シャングリラ・フロンティア

パンイチ、青い鳥

シャングリラ・フロンティア 不二涼介 硬梨菜
ゆゆゆ
ゆゆゆ

最近よく見かける青い鳥の漫画は、フルダイブ型ゲームを舞台にした話だった。 レベル1からのし上がるような、王道系ストーリー。 出てくる人たちはバーチャルな見た目なので、鳥だけでなく、美人や可愛い子やイケメンや鎧や、いろいろ出てくる。 閉じ込められたわけでないので、現実世界へちゃんと戻れる。 日常の話もありつつ、神ゲー「シャングリラ・フロンティア」以外のゲームの話も出てきつつ。 原作者さんはゲームが好きなんだなあと伝わってくる。 ちなみに、その他のゲーム(クソゲー)の設定がおもしろく、そのゲームだけで別のストーリーが作れるんじゃないかと思った。 そして、主人公の青い鳥の人が、ものすごくバトルが上手で、弱々レベルでもそこそこにビシバシ動けていてかっこいい。 青い鳥の人と書いたけども、鳥の人は初期装備を売り払って、素顔を隠しつつ欲しい性能を持つ「青い鳥の頭」を購入。それを被っただけ。 種族は鳥でなく人間。 さらに短パンと思っていたものは実はパンツ。 いわゆるパンイチ状態。あと裸足。 昔ながらのゲームであるある紙装甲な装備かもしれないけど…。 他の人に見られるのにパンイチかぁ。すごいメンタルだ。 コミカライズもとてもきれいな絵柄で、読みやすい漫画にされているので、さくさくと読めてしまう。 アニメ化、さもありなん。という気持ちになる。

画家とAI

今なら全編無料で読めます #1巻応援

画家とAI 樺ユキ
兎来栄寿
兎来栄寿

以前に『モーニング・ツー』で「超長編読切」として発表された作品が、1冊の本となって電子でのみ発売となりました。 https://twitter.com/muukasa/status/1716108312281002167?s=46&t=S5wm4E-TmT39NBg4BgQsPA 電子単行本発売日に、作者が途中までの試し読みではなく全ページTwitterに公開というのはなかなか思い切ったことをされているなと。 最近、私は『サピエンス全史』から『ホモ・デウス』を経て『21 Lessons』とユヴァル・ノア・ハラリ氏の人類史にまつわる著作を読んでいるのですが、その中でも度々AIとその影響に関する記述が出てきます。 向こう20年ほどで、現存する多くの職業はAIに取って代わられていく。それと同時にまた新たな職業が誕生する。しかし、それは何も珍しいことではなく産業革命の前後などでも起こってきたこと。いわば「歴史は繰り返す」と。 特に私の観測範囲でも話題なのはイラストレーターや漫画家です。AIを使ったイラスト制作が飛躍的に簡便になり、まさにゲームチェンジャーと言えるでしょう。「私の絵をAIに学習させないで欲しい」という作家さんもいれば、AIを用いて背景やシナリオを作ることに挑戦する方もいます。さまざまな理由により新しい物事に挑戦するのが難しい人もおり、どうしたってそこには明暗が生じざるを得ません。変化に適応できる生き物が生存していくのが世の流れとはいえ、何十年も研鑽してきた技術が汎化し仕事が奪われてしまうのは個人としては厳しいものがあるでしょう。 本作は、そういった難しくデリケートな部分を漫画家である樺ユキさんが直々に描いているというところにまず構造的な面白さがあります。 自分の描画したものをそのまま模倣できるばかりか、更にその画風のまま応用的なものまで生み出せる小さなノームの出現により画家が仕事を失っていく世界。その中で、その新技術の台頭を素晴らしいことであると肯定していく画家・モーリスが主人公の物語です。 更に本作はAIに加えて戦争という現在の地球上で特に重大なテーマを扱いながら、芸術の意義や価値といった領域にも触れていきます。これだけ大きいテーマをひとつの作品の中で扱おうとすると普通は散逸してしまいそうなものですが、メインのストーリーラインにそのどれもが密接に関わってきており綺麗にまとまっています。 テーマも挑戦的で良いですが、何よりストーリーが、そしてそれを支える絵の良さが際立っています。議論の尽きないテーマですし、人によって各論に賛否はあるでしょうけれど、1冊という短い時間の中でありながら読めば何かを確実に残してくれる作品です。 無料で読めてしまうのがもったいないくらいの作品ですので、とりあえずこの芸術の秋の夜長に読んでみてはいかがでしょうか。