吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)
1年以上前
『鍋に弾丸(たま)を受けながら』 というタイトルからなんとなく伝わるハードさですが、内容もまさにそのもの。 「危険な場所にほど美味い食べ物がある」という謎の哲学を持った原作者のノンフィクショングルメレポートです。 ノンフィクションって聞いてたのに、読み進めたら「あれ?おかしいぞ?」とすぐに気づきます。 なぜなら、登場人物が基本的に美少女しかいないからです。 というのも、原作者の青木潤太朗さんが「長年に渡る二次元の過剰摂取」により脳がぶっ壊れたからとのこと。 絶対にそんなわけはないんだけど、あえて乗っかると、どんなにいかついタトゥー入ったおじさんでも美少女に変換され画面の平穏は保たれるという不思議な快感が訪れます。 第1話「マフィアの拷問焼き」 https://comic.webnewtype.com/contents/nabetama/10/ 早速1話目のタイトルから溢れるヤバさ。 メキシコ流に、塩水を吸わせたオーガニックコットンで牛肉を巻いて焚火の中に放り込んだもので、もう、白黒の漫画なのに肉の赤さが見えてくるというか、もうたまらずよだれが出てしまう。 まじで美味しそう…!! このように、危険な場所・状況で美少女(おじさん)がグルメを楽しむ漫画です。 これからも楽しみ~!!
hooper
hooper
11ヶ月前
テレビでネットで見ただけで、行ったわけでもないのに知った気になっていたわけです。 過去にした「アメリカの食べ物ってさぁ〜」みたいな半笑いの言い回しを、本書を開くたびひっそり恥じ入り心が土下座陳謝する。 そらそうよ。州があり市があり街があり村だの川だの大自然だのがあり(ブラジル回)、そこに暮らす個人とその人の生活、現地の習慣や、行動範囲がそれぞれあり。 そして、友達が来たら「美味い店連れてってやるよ!」という日々のご近所グルメがあるわけで。 例として3巻11話の「ホットドッグ・アンド・フライ」。上に揚げたてフラポを載せ、その上から塩を振ってあるホットドッグ。 だよね。アメリカ全土で"いわゆる"なホットドッグしか食べてないわけがない。 もっと素敵ィ〜な外国グルメもあるが、とにかくこの話に衝撃を受けた。(単に私が愚かなだけか)。 ちなみにこの漫画をクルッと裏返しにすると、個人的に『米国人一家、美味しい東京を食べ尽くす』になると勝手に思っている。ブラックサンダーアイスを絶賛するサイズ感の滞日グルメ本です。活字ですが、グルメモノが好きならおすすめ。 とにかくジュンターロサン、これからも私めの蒙を啓いてください、応援しています。土下座陳謝で。
ピサ朗
ピサ朗
1年以上前
少年ガンガンを筆頭に出版部門を持つスクウェア・エニックスは、どーもファンタジーものではあるが少年漫画とも少女漫画とも言い難い、ユニセックス的な漫画が数多い出版社というイメージがあるのだが、そのイメージを決定づけたのはこの作品だと思う。 世界観は実にRPG的なファンタジーものであり、現在でこそなろう作品を筆頭に数多くあふれているが、当時は割と珍しかった。 また主人公も男女二人制で物語を引っ張っていくのは男性のニケだが、ラスボスである魔王との因縁はむしろ女性であるククリの方が多く、ともすればシリアス方向に行きそうな要素も多いのだが、全編に渡りギャグが散りばめられていて、少年漫画的な痛快さと少女漫画的な繊細さを吹っ飛ばすほど強烈なギャグが多い。 全体的にはRPGの「お約束」を逆手に取ったり茶化したりと、ゲームに対するツッコミがボケ化しているような部分が多いが、言葉遊びのセンスが凄い部分も多い。 とにかく笑えるのだが、根底には少年少女の成長や旅の出会い等の王道的な冒険要素も多く、読んだ後は意外と心地よい読後感…にもギャグを叩きこんできていて、暗く重い雰囲気はとにかく薄い。 この明るく軽い雰囲気は現在でも独特な物があり、絵柄は安定しないが全体的には可愛い系で、女性も読む少年漫画という当時は独特な地位を持っていた。 一迅社系等ユニセックス的な漫画は現代では珍しくも無いが、スクエニ漫画のそういうノリを築いたのは、タイミングや内容的にもかなりこの作品の影響がデカいのではないかと思う。 後半は若干息切れというかギャグのバランスが崩れている部分も有るが、ストーリーはしっかり完結していて爽やかに終了している。 …のに、続編が出ていて、その爽やかさすら笑いにしていたりするのだが。