる

あぁ、愛すべき男子校のノリ

ぐらんぶる 井上堅二 吉岡公威
六文銭
六文銭

大学生というと、飲んで、おにゃのことイチャコラするかしかないと思っていた時期がありました。 夏は海、冬はスノボ。 間にちょこちょこ何が楽しいのかわからないBBQ。 小生は全くそんなことありませんでしたがね。(血涙) 本作は、そんなルサンチマンを解放してくれるような作品です。 いや、上述のようにキャンパスの女子とラブラブする作品だったら、 紙なら破き、電子書籍ならスマホを叩き割るところなんですが、 本作は違うんです。 形容が正しいか不明ですが、雰囲気でいうと男子校のノリなんです。 それも、コテコテの男子校。モテないほうのやつ。 だから、読んでいて清々しいんです。 飲んだら全裸を中心に、アホなことをこれでもかと全力でする。 性格や行動に裏表がなく、キレイにいうと素直、悪く言うと要領悪い感じが、読んでいていいんですよね。 そうそう、これこれ、と家庭の味のように思ってしまう。 こういうんでいいんだよと。 ダイビング漫画なようですが、あまり海には潜らず、ひたすら飲んで、裸になって、モテない男たちの群像劇が繰り広げられます。 一応ヒロインもいて画力が高いのでひたすら可愛いのですが、性格に一癖あったり、また、そういう雰囲気(恋愛)にならないのも良いです。 また、ギャグ漫画としてもクオリティが高く、ハイテンションでスピード感ある展開が読んでいて飽きないです。 男同士のくだらない日々を愛おしく感じる人がいたら、本作を強くおすすめします。