ばくおん!! 台湾編【電子単行本】

しっかり台湾行きたくなる

ばくおん!! 台湾編 おりもとみまな 太田ぐいや
さいろく
さいろく

箱根~伊豆スカイラインにはバイカーズパラダイスっていう名前のバイク乗りのホットスポットがある。 なんでわざわざそんなところに、という場所にあるのだが、それが盛況なのだ。 バイク乗りってそういうとこで集まっちゃうのです。バカなのです。私もだが。 で、台湾編。 アジアの原付交通事情はよく「カブに4人乗り」とか「めっちゃ多い」とか言われるとおりで、バンコクや北京でもそうだったけどめちゃくちゃ乗り物として普及している。 バイク乗りという意味ではなく、本当にチャリの代わりなのだ。 どうやら台湾もそのようだ、というのを本作で知った。 そして私はタイでは国際免許証でバイクを乗り回して来たので知っている、海外のバイク旅は楽しいのだ。あと意外とめちゃくちゃ安い。移動費自体が日本より物価が安いからっていうのもあるけどめっちゃ安いのだけど、さらに輪をかけて安い。 例えばバンコクで5日貸してくれって言ったとする。その5日で南はパタヤビーチ、北はアユタヤまで(プーケットまではさすがに行けなかった)レンタルバイクで全然いけちゃうのである。 移動費はガソリン代だけみたいなもんなので安いし、何より一回体験したらもういいよと言いたくなるほど酷い未舗装道路なので死の恐怖もうっすら感じながらのツーリングが楽しめる。 5日間レンタルでもせいぜい5000円、安いとこ探せば3000円しないで借りれる。もちろんそんな長距離乗る場合は壊れたら野垂れ死ぬ可能性もあるのでちゃんとしたバイクを借りたほうがいいけど。 というわけで前置きはすごく長くなったけど、台湾編を読み、まさにコレをタイでやったなぁとしみじみ思いつつ、台湾でも出来るんだ!と知らなかったので嬉しい気持ちでいっぱいになった。 何より、ちゃんとツアーガイド的に要所要所で著者が体験したのであろう事柄や見るべき場所を丁寧に解説してくれており(おりもとみまな先生にしては珍しいぐらいまともに)めっちゃいいガイドブックになっている。 続きが待ち遠しいし、早く台湾行きたいぜ。 PCR隔離がなくなったら行ける、みたいに考えてるけど行けるのかなー 韓国とタイは開放し始めたようなので、日本の場合は帰国時に隔離があるのだけどそれがなくなりさえすれば本作と同じ事が本当に出来るであろう。

ゴールデンカムイ

一生、ナコルルに支配されるはずだった僕のアイヌ知識を更新してくれた

ゴールデンカムイ 野田サトル
名無し

僕と同世代でゲームに夢中だった人間は、少しだけアイヌ語を知っているものです。「アムベヤトロ」とか「アンヌムツベ」とか、意味は全くわからなくてもなんとなく言えてしまうのは、格闘ゲーム『サムライスピリッツ』の美少女・ナコルルのおかげなのです。このままでは一生、ナコルルに支配されるはずだった僕のアイヌ知識を更新してくれたのが『ゴールデンカムイ』です。  『ゴールデンカムイ』の舞台は日露戦争直後の北海道。主人公である杉元は、一攫千金を狙って砂金掘りをしています。戦争中、鬼神のような戦いぶりから「不死身の杉元」と呼ばれた杉元が、なぜそのようなことをしているかというと、戦死した親友の妻の病気を直すため、どうしても大金が必要になったのです。  そんな杉元に、酔っ払った男が北の大地のどこかに隠された「金塊」の話をします。そして、大金の隠し場所を示した暗号が、網走監獄から脱走した死刑囚の身体に刺青として掘られていることも…。酔が覚めた男は「しゃべりすぎた」と杉元を殺そうとします。そこで杉元はこの話が与太話ではなく真実であると確信し、謎を追うことになります。  杉元の相棒となるのがアイヌの少女アシリパ。彼女の父は「金塊」のために殺されていて、その仇を探しています。アシリパのアイヌ猟師としての知恵と知識と、杉元の不屈の精神で、彼らは北の大地を巡っていくのです  それにしても『ゴールデンカムイ』の良い所は次から次に話が展開していくところですね。3巻の時点で杉元が戦った相手は熊→熊→囚人→屯田兵→集団屯田兵→熊→ベテラン猟師…大自然の脅威から新撰組まで次々と二人に襲いかかり、それを知恵と勇気で乗り越えていくのです。  『ゴールデンカムイ』にはサスペンスとド派手なアクション、異文化の知識と、面白い要素がたくさん詰まっています。中でも料理漫画としての要素を見逃してはいけません。戦い、追い、逃げる二人はとにかくよく食べます。鹿や熊はもちろん、兎やカワウソまで、捌き方から料理法まで詳しく書かれていて、なんだかとても美味しそうなのです。  脳みそから目玉までおいしく頂くアイヌの料理に戸惑う杉元や、味噌がうんこにしか見えないと拒否するアシリパさんの異文化交流ぶりも楽しく、料理が『ゴールデンカムイ』という作品の壮大さにもつながっているのです。  厳しい自然との戦いや、骨太のサスペンス、それていて生活感があるという『ゴールデンカムイ』不思議なエンターテイメント巨編なのです。

Fate/Grand Order 英霊食聞録

FGOで学ぶ世界の食文化と歴史 #1巻応援

Fate/Grand Order 英霊食聞録 TYPE-MOON 十駒マコト 遠藤雅司
ANAGUMA
ANAGUMA

『衛宮さんちの今日のごはん』で料理監修をされている只野まこと先生の正体が本作の十駒マコト先生だと知ってマジでビビり散らかしました。料理もできて絵も描ける、無敵だ!!! https://manba.co.jp/boards/144665/import_links/9450 さて、『衛宮ごはん』は「ワンランク上のおうちごはん」がテーマのグルメ漫画然とした作品でしたが、本作はFateを通じて世界各地の食の文化と歴史を学べる学習まんがといった趣。 Fateシリーズのサーヴァント自体は歴史上の人物を元にしているとはいえ相当アクロバティックなアレンジが加わっているわけですが、存外こうしたテーマの入り口にはぴったりというか、元からこのマンガのために居たのか?というくらいのフィット感。 コラムや注釈も充実の情報量で、古今東西さまざまな文化圏の英霊が登場するFGOの強みをガッツリ真面目方面に生かした作品と言えます。 なかでも注目すべき話数はプロトタイプとして描かれたという「ウルク飯」かと思います。バビロニアのアニメでも食事シーンが随分話題になりましたが、生活をしっかり描いたシリーズだけあり、古代メソポタミアのメシの解像度が上がる恩恵は大きいですね。 時間も空間も大きく離れた当時の食文化が今でもこれだけ分かっていることそのものへ驚きと、食べてみたい!と思わせるほど魅力的に描かれていること、両面からすごいなと思う次第です。 『衛宮ごはん』ファンはもちろん、全くFate知らん人が本作を入り口にするのもアリなのかもと思うくらい、しっかりした作品ですよ!

パスタの流儀

パスタの魅力を再認識

パスタの流儀 花形怜 才谷ウメタロウ
六文銭
六文銭

パスタっていいですよね。 安いし、美味しい、腹もちもいい。 お金がなかった学生の頃は、米よりもよく食べていた気がします。 ただ、カレーと同様にベースの平均点が高いので、 家でつくってもソコソコできてしまうから、 「わざわざ外食してまでパスタは食べたくないなぁ」 とか思っていた・・・時期が私にもありました。 本作を読んで考えを改めます。 すいません。 (当たり前ですが)めっちゃ奥深い。 そして、素人よりもプロのそれのほうが圧倒的に美味しそう。 冒頭の展開(実家がパスタ屋で幼馴染がいて)はまだ未消化なのですがなんとも言えませんが、主人公はイタリアでパスタ職人として働くところから始まります。 そこでの修行を経て日本で、先輩のあるイタリアンレストランを手伝うことになるという流れ。 とにかく展開がはやく飽きさせないのがすごい。 もちろんタイトル通りパスタの歴史や知識がふんだんに出てくるので読み物としても面白い。 特にパスタの立ち位置とか、イタリア人のパスタに対する意識の部分。 大衆食だからこそ、逆にその歴史や文化まで根付いた奥深さを感じさせます。 一介のマンジャ・パスタとしては、パスタイオ(パスタ職人)の心意気に、ただただ感動します。 それにしても同著者の「本日のバーガー」同様、出てくる料理が美味しそうなので、食べたくなりますね。 パスタはどこの家にもあるからよりいっそう誘惑が強いです。