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ゆゆゆ
ゆゆゆ
3ヶ月前
あなた、主人公なのよ! 運命に流されておけば、これまでの苦労もかき消えるような処遇になるかもなのよ! 乙女ゲームの主人公なんだから!! でも主人公・アーリシアは止まらない。 両親の不遇の死、自身の置かれた環境、すべてが乙女ゲームとやらの設定のためと知ったから。 守られるだけでもなく、ゲーム内登場キャラクターを云々するでなく、舞台の前段時点で、バグのように大荒れ。 生きるためにドンドコドンドコ、強さを求めていく。 チート持たぬ少女は生き抜くために強くなる。 原作で、主人公の強さは真面目に鍛えた結果でチートは持っていないと書かれていたので、ほんと恨みはこわいなと思った。 まだ序盤なのに「その年齢の割には強い」と、強い人たちから太鼓判を押されているほどに、強くなっている。 この子には、平和な未来があったろうに。 いや、そうなるための前提がひどくて、その最中にブチ切れたんだった。 そして、転生者が現れても、「僕以外全員転生者かよ」と違って皆、悲壮感が強い。実は転生してしまったら、本当はそういうものなのかもしれない。 そもそも、この世界にはチートというものがないのかもしれない。 まだ途中なので、どのような結末になるのか、想像しきれない。
六文銭
六文銭
1年以上前
強キャラのおっさんって個人的にツボなのですが、本作はまさにそれ。 田舎で剣の指導をしていた主人公。 その教え子たちが都で出世し、師匠を騎士団の指南役として招聘するという流れ。 転生したり、チートスキルで最強とちょっと違う感じが面白い。 純粋に、努力で上り詰めた感じ。 だからか、主人公がめっちゃ謙虚で、そこも好感がもてます。 最強のおっさんキャラはどっちかという飄々としている感じが好きなのですが、この強いのにめっちゃ謙虚というのも、また格好いい。 本当に強い人は、油断しないし、 強さとは何かを理解しているから謙虚なんだと思います。 ちょっと前まで若い主人公が多かったですが、俺TUEEEEの高齢化でしょうか? こういうおっさん系の主人公が増えた気がしますね。 主人公の年齢が近くなったことで、より自分ごと化しやすくなった感じ。 結局、教え子もおにゃのこが多い(っていうか若い女子キャラばかり)のですが、謙虚なのか、枯れているからか、あまり恋愛のほうにいかないのも良いです。 おっさんの強キャラ好きには、おすすめしたい作品です。
兎来栄寿
兎来栄寿
5ヶ月前
吉田戦車、ウラモトユウコ、オカヤイヅミ、河井克夫、島崎譲、衿沢世衣子、カラスヤサトシ、島田虎之介、100%ORANGE、よしもとよしとも、フジモトマサル、陽気婢、小玉ユキ、うめ、萩尾望都、藤子不二雄A。 前作にあたる『長嶋有漫画化計画』に筆を寄せた目が眩むような錚々たる面々です。 それから11年が経ち、遂に第2弾となる本著が発売されました。 今回の描き手は 『あした死ぬには、』の雁須磨子 『凪のお暇』のコナリミサト 『トクサツガガガ』の丹羽庭 『メタモルフォーゼの縁側』の鶴谷香央理 『ご成長ありがとうございます』の三本阪奈 『往生際の意味を知れ!』の米代恭 の6名。今回は全員女性作家ですが、全員実に絶妙な「今」を描いている方々。長嶋有さんがずっとマンガを愛し続けて広く読まれているであろうことが伝わってくる、一マンガファンとして心が躍る陣容です。 米代恭さんの「三十歳」は、シンプルに米代恭さんの描く表情が良いです。無機質な表情も、真逆の感情を全開にした表情も。主人公の瞳にハイライトが宿る瞬間が堪りません。タイトルにある三十という年齢の、歳を重ねて至る諦観とその裏にまだ残る稚さ。幼い子供のように在れる相手ができて時間を共に過ごすようになる過程、伸びやかになる心の描写も好きです。こういう男女の関係を今描いてもらうなら米代さんというのは非常にしっくりきます。 三本阪奈さんの「舟」の主人公の妄想癖、個人的にはとても共感します。昔から現実を差し置いて空想の世界へ行ってしまうところがありました。妄想ができる脳がひとつあれば、永遠に暇にはならないなと思います。本著の中では最も新しい2022年の短編ということで、マスクを着けた登場人物たちとそれを利用した演出がとてもよく利いていました。思春期の矯正は、特に女の子にとっては外見上の面で嫌な部分もあるものですが、マスクはそれを隠せるという意味では少しありがたい存在でもあるのだなと。リフレインする特徴的なフレーズなども小気味いいです。大人へと漕ぎ出していく彼女たちの姿に、在りし日を重ねます。「表現は読者と年をとっていくだけではダメで、ときには若者に向けて放っていないとダメだ」という、長嶋さんの感性も素敵です。 丹波庭さんの「今も未来も変わらない」は、レンタルビデオ屋でDVDを借りるというほんのひと昔前にあった風景がとても懐かしく感じられる一篇です。私の家の近所のレンタルショップも時代の波に呑まれて潰れてしまいましたが、100円の日にたくさん借りたり延滞金を払わないように必死になったしたことを久しぶりに思い出させてもらいました。 ″僕は映画を観た時の「情景」も含めて「映画」だなって思うんです″ というセリフはマンガにも完全に同じことが言えて、いつどこでどのようにして誰との関わり合いの中で読んだのかという記憶と共に自分の中に残っています。それ故に、マンガの帯も挟まっているチラシも私にとっては大事な欠片なのです。余談ですが ″ガムと締切はよくのびるんだよ″ のセリフも好きです。 鶴谷香央理さんの「問いのない答え」は、311の震災を描いた作品。長嶋さんと鶴谷さんの出逢いが、震災の翌日からTwitter上で行なっていた言葉遊びだったそうでそんな現実も上手く反映させた物語となっています。10年前のTwitterは、今より人が少なくて3000RTもされたら珍しいことでした。他愛もない好きなことを介して生まれる緩い繋がりが非常に愛しい自由な場でした。ただ、今はかなり変質してしまってかつてあった楽園の心地良さに想いを馳せます。あの頃から繋がり続けてくれている方に感謝しつつ、繋がりが解けた方々もどこかで元気に暮らしていて欲しいなと思います。日常の細やかな所作や機微が、落ち着いた筆致で描かれ鶴谷さんの良さが短編の中にもよく表れています。コロナなどで塗り潰されてしまった部分もありますが、いつまでも留めておくべき記憶がここにあります。 雁須磨子さんの「三の隣は五号室」は、チャレンジングな原作小説を巧みにマンガに落とし込んでいます。なぜか四号室がないアパートの五号室に住んだ歴代の住人たちのザッピング的な物語です。村田沙耶香さんが原作に寄せたあとがきに書かれている通り、「前の人」というのは不思議な関係です。私も以前住んだ家では引っ越したばかりのときに、ずっと前の人への郵便物が届き続けたことがあります。まったく縁もゆかりもないけれど、同じ空間を共有する他人。内装や機能など知らない間に継承をしていて影響を与え合うひとつなぎの関係。同じ景色の中で何を思い、どのように暮らして生きていったのか。人生のどこかで一瞬でも交わった人ともまた違い、直接関わっていないけど生まれる不思議な関係。小さなアパートの一室がまるで社会の縮図のような人間模様を描いているさまは、奇妙な面白みがあります。 コナリミサトさんの「もう生まれたくない」は、このタイミングで単行本化されたことに運命を感じました。「歯の欠けたベーシスト」「セガサターンのゲーム」と言って、あるバンドを即時に連想できる人は今どれくらいいるのでしょうか。奇しくも一昨日、そのバンドのリーダーは誕生日を迎え、その1週間ほど前に歯の欠けたベーシストの後釜に座ったベーシストが逝去したという報が出て、私は数日間号泣しながら彼の仕事を振り返っていました。そして、昨日バンドリーダーによりベーシストを弔うイベントの発表が行われました。そう、X JAPANです。作中に登場するセガサターンのゲームは『X JAPAN Virtual Shock 001』でしょう。私は人生で初めて行ったライブがXだったので、育ててくれた親のようなバンドです。奇跡の再結成からずっとずっとニューアルバム発売を待ち続けて十数年経ってしまいました。唯一ずっと「コンサートをやりたい」と言ってくれてきたHEATHが8月にYOSHKIと共演してセッションした時も泣きました。そして、この短編でまたXやHEATHのことが思い出されて涙を堪え切れませんでした。ふとしたことで、人はあっけなく死ぬ。そして、永遠に拭えない後悔をする。もう少し、違う選択肢を採れたかもしれないと思いながら……。 長嶋さんのあとがきや、それぞれの作品へのコメントも実に味わい深いです。「漫画は暗くて愉快」という概念、真諦を突いています。 原作ファンの方やそれぞれの作家のファンの方はもちろん、そうでない方も今をときめく感性豊かな方々による豪華なコラボレーションを味わってみてはいかがでしょうか。