たか
たか
1年以上前
知る人ぞ知る傑作WEB漫画がついに作画付きで商業連載化されました!久しぶりに1話を読み返しましたが、初めて読んだ時と同じ興奮を感じました…面白すぎる。もし本作の冒頭だけ読んで、凡百の異世界マンガだと思った人がいたらそれは完全なる勘違いなので、絶対に1話を最後読んでください!後悔しますよ。 設定こそ異世界ファンタジーという王道すぎる設定ではありますが、中身は他のどんな作品とも違う砂漠のなかにある一粒の砂金のような作品なんです。 杉浦先生の描く男性主人公はいつも実直で、答えのない問題に誠実に向き合い考え抜くところが素敵だなと思います。 もう1つの連載作である『僕の妻は感情がない』でも、「ロボットを一個人として扱い愛すること」「ロボットを憎む人間&ロボットを憎むロボット」「ロボットである妻を所有するということ」を、作中で真正面から徹底的に議論していますが、本作も同様。 錬金術で命を扱うこと、奴隷を所有すること。 普段まったく向き合うことのない「倫理」について、ファンタジー世界だからこそ出来る激しい描写によって、倫理の重みがガンガンに伝わってきて打ちのめされるくらい面白いです。 杉浦先生のラフ作画でも十分に面白かったものが、美麗な作画が着くことによって解像度が高まってさらに魅力的になっていました。 気が早いですが、早く単行本で読みたいです。
知る人ぞ知る傑作WEB漫画がついに作画付きで商業連載化されました!久しぶりに1話を読み返しまし...
まみこ
まみこ
1年以上前
とにかくオモシロ・ポイント多過ぎな一冊なのです。 岡村星の、時々出る嫌な暗さが、ここでは大全開。 沙村広明の一人では、出来ないタイプの暗さがあるのですよね。 とは言え、岡村星作品に時々出る、諧謔とかオモシロトークが随所に出て、これがこの作品を特別なものにしていると思うのです。 「樫村一家の夜明け」は、沙村広明テイスト強めで、このアクションカットは、彼にしか描けないよなぁ、と思いつつ。 でも、この引きこもりの長男と、妹、亡くなった母、親父さんとの関係性は、やっぱり岡村星のシナリオが重要なのかな、という気もしています。 「アンチドレス」は、雑誌掲載時には、何も分からん?と思っていたのです。でも単行本で読むと「ミッシングコード」の前フリとして、めちゃくちゃいい話です。 基本的に、岡村星作品は「コミュニケーション不全をどうにかして克服する」が、すべての根底にあるんです。ド直球の「誘爆発作」は途中で挫折しちゃったけど、「ラブラブエイリアン」は、それを優しく包んで出してくれた訳ですし、この作品もそうです。 最終話の志田の「とてもお似合いですね/あなたが綺麗な人だから/ワンピースもとても素敵に見える/本当にステキです」なんて、滅多な覚悟では書けないセリフだと思います。それを三話でまとめて説得力を持たせる岡村星の作劇術、流石の切れ味です。 「ミッシングコード」は、最初話の「樫村一家の夜明け」の長男、樫村タダシと、「ラブラブエイリアン」の篠原サツキが交差する、(所謂)「マルチ・ユニバース」であって、ここがオモシロ・ポイントです。 「ラブラブエイリアン」では、どうしようもない、だらしない生活をやっている篠原サツキが、シリアスな仕事をやっている、のもオモシロ・ポイントですしね。(「ラブラブエイリアン」一巻vol.11 「私だって自分がだらしない事知っているわよ!!」) ラストの独白「そう私たちはやるしかない---だって/今こうして生きているのだから」は、また最初話の「樫村一家の夜明け」の「…人生は厳しい/それでも生きる価値はある」に繋がっていて、この一冊を特別なものにしていると思うのです。 こういう噺は、岡村星の単体だとグズグズになりそうなのですが、四話で収められたのは、流石は旦那さんの力量かなー、と。 強引にまとめると、夫婦合作、と言うのを差っ引いても、お互いに出ないテイストが、導き合って、めちゃくちゃオモシロです。