集英社マンガの感想・レビュー4975件<<178179180181182>>全紳士、必携必読の「大人の教科書」王様の仕立て屋~サルト・フィニート~ 大河原遁mampuku 私は仕事柄ほとんどフォーマルな格好はしないのですが、読んでいると「宝物になるような一張羅欲しい!!」という気持ちが芽生えてしまいますw アメリカ等と同じで洋服の歴史が浅い日本では考えられないほどに、イギリスやイタリアはスーツというものにプライドを持っている国であることがわかります。それだけに大変に奥深く文化に根差していて、「粋」というものが文化圏によってこれほど異なるものかととても興味深い蘊蓄が満載でした。 そしてこの作品からはファッション蘊蓄モノとしての顔以外の、二つの表情を見出すことが出来ます。ひとつは「男の生き様論」としての側面。時に戦闘服となり時に装飾品、別のときには女性やゲストの引き立て役となる、紳士服は男の生き方の写し鏡でもあります。そしてもう一つは「フリーランス・クリエイターの仕事論」としての側面。主人公はスーツ一着に数百~数千万円という一見するとボッタクリのような価格をクライアントに提示します。しかし、彼の腕と彼が作り出す魔法にそれだけの価値を見出すことができた者だけが、その魔法を授かることができる。彼は職人の名に懸けて技術を安売りはしませんし、プライドにかけて一切の手抜きはしない。作り手としての理想像ですね。 全32冊+続編複数シリーズ続刊中とかなりの長期連載ですが、すべて読んでもまったく飽きたりネタや展開に既視感を覚えることがないのが凄い。「紳士服」というテーマの奥深さもさることながら、一話完結のそのすべてが美しい起承転結・序破急で構成されていて面白さがブレません。 これほどの傑作にもかかわらず今まで実写化などのメディアミックスが実現していないのは、やはり予算がかかりすぎるから……?山あり谷あり系少女漫画花より男子 神尾葉子やむちゃ6つくらい年下の女の子が漫画好きなのに花男読んだことないって言っててモロにジェネレーションギャップ感じた。 どんな話って貧乏な女の子が金持ちの男と恋愛したりいじめられたりするんだよってあらすじだけ説明しても全然良さって伝わらないなと思った。作者の成長速度がスポ根的!バトンの星 矢島光兎来栄寿『彼女のいる彼氏』の矢島光さんによる新作です。 矢島さんとは活動初期の頃から知り合いで、矢島さんが人生史上初めて描くというサイン色紙も頂きお店に飾っておりました。 それから2年と少し経ってから再びサイン色紙を頂いた時、見違えるほど画力が上達していて驚きました。 そして、この『バトンの星』を読んだ時に画力のみならず漫画力そのものが圧倒的に上がっていると感じました。 『潔癖男子!青山くん』の坂本拓さんの下でアシスタントをしながら美術予備校でデッサンなどの修行も積んだとのことですが、この短期間でここまで総合力が上がった方はなかなか見たことがありません。 テーマとなるバトントワリングへの愛。バトンを知らない読者をも惹きつけるバトンアクションのカッコよさ。イケメンと可愛い女の子を始めとする魅力的なキャラクターたち。テンポの良さ。 昔から「バトンマンガを描きたいんです!」と仰っており、原型となる作品のネームを見せて頂いたこともあって僭越ながらアドバイスもさせて頂いたのですが、『バトンの星』は本当に素晴らしい作品として結実したと思います。 連載は終わってしまっていましたがもっともっと見ていたい物語でした。矢島さんの今後の活躍もとても楽しみです。都立高に進学したら同世代の怪物バッテリーがいた忘却バッテリー みかわ絵子たか※ただしキャッチャーは記憶喪失でアホになっている、という設定が最高。 主人公・ヤマは中学時代、要圭と清峰葉流火の圧倒的な実力に心を折られた1人。野球を辞め野球部のない都立高に進学したところ、入学初日、いるはずのない2人に出会う。しかも智将・要圭は「パイ毛〜〜!!」という激寒ギャグを執拗に繰り返すアホになっていた(困惑) そして実は、怪物バッテリーに心を折られ都立に進学したのはヤマだけではなくて...という熱い展開!! 作品のモノローグが基本的にヤマの心の声で、読みながら(…大人しそうな顔して、心の中では結構言うなコイツ)と思わず驚く辛口ツッコミが魅力。 こんなにギャグが面白いのに、運動部にいたことがある人なら誰もが共感してしまう部活システムの暗部や、イップスといったシリアスな話もトコトン丁寧に描いているのでもーーーっ!!すき!! 圭はどうして記憶喪失になってしまったのか? 記憶を取り戻し元の圭が復活するのか、それとも無くしたまま新しい選手に生まれ変わるのか? 続きが楽しみで仕方ない!! ドラマよりもダメな私に恋してください 中原アヤソマリ深キョンもかわいいですが、やっぱりマンガの方がいいです。 主任は私の中では、ディーンフジオカさんではありません。 やっぱり自分の好きなように想像できて、ドラマより良かったです。もはや絵で描かれた小説卒業式 榛野なな恵たか「卒業」で検索して偶然知った1冊。 もう、ひたすら自分の感性にビンビンくるノスタルジー全開の作品で最高…好き…! 10代の学校生活の空気感。 家族やクラスメイトとの乖離。 自分の考えと能力を信じて行動する勇気。 不思議な引力があるユニークな友人。 シンプルで柔らかい絵のタッチと知的さがにじむモノローグの調和がただただ素晴らしく、絵で描かれた小説を読んでいるよう。 エモさとは似て非なる、ジワッとした懐かしさと寂しさに包まれる読後感を、ぜひ読んで味わってください!意味のわからない状況をただ繰り返す未知との散歩道 U4にわか※ネタバレを含むクチコミです。 白帝のエリカ読みました白帝のエリカ 杠憲太名無し恥ずかしながら同じく動物が喋るネームをこねくり回していた自分、そしてパドックも見るしファンファーレも一緒に手拍子する自分。 先の「動物と話せる子が競馬学校にいく」というクチコミを見てこれは読まねばとジャンプのバックナンバーを漁りました。 好きです動物と話せる系で相棒みたいな関係性。もっと長い尺で読みたいと思いました。文字通り人馬一体、鞍上で騎手は馬と話してるんじゃないかって思うことあるんですよね。 白馬で3歳馬とのことでオグリキャップ、クロフネ、ゴールドシップの芦毛、ユキチャンの白馬を想像しますね。マレンゴとのことでナポレオンの愛馬を想起してワクワクします。即モンキー乗りが出来る主人公、名ジョッキーになる予感しかしないです。競馬マンガもっと増えてほしい白帝のエリカ 杠憲太名無し動物と話せる中学生が競馬学校に入る話。ギッチリいろんな要素が詰め込まれていて、感想を一つに絞りきれないけど、やっぱり馬と会話できるってのが良くって、少年ジャンプだからこそ成立する「熱さ」みたいなものがあった。いまは少年誌の競馬マンガがほとんどないので、一つでも増えてくれたら嬉しい。ハードボイルド全開猟犬の眼 地蔵名無し※ネタバレを含むクチコミです。 モヤっとするけど面白い永沢君 さくらももこ名無し個人的には「修学旅行以来…」が一番の名作。色々な歯車がかみ合わないところがこの漫画の特徴を良く表していると思う。不条理というといいすぎだけど、道徳的にきれいな落ちがつかなくてもやもやする話が多い印象。それでも漫画としての「オチ」はきれいについているから面白い。透明化の使い方の巧みさに惹かれる透明人間の骨 荻野純名無しジャンプ+連載。苛烈な家庭環境の中、透明になる力を得た少女が出した『壮絶な答え』の後日譚。 透明化の扱いが巧み。物語を動かすエンジンであり、少女の内面を映す鏡にもなっている。心を掴むシーンも多い。才能を感じる。フィクションの中のリアリティ美少女戦士だった人。zero シタラマサコ名無し美少女戦士が世間公認になってる世界のお話。特撮ものの裏側を見ている感じで面白い。 色々と周りの人が頑張ってるから自分が気持ちよくやれているという意外と見過ごしがちなことを気づかせてくれる漫画だった。 なつかしい~ろくでなしBLUES 森田まさのり名無しアメトークで見てなつかしくなって読み返したけどやっぱおもしろいし太尊かっこいい!とても寂しくてすこし甘美な短編一本花 横槍メンゴ名無し繊細で美しく壊れていく女の子を鮮やかな筆致で描いた作品。 言葉選びが、またいい。ちょっと近かったけど、遠かった憧れの女の子を、漫画家になった冴えない女の子が回想し、語るというのが大筋だが、メタモノローグの過去回想で語るという形式がこの話にはよくマッチしていた。 思考と思考が噛み合ったようで、そんなことはなくて、すれ違って、解けて、知らないうちに彼女はいなくなってしまった。このことを回想する主人公は古傷をそっと触るような切なくて、甘美な気持ちになっただろう。距離も時間も遠さも関係なく、彼女はその時間へ回帰し続ける。そんな気がした次の作品がとても気になる。期待の一作操水師ミナト 橋本スズヒラ名無しヤンジャン新人漫画賞。バトルものの王道をしっかりと抑えている。絵のテイストはヤングジャンプ寄りだけど、内容自体はジャンプって感じ。絵の迫力もあるし、中々に面白いけど、話のベースはワンピースのアラバスタ編を彷彿させるものだった。話がもう一捻りあると一気に化ける気がする アラサーとDKが世界を目指す!「バトンの星」を語ろうバトンの星 矢島光たか「彼女のいる彼氏」矢島先生のヤンジャン連載作。 かつて世界一を目標にガチでバトンに取り組んでいた28歳前後の「オバサン」が、男子高校生のコーチになって打倒・世界チャンピオン(日本人)を目指すという、スーパー熱い漫画!! キャラクターの顔面だけでなく、肉体の描写も美しいのでこれからドンドン競技のシーンが増えていくことを期待! 新時代のロック×青春マンガロッキンユー!!! 石川香織ニワカ少年ジャンプルーキーで掲載していたが、ジャンプ+の連載まで実力で漕ぎ着けた作品。 モテたい男がある日、根暗のライブをきっかけにロックに目覚める話。 展開は荒いが、物語に引き込む『刺さる言葉』と『演出力』が際立っている。独特の熱さとカッコよさがある全くうまそうに見えない料理漫画だけど、内容はむちゃくちゃ好きグルマンくん ゆでたまごstarstarstarstarstarマンガトリツカレ男全くうまそうに見えない料理漫画だけど、内容はむちゃくちゃ好き 「できない」に寄り添ってくれる主人公ぼくたちは勉強ができない 筒井大志ニワカ努力家の主人公が、天才美少女達の「できない」に寄り添う話。超面白い。驚いたのはラブコメの為に動かされているキャラがいない事。どの人物も自身の考えや想いで行動していて、それが結果的にラブコメになってる。こういう漫画がずっと読みたかったんだ粗削りだけど面白い少年漫画クロガネ 池沢春人名無し※ネタバレを含むクチコミです。思ったよりヤバい奴だった有害指定同級生 くろは名無し内容が思ったよりヤバくって、普通にひいてしまうのだけれど、なぜか毎週読んでしまう。しかも慣れてくるのが怖い。 純粋に楽しみだったSporting Salt 久保田ゆうと名無しジャンプの短命漫画としてしばしば名前が挙がる本作。異端かも知れないが、当時から純粋に好きだった。あえてスポーツ科学という扱いにくそうなテーマに挑戦した意欲作だったと思う。もし肩書きをもったままだったら伝説の勇者の婚活 中村尚儁名無しファンタジーと言えば間違いなくファンタジーなんだけど、肩書きをとったら「何が残るの?」という意味では現実世界と通じている。ただ、確かに勇者という「肩書き」のみ惹かれて、言い寄ってくる女性と結婚するのは、様々な問題を引き起こすかも知れない。しかし、この物語の趣旨とは外れるかも知れないが、「肩書き」も含めて自分なのではないかな、とも思う。まぁ、難しいことはおいて、一話の女の子とか、勇者のまま婚活したら、どんな相手とどんな結婚生活をしたのかなーとは思う。<<178179180181182>>
私は仕事柄ほとんどフォーマルな格好はしないのですが、読んでいると「宝物になるような一張羅欲しい!!」という気持ちが芽生えてしまいますw アメリカ等と同じで洋服の歴史が浅い日本では考えられないほどに、イギリスやイタリアはスーツというものにプライドを持っている国であることがわかります。それだけに大変に奥深く文化に根差していて、「粋」というものが文化圏によってこれほど異なるものかととても興味深い蘊蓄が満載でした。 そしてこの作品からはファッション蘊蓄モノとしての顔以外の、二つの表情を見出すことが出来ます。ひとつは「男の生き様論」としての側面。時に戦闘服となり時に装飾品、別のときには女性やゲストの引き立て役となる、紳士服は男の生き方の写し鏡でもあります。そしてもう一つは「フリーランス・クリエイターの仕事論」としての側面。主人公はスーツ一着に数百~数千万円という一見するとボッタクリのような価格をクライアントに提示します。しかし、彼の腕と彼が作り出す魔法にそれだけの価値を見出すことができた者だけが、その魔法を授かることができる。彼は職人の名に懸けて技術を安売りはしませんし、プライドにかけて一切の手抜きはしない。作り手としての理想像ですね。 全32冊+続編複数シリーズ続刊中とかなりの長期連載ですが、すべて読んでもまったく飽きたりネタや展開に既視感を覚えることがないのが凄い。「紳士服」というテーマの奥深さもさることながら、一話完結のそのすべてが美しい起承転結・序破急で構成されていて面白さがブレません。 これほどの傑作にもかかわらず今まで実写化などのメディアミックスが実現していないのは、やはり予算がかかりすぎるから……?