djsouchou
djsouchou
2023/09/15
ネタバレ
クラブカルチャーへの傾倒と早過ぎたポータブリズム
吉祥寺に『Shop33』ってクラブカルチャー専門の服屋が昔あったんです。 自分もクラブ遊びを覚えたての時分はよく通ってTシャツやらテクノのCDやら買ってました。 (現在は『next33』というオンラインショップを運営しています) http://next33.com/ 本作はその頃…イギリスで『セカンド・サマー・オブ・ラブ』と、日本人なら多分皆大好きドイツの二人組テクノユニットHARDFLOORの楽曲を発端とした『アシッド・リバイバル』が勃興し、 https://spotify.link/d4ZkQgQG5Cb クラバーがエビアンホルダーを首からぶら下げて踊ってた時期(理由は当時流行ってたMDMAを摂取すると薬効で無限に踊れてしまう結果、水分補給を怠って死ぬのと酒が飲めなくなるため。余談ですが、日本に形骸化して伝わって来たのを当時『電気グルーヴのオールナイトニッポン』放送中に石野卓球氏が皮肉ってたのを覚えてます)に描かれた作品ですが、その要素は主人公のメガの服装(TARとか懐かしいですね)と物語後半に出て来る『テクノ教』の施設にサウンドシステムが置いてある程度です。 衛藤先生の諸作品には最初期やドラクエ4コマ等を除き基本『ジュブナイル(+ナンセンスギャグ)』と『音楽(特にクラブ・ミュージック)』要素は不可分な物となっており(あと、隠し味としてダダイスムとポスト構造主義も)、本作と『がじぇっと(当時、レディオヘッドの“KID A”をヘビロテされてたみたいです)』はどちらかと云えば音楽に寄った作品となっています。 閑話休題。 物語の後半でメガがテクノ教で転職し桃儀に「駅弁屋さんみたい」と揶揄された『呪文DJセット・ビギナー用』。当時は「小学生に12.5kg(DJ用ターンテーブルの定番Technics SL-1200mk3の重量)の物を腰だめで運ばせるなんて」とか思いつつ、遺跡から拾ったレコードをスクラッチして攻撃手段となるアイデアは当時読んでてブチ上がった記憶があります。 その『呪文』スクラッチネタとして頻出する”Ah yeah”はRUN-DMC『Here we go』 https://youtu.be/vLiHBn4G6qg が元ネタで、 Beside『Change The Beat』 https://youtu.be/ZqauvQkC6VQ と並ぶ定番ネタです。 この辺り、衛藤先生の当時の音楽的興味がテクノからヒップホップに移行した事が窺えます。 ところで近年、『ポータリズム』というムーブメントがあるのはご存知でしょうか? 発端は、海外のターンテーブリストが今は無き日本の音響機器メーカーVestaxのポータブルレコードプレーヤー『handy trax』に、 https://www.otaiweb.com/shop-item-fidp2889.html 『フリスクフェーダー』と呼ばれる小型のクロスフェーダーを取り付けどこでもスクラッチが出来るようにしたのがきっかけです。 https://www.stokyo.jp/?pid=173543616 以降、カスタマイズ等のノウハウが蓄積され、Numarkから『PT01 Scratch』 http://numark.jp/pt01-scratch/ という、スクラッチに特化したポータブルレコードプレーヤーが発売されて以降その動きは加速度を増し、色んなメーカーからスクラッチ特化の製品が発売されるようになりました。 (自分はReloop SPINを持ってます) https://dirigent.jp/reloop/spin そして、DJの世界大会DMCに於いても『ポータブリスト』部門が設立するに至ります。 (一回エントリーしようかな?) https://youtube.com/playlist?list=PL12_YZ5jNZMSEnZH5GQ6O796KdE7CIB0w&si=kwHFUYUn8vXwtv_f 然るに、本作は『ポータブリスト』の登場を無意識的に予見していた作品であるともいえるでしょう。 あと、メガと対象的な男一代もゴツめのアクセントがあるいいキャラですね。まさか神性だったとは思いませんでしたが…。 ともあれ、衛藤先生並びにスクウェア・エニックス様におかれましては地方都市で起こるターンテーブリズムとジュブナイルを程良く織り交ぜた名作『ムジナトラックス』の電書化をお願いしたい次第です。 マジで。
djsouchou
djsouchou
2023/05/31
ネタバレ
無垢の守護者は人間性を取り戻す為に、自分と同じ世界に入れる者を希求する(仮題)
ジャンプラインディーズ期から読んでて、めっちゃハマってしまいました。 それこそ、こういうプレイリストをSpotifyで作る程度には。 https://open.spotify.com/playlist/4yBA8tMxGIpVcymBFf1qW7?si=8mVbT4mWRXumrt_CO6ip7g ※プレイリストの構成は『日常/幼稚園(=アンビエントミュージックによるチルアウト)→インターバル→銃撃戦』という流れです。 ※また作者が映画や楽曲から着想を得ているとの事なので、そういう曲も入れてあります。 この作品、第一に養父によって殺人術を仕込まれた面食いのリタが『(宮台真司っぽく書くなら)人間性を取り戻すべく自分と同じ世界に入るに足る男性』を希求するコミカルな描写が特徴的かと思われます。 ただ、その相手は概ね敵対組織のイケメンギャング達…彼らはリタを篭絡しようとドンパチを中断してまであの手この手で迫ろうとしますが、リタの地雷を踏んで瞬殺される運命に遭います。 ちなみに自分は唐揚げにレモンをかける派なので、数多のギャング同様頭を撃ち抜かれて床に転がっている事でしょう。 何故リタはこの様な『試し行為』をするのか? 憶測ですが彼女は確かに『自分と同じ世界に入るに足る男性』を欲してはいます。 いますが、大体においてその場面は幼稚園を襲撃せんと目論む輩との鉄火場です。 でも面食いでもある為、その場では心が揺らぐ…ただ、いくら面食いでも合ったばかりの男性と簡単に関係性が築ける訳はありません。 そこで3問程度質問を投げかけ様子を見、それで判断するという着想を得たのでは無いのでしょうか。 合わなかったら射殺すれば済みますし。 (この辺りの倫理観の軽さも、読み進める内にブラックジョークとしてすんなり受け入れられるのも凄い) ただ、そんな彼女にもやっと『同じ世界に入ってくれそうな』男性が現れました。 ダグ先輩です。 今後どうなるのでしょうか? 事故的にキスまでしちゃってるし。 本連載移行後は、より濃密な展開(浅草で銃撃戦とは…)とコメディーリリーフ兼最重要人物のライラと園長の目論見が気になる所ですね。 これからも追っていきたい、笑えて熱くなれる作品です。 (未完)
djsouchou
djsouchou
2023/07/11
サントラ的なプレイリスト
(最終更新日 2023/12/9) 単行本4巻が発売されたので、それをイメージした楽曲を追加しました。 台湾編はFNCYを除き、全て台湾のアーティストの楽曲のみ用いてます。 //////////////////// Spotifyで作りました。 https://open.spotify.com/playlist/6oy3KMYRQx4fC4pe0ATwOd?si=fYhNTX--SdOPxwfccFy0mw 構成としては、単行本冒頭をフィールドレコーディングのトラックを使ってインデックス替わりにしています(焚き火とか街の雑踏みたいなやつですね)。 単行本1巻冒頭 https://open.spotify.com/track/4BfXYzP6WDOenmlU31yb4U?si=JAftToR8ROOEqWYOubOeag 単行本2巻冒頭 https://open.spotify.com/track/3HLgLR481k0OOyw13aSnPn?si=my_deieWRey7VV-BeNHZjQ 単行本3巻冒頭 https://open.spotify.com/track/4NhHBgIX4IHNBaz6c1wgJY?si=Jl_JbH5QRHif8OgjMOPfhQ 単行本4巻冒頭(これだけは例外で。理由は読めば分かるかと思います) https://open.spotify.com/track/4Ahrwtpm3kjpUDIE7D6k5G?si=2YiCnKomSHO6XuuDCiYVXA また、 ・基本、作中に出て来る各地域の音楽を使う事を心掛ける(こぼれ話など例外あり)。 ・特にシカゴはなるべく、Thrill jockeyかDrag Cityのディスコグラフィーやシカゴ在住のアーティストから選曲する(今後はシカゴドリルやシカゴハウス、Juke/Footwork等からも選曲する…かも知れない)。 ・THE BASSONSの『最後の晩餐』は自分の中では『鍋弾アニメ版(多分無い)のエンディング曲』という位置づけ。 ・The Screen Tones(ドラマ版『孤独のグルメ』シリーズのサントラを作ってる久住昌之主催のバンド)の曲は絶対に入れない。 …という、こだわりポイントもあったりします。 てか、アザーンってSpotifyで配信されてるんですね。 https://open.spotify.com/track/0EU1MDduRPBxf5pV7RpC4S?si=RgDefqPfRwqTTvQBu9u-dQ それを踏まえて聴いて、プレイリストをフォローして頂けると嬉しいです。 なお、この記事はプレイリスト同様(単行本の発売時期などに合わせ)適宜更新されます。