着たい服がある

"着たい服"がある。"なりたい自分"がある。

着たい服がある 常喜寝太郎
sogor25
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主人公の女子大生マミは一見背が高くてクールな雰囲気だが、誰にも言えない秘密を抱えている。それはいわゆる"ロリータファッション"に憧れを持っていること。可愛らしいものが好きな自分の趣味嗜好と周囲の人たちがマミに対して抱く"カッコいい女性"像との乖離のために、自身の本音を内に秘めて半ば外装を取り繕うようにして日々を過ごしていたマミだったが、バイト先の同僚・小澤との出会いにより少しずつ変わっていく。 やや変則的な導入だけに奇抜な印象を受けるかもしれないが、作品の根底にあるテーマはとても普遍的なもの。ベタな言い方をすれば"自分らしい生き方"という感じになるかもしれないけど、マミという人間を通して、"自分らしさ"と一言ではとても表現し得ない感情や生き方を見せてくれる。 そして、その根底に流れるテーマは一貫していながら、巻が変わるごとにそのテーマを違ったアプローチで表現してくる。その上でマミの物語が動き始めるきっかけとなったロリータファッションについて蔑ろにはせず、マミという人間を構成する要素として最後まで描かれている。 作中の経過時間はそこまで長くはないけれど、作品全体を通して読むと1人の人間の人生に触れたような感覚さえ覚える壮大な物語。 全5巻読了。