六文銭
六文銭
1年以上前
医療マンガは数あれど、産婦人科で、ここまでリアルな話を初めて読みました。 ドラマチックな展開などありません。 淡々とした生と死の現実があります。 最近「親ガチャ」なんていう言葉が流行ってますが、 正直、自分自身も家庭環境に恵まれたほうではなかったので、 そういう発言する人たちを 「できない言い訳だろ」 と嫌悪感すら感じていたのですが、撤回します。 親によって子供の人生は左右されます。これは事実です。 それこそ、産まれてこれるのかどうかさえも。 本作は、そういった様々な親の姿が生々しく描かれております。 際立つのは、恵まれない子供たち。 中絶、死産、障害、そして虐待。 子を持つ親としては、これを読むのが本当にツラくて、 基本1話完結型なのですが、読むたびに毎度ボロボロになります。 と、同時に、とても考えさせられました。 子供の生きる力は、親にとって希望だと思っていましたが、 絶望な人もいる。 子供の期待に応えられず、つぶれてしまう人もいる。 そうしたとき、どうすればよかったのだろう?何ができるんだろう? 心底、悩みます。 個人の問題なのか、行政の問題なのか。 本作に出てくるような恵まれない子は一部でしかなく、 この国にもっと大勢いるのだと思うと、よりそう思います。 未来の力であるはずの子どもたちが、このような状況におかれていると知るよいきっかけになりました。 マンガと侮るなかれ。 虐待件数上昇中とか、そんな単純な数字でははかれない現実が、 鮮明に心にきざまれます。 あらためてこういうマンガが広く普及して、考えるきっかけになって欲しいと思いました。