豊田徹也の始まりゴーグル 豊田徹也さいろく漫画家としてデビューし、成功するまでのハードルは高い。 というかタイミングだったりなんだったり色々とそれこそ運命のようだ。 豊田徹也センセイはアフタヌーンで本作の連載が始まるまでちょっと時間がかかったタイプだったようだ。当時ちょうどアフタヌーンを読んでたので(BLAME!!とか無限の住人、EDEN目当てで買ってた)懐かしい気持ちで電子の単行本を読み返した。 短編集。集まるとこういう意味があるんだ、やはり好きだ。 一気読みする気持ちよさは本作には結構あって、色々と豊田徹也の始まりらしい作品になっている。後の作品にも通ずるキャラや設定が出てきたりするのでぜひ読んでみてもらいたい。 私は「とんかつ」が好きでした。祝!映画化!豊田徹也作品の映像が作られるの楽しみすぎるアンダーカレント 豊田徹也さいろくアンダーカレントは豊田徹也作品の中では珍しく長編。 夫が急に失踪してしまい、女手1人で銭湯の経営を"とりあえず"続ける主人公。 彼女の過去、夫の失踪の詳細、近所の人達との関係、銭湯協会(だっけな)から紹介されて派遣で来た銭湯マンの本音… ほんわかしているようで、ぼんやりしているようで、すごく胸を締め付ける何かが登場人物である大人たちみんなの中に存在しているのが描かれている感じがする。 主演・真木ようこ、監督・今泉力哉 映画化、超楽しみ。 https://undercurrent-movie.com/ まだ映画は公開前なのでなんともですが、マンガは好きな作品なのでオススメしたい。 豊田徹也作品、他の単行本化されてるのは短編集というか、全部ちょっとずつ登場人物(山崎とか)が繋がってたりしてシリーズ物っぽさが出てて良いのでそれらもオススメ。ゾンビ視点の内情と彼らのゆるい過ごし方TALKING DEAD 葉野宗介さいろく本作ではゾンビにはおしゃれの感覚すらあることになっている。 なんとなくお決まりのゾンビの概念にプラスαがあったら?という感じの、ゾンビ側の視点を描いているコメディ。 彼らをぶちのめしていくのはどこかで観た事あるよねっていうアメリカンな俳優にそっくりなキャラクター達…何故か卑猥な文字列に見えてしまうタイトルR15+じゃダメですか? 岸谷轟 裏谷なぎさいろくR15+ってついてるせいで一回手に取るのをためらってしまい3巻が出るまで読まずにいたのを後悔したのです。。。 ビリー先生のシネマこんぷれっくす!が終わってしまってぽっかり空いていた穴をこんな形で埋めてくれる作品が出てくるとは。 そう、これは映画ファン感涙の映画紹介マンガ。 とはいえ私は映画ファンとしてはニワカなので紹介される作品(毎回主題が1作品ずつあってコミカルな絵柄で紹介されている)は半分もわからないのだけど、たまに挟まれている小ネタは普通に「いいね」したくなる。 (シネマこんぷれっくす!は小ネタメインで終始イジりまくるタイプなのでそれはそれで最高なので是非どうぞ) 本作のいいところはただの映画紹介マンガなわけじゃなく、ちゃんと映研が部活動している高校生活が描かれているところにもある。ストーリーも序盤は割と強引だったが、急にそれっぽいじゃん!っていう話が出てきたり。 それに伴い主人公のあもーちゃん&冬峰くんらが、ビジュアルだけで誤魔化したりせず一人一人しっかり魅力的に描かれていくのでヒジョーに可愛い作品になっている。 かなこ先輩が一番人気ありそうな気がするけど冬峰くんが一番モテそうでもある!えなちゃんについてはネタバレなしで語れないのでスルー! 4巻はなんと主人公のあもーちゃんがほとんど出てこない!もしや主人公は冬峰くんだったのか…! …つまり、続きを待っています!釣りJKマンガ、流行ってきてる?カワセミさんの釣りごはん 匡乃下キヨマサさいろくゆるキャン△の釣り版のような感じ(雑) 放課後ていぼう日誌もそうだけど、どちらも釣りのアドバイスが細かく載っていて釣りをしてみたくなる。いいマンガだ。。。 こちらも九州ではあるが福岡が舞台であるというところで釣れる魚や時期なんかにも違いが出るのかな(放課後ていぼう日誌は熊本の県南なので九州の北東と南西で結構違う) 方言は似てそうだけどこっちは方言が強めである。 どちらも女子4人であり、この辺はもうけいおん!からの鉄板のような布陣なのだろう、きっと。 これが3人だと深淵に潜む百合要素が顔を出しづらいのだろう。きっとそう。 釣りごはん、最初は絵柄が安定しない感が強くて結構シワの描き方とかシルエットに癖がある+描きたいことが多すぎてゴチャついてしまってた感があったけど(あと肉感が強調されすぎ)4巻あたりからコメディタッチのノリが板についてきてまとまってきているというか、読みやすさが上がった。 そしてやはりオッサンはたまにしか出てこない方がいいのだと思った。 序盤はヒロイン(?)の兄だったり職場の人だったりオッサンの出番多かったけど、あんま人増やさない方がわかりやすい(考えてみたらその下り必要なかったねって話なら最初から居ないほうがいい)と編集が判断したのか、それともセンセイが学習されているのかわからないが、とにかく良くなってきているので応援していきたい。 にしても主人公ちゃんの身長設定低すぎる気はする。気づけばもう16巻…今回のオーガも良かったゾバキ道 板垣恵介さいろくバキ道、バキファンはずーっと読んでると思ったら意外と終わってから読むって言ってる人がいてびっくりしている。 それはそうともう16巻。 毎回毎回胸アツを届けてくれる板垣センセイに感謝しつつ堪能しました。かつての敵を護りながら戦う、こんな話になるとはザ・ファブル The second contact 南勝久さいろく第2シーズン、スカッとしたりハラハラしたりだけじゃなく「熱い展開」もしっかり組み込まれてきて7巻めっちゃ盛り上がってきたなーーー。 確かにいつまでも対ヤクザじゃ肉蝮(ウシジマくんスピンオフ)と似た展開になっちゃうしーーー。 今更説明も不要そうなコンテンツになってしまったけど単行本派なので毎回新刊を心待ちにしているーー。 そんな不動な面白さよねーーーー。 ーーーは横書きだとそれっぽく見えないかもしれない…画力は高いし話も凝ってる、でも…ドープマン オギノユーヘイ モンスターラウンジ 吉上亮さいろく絵はきれいだし1つ1つ切り出して見ればきっとすごくカッコいいんだけど、なんだろうこの残念な出来は。自分の読解力が足りないのかもしれないけど、「読者置いてけぼり」感が強い。 物語も頭に入ってこないし、すごく勿体なく感じる。 主人公に魅力を全く感じないのもそうだし、説明も不足している?説得力がない感じ。キャラデザも絵も良いのになぁ。 カットも含めてアニメ向きなのかな、マンガには向いてないかもしれない。。チカーノKEIの少年期、バブル期の歌舞伎町のヤバさバブル~チカーノKEI歌舞伎町血闘編~ 今村KSK KEIさいろくドンケツなどを含め武闘派ヤクザマンガは大好物なんだけど、それらに全く引けも取らないこの話がノンフィクション…とてもじゃないが信じられないような話が続く。 だが、多少脚色はしているにせよ(ビルから飛び降りて車潰しながら着地するようなマーベルヒーローズのような兄貴とか)この内容が自伝なのだという。 そう考えるとこれは当時の日本の、というかバブル期の恐ろしさがわかるいい教科書かもしれない。 主な舞台は歌舞伎町なのだが、当時のキナ臭さは今のそれとは全く異なった完全に「○が如く」の世界。 三億円事件(1968年)で壁が一躍有名となった府中刑務所。 巣鴨刑務所が関東大震災の被害により(と言ってる割に調べたら10年以上そのまま運営されてたっぽいけど)移転となり、日本最大の刑務所として1935年に創設されたものだが、"刑務所に入って名を上げる"というお手本のようなヤクザストーリーは、この物語の頃の70年代後半には衰退しつつあるがまだまだ本当にあったようで「お務めご苦労さまでした」という風習は本物だったんだなぁと感心してしまったりする。 また、細かく背景を調べれば調べるだけ面白く感じられるのが実在する人物伝の良いところ。 チカーノKEIという唯一の「チカーノになった日本人」の獄中生活マンガでハマった口だけど、その13巻の巻末に載っていた広告でさっき初めて本作を知った。描いてる著者が違うとパッとつながってこないのはもどかしい。なんで今まで知れなかったんだ…(チカーノは別冊ヤングチャンピオンでバブルはヤングチャンピオンなのも要因か) もともと彼がどういう人物だったのかはもちろん凄く興味があったのでその自伝的なものが読めるのは非常に嬉しい。 あと、結構世論ではぐちゃぐちゃ言う人がいるっぽいのですが、個人的にはノンフィクションと思い込んで読んだほうが面白いので、これがどこまで本当かは気にしてないです。 また、少しでも彼自身を検索してしまうとHOMIE KEIの話でインタビューがバンバン出てきたりして、マンガを楽しみたいだけの気持ちと少しズレてしまうのでそれも見ないようにしつつ、KEIが主人公のこの2タイトルをマンガとして楽しむのをオススメしたい。不運を抱えた少女と妖怪達タケヲちゃん物怪録 とよ田みのるさいろく生まれながらにして呪いのようなものを受けているタケヲちゃんが幸福を取り戻していく様はわかりやすいぐらいに多幸感があり、とよ田みのる先生の描くソレは読者を幸せにしてくれる。 金剛寺さん〜ではないけれど、とよ田みのる先生はハッピーエンドが待っていると勝手に信じて読めるところが素晴らしいよなーと思える素敵な作品。 なぜこうなのか、とか、実はこうだったからなのだ、とか、納得感の有無に関わらず幸せを願いながら読み進められるのはとてもとてもハッピーな体験だった。 あとタケヲちゃんはかわいい。三浦建太郎×武論尊、こんなのがあったのか王狼伝 三浦建太郎 武論尊さいろく三浦建太郎先生のご逝去は本当にショックだったし、ベルセルク展も隅々まで眺めながらも寂しい気持ちになっていたものだが、なんと武論尊原作のなんとも貴重なものがあっただなんて。。。。 と、ありがたい気持ちで読んだ。 ギガントマキアの完結は願おうとも叶わないが、まだ未知の三浦建太郎はあるんだと思ったら少しだけ世界に灯りが増えた気がした。 また、巻末にはまだ当時"色のついていない"三浦建太郎先生に対する武論尊の期待が表れたインタビューがあり、これもまた非常に貴重な読み物だった。狂気と共存し、狂気を喰らいつくす「画家」の物語ジラソウル -ゴッホの遥かなる道- 沼野あおいさいろく終始vs化け物な芸術のぶつけ合い。アバンギャルドな線に絵に物語。 ただ、ゴッホってこんな人物だったんだ、と物凄く親近感が持てるようになったり、ピカソって生意気なやつだったんだな、と印象を変えられることで、全く理解できなかった彼らの芸術に少し興味が持てるようになるキッカケには充分だった。 « First ‹ Prev … 49 50 51 52 53 54 55 56 57 … Next › Last » もっとみる
豊田徹也の始まりゴーグル 豊田徹也さいろく漫画家としてデビューし、成功するまでのハードルは高い。 というかタイミングだったりなんだったり色々とそれこそ運命のようだ。 豊田徹也センセイはアフタヌーンで本作の連載が始まるまでちょっと時間がかかったタイプだったようだ。当時ちょうどアフタヌーンを読んでたので(BLAME!!とか無限の住人、EDEN目当てで買ってた)懐かしい気持ちで電子の単行本を読み返した。 短編集。集まるとこういう意味があるんだ、やはり好きだ。 一気読みする気持ちよさは本作には結構あって、色々と豊田徹也の始まりらしい作品になっている。後の作品にも通ずるキャラや設定が出てきたりするのでぜひ読んでみてもらいたい。 私は「とんかつ」が好きでした。祝!映画化!豊田徹也作品の映像が作られるの楽しみすぎるアンダーカレント 豊田徹也さいろくアンダーカレントは豊田徹也作品の中では珍しく長編。 夫が急に失踪してしまい、女手1人で銭湯の経営を"とりあえず"続ける主人公。 彼女の過去、夫の失踪の詳細、近所の人達との関係、銭湯協会(だっけな)から紹介されて派遣で来た銭湯マンの本音… ほんわかしているようで、ぼんやりしているようで、すごく胸を締め付ける何かが登場人物である大人たちみんなの中に存在しているのが描かれている感じがする。 主演・真木ようこ、監督・今泉力哉 映画化、超楽しみ。 https://undercurrent-movie.com/ まだ映画は公開前なのでなんともですが、マンガは好きな作品なのでオススメしたい。 豊田徹也作品、他の単行本化されてるのは短編集というか、全部ちょっとずつ登場人物(山崎とか)が繋がってたりしてシリーズ物っぽさが出てて良いのでそれらもオススメ。ゾンビ視点の内情と彼らのゆるい過ごし方TALKING DEAD 葉野宗介さいろく本作ではゾンビにはおしゃれの感覚すらあることになっている。 なんとなくお決まりのゾンビの概念にプラスαがあったら?という感じの、ゾンビ側の視点を描いているコメディ。 彼らをぶちのめしていくのはどこかで観た事あるよねっていうアメリカンな俳優にそっくりなキャラクター達…何故か卑猥な文字列に見えてしまうタイトルR15+じゃダメですか? 岸谷轟 裏谷なぎさいろくR15+ってついてるせいで一回手に取るのをためらってしまい3巻が出るまで読まずにいたのを後悔したのです。。。 ビリー先生のシネマこんぷれっくす!が終わってしまってぽっかり空いていた穴をこんな形で埋めてくれる作品が出てくるとは。 そう、これは映画ファン感涙の映画紹介マンガ。 とはいえ私は映画ファンとしてはニワカなので紹介される作品(毎回主題が1作品ずつあってコミカルな絵柄で紹介されている)は半分もわからないのだけど、たまに挟まれている小ネタは普通に「いいね」したくなる。 (シネマこんぷれっくす!は小ネタメインで終始イジりまくるタイプなのでそれはそれで最高なので是非どうぞ) 本作のいいところはただの映画紹介マンガなわけじゃなく、ちゃんと映研が部活動している高校生活が描かれているところにもある。ストーリーも序盤は割と強引だったが、急にそれっぽいじゃん!っていう話が出てきたり。 それに伴い主人公のあもーちゃん&冬峰くんらが、ビジュアルだけで誤魔化したりせず一人一人しっかり魅力的に描かれていくのでヒジョーに可愛い作品になっている。 かなこ先輩が一番人気ありそうな気がするけど冬峰くんが一番モテそうでもある!えなちゃんについてはネタバレなしで語れないのでスルー! 4巻はなんと主人公のあもーちゃんがほとんど出てこない!もしや主人公は冬峰くんだったのか…! …つまり、続きを待っています!釣りJKマンガ、流行ってきてる?カワセミさんの釣りごはん 匡乃下キヨマサさいろくゆるキャン△の釣り版のような感じ(雑) 放課後ていぼう日誌もそうだけど、どちらも釣りのアドバイスが細かく載っていて釣りをしてみたくなる。いいマンガだ。。。 こちらも九州ではあるが福岡が舞台であるというところで釣れる魚や時期なんかにも違いが出るのかな(放課後ていぼう日誌は熊本の県南なので九州の北東と南西で結構違う) 方言は似てそうだけどこっちは方言が強めである。 どちらも女子4人であり、この辺はもうけいおん!からの鉄板のような布陣なのだろう、きっと。 これが3人だと深淵に潜む百合要素が顔を出しづらいのだろう。きっとそう。 釣りごはん、最初は絵柄が安定しない感が強くて結構シワの描き方とかシルエットに癖がある+描きたいことが多すぎてゴチャついてしまってた感があったけど(あと肉感が強調されすぎ)4巻あたりからコメディタッチのノリが板についてきてまとまってきているというか、読みやすさが上がった。 そしてやはりオッサンはたまにしか出てこない方がいいのだと思った。 序盤はヒロイン(?)の兄だったり職場の人だったりオッサンの出番多かったけど、あんま人増やさない方がわかりやすい(考えてみたらその下り必要なかったねって話なら最初から居ないほうがいい)と編集が判断したのか、それともセンセイが学習されているのかわからないが、とにかく良くなってきているので応援していきたい。 にしても主人公ちゃんの身長設定低すぎる気はする。気づけばもう16巻…今回のオーガも良かったゾバキ道 板垣恵介さいろくバキ道、バキファンはずーっと読んでると思ったら意外と終わってから読むって言ってる人がいてびっくりしている。 それはそうともう16巻。 毎回毎回胸アツを届けてくれる板垣センセイに感謝しつつ堪能しました。かつての敵を護りながら戦う、こんな話になるとはザ・ファブル The second contact 南勝久さいろく第2シーズン、スカッとしたりハラハラしたりだけじゃなく「熱い展開」もしっかり組み込まれてきて7巻めっちゃ盛り上がってきたなーーー。 確かにいつまでも対ヤクザじゃ肉蝮(ウシジマくんスピンオフ)と似た展開になっちゃうしーーー。 今更説明も不要そうなコンテンツになってしまったけど単行本派なので毎回新刊を心待ちにしているーー。 そんな不動な面白さよねーーーー。 ーーーは横書きだとそれっぽく見えないかもしれない…画力は高いし話も凝ってる、でも…ドープマン オギノユーヘイ モンスターラウンジ 吉上亮さいろく絵はきれいだし1つ1つ切り出して見ればきっとすごくカッコいいんだけど、なんだろうこの残念な出来は。自分の読解力が足りないのかもしれないけど、「読者置いてけぼり」感が強い。 物語も頭に入ってこないし、すごく勿体なく感じる。 主人公に魅力を全く感じないのもそうだし、説明も不足している?説得力がない感じ。キャラデザも絵も良いのになぁ。 カットも含めてアニメ向きなのかな、マンガには向いてないかもしれない。。チカーノKEIの少年期、バブル期の歌舞伎町のヤバさバブル~チカーノKEI歌舞伎町血闘編~ 今村KSK KEIさいろくドンケツなどを含め武闘派ヤクザマンガは大好物なんだけど、それらに全く引けも取らないこの話がノンフィクション…とてもじゃないが信じられないような話が続く。 だが、多少脚色はしているにせよ(ビルから飛び降りて車潰しながら着地するようなマーベルヒーローズのような兄貴とか)この内容が自伝なのだという。 そう考えるとこれは当時の日本の、というかバブル期の恐ろしさがわかるいい教科書かもしれない。 主な舞台は歌舞伎町なのだが、当時のキナ臭さは今のそれとは全く異なった完全に「○が如く」の世界。 三億円事件(1968年)で壁が一躍有名となった府中刑務所。 巣鴨刑務所が関東大震災の被害により(と言ってる割に調べたら10年以上そのまま運営されてたっぽいけど)移転となり、日本最大の刑務所として1935年に創設されたものだが、"刑務所に入って名を上げる"というお手本のようなヤクザストーリーは、この物語の頃の70年代後半には衰退しつつあるがまだまだ本当にあったようで「お務めご苦労さまでした」という風習は本物だったんだなぁと感心してしまったりする。 また、細かく背景を調べれば調べるだけ面白く感じられるのが実在する人物伝の良いところ。 チカーノKEIという唯一の「チカーノになった日本人」の獄中生活マンガでハマった口だけど、その13巻の巻末に載っていた広告でさっき初めて本作を知った。描いてる著者が違うとパッとつながってこないのはもどかしい。なんで今まで知れなかったんだ…(チカーノは別冊ヤングチャンピオンでバブルはヤングチャンピオンなのも要因か) もともと彼がどういう人物だったのかはもちろん凄く興味があったのでその自伝的なものが読めるのは非常に嬉しい。 あと、結構世論ではぐちゃぐちゃ言う人がいるっぽいのですが、個人的にはノンフィクションと思い込んで読んだほうが面白いので、これがどこまで本当かは気にしてないです。 また、少しでも彼自身を検索してしまうとHOMIE KEIの話でインタビューがバンバン出てきたりして、マンガを楽しみたいだけの気持ちと少しズレてしまうのでそれも見ないようにしつつ、KEIが主人公のこの2タイトルをマンガとして楽しむのをオススメしたい。不運を抱えた少女と妖怪達タケヲちゃん物怪録 とよ田みのるさいろく生まれながらにして呪いのようなものを受けているタケヲちゃんが幸福を取り戻していく様はわかりやすいぐらいに多幸感があり、とよ田みのる先生の描くソレは読者を幸せにしてくれる。 金剛寺さん〜ではないけれど、とよ田みのる先生はハッピーエンドが待っていると勝手に信じて読めるところが素晴らしいよなーと思える素敵な作品。 なぜこうなのか、とか、実はこうだったからなのだ、とか、納得感の有無に関わらず幸せを願いながら読み進められるのはとてもとてもハッピーな体験だった。 あとタケヲちゃんはかわいい。三浦建太郎×武論尊、こんなのがあったのか王狼伝 三浦建太郎 武論尊さいろく三浦建太郎先生のご逝去は本当にショックだったし、ベルセルク展も隅々まで眺めながらも寂しい気持ちになっていたものだが、なんと武論尊原作のなんとも貴重なものがあっただなんて。。。。 と、ありがたい気持ちで読んだ。 ギガントマキアの完結は願おうとも叶わないが、まだ未知の三浦建太郎はあるんだと思ったら少しだけ世界に灯りが増えた気がした。 また、巻末にはまだ当時"色のついていない"三浦建太郎先生に対する武論尊の期待が表れたインタビューがあり、これもまた非常に貴重な読み物だった。狂気と共存し、狂気を喰らいつくす「画家」の物語ジラソウル -ゴッホの遥かなる道- 沼野あおいさいろく終始vs化け物な芸術のぶつけ合い。アバンギャルドな線に絵に物語。 ただ、ゴッホってこんな人物だったんだ、と物凄く親近感が持てるようになったり、ピカソって生意気なやつだったんだな、と印象を変えられることで、全く理解できなかった彼らの芸術に少し興味が持てるようになるキッカケには充分だった。
漫画家としてデビューし、成功するまでのハードルは高い。 というかタイミングだったりなんだったり色々とそれこそ運命のようだ。 豊田徹也センセイはアフタヌーンで本作の連載が始まるまでちょっと時間がかかったタイプだったようだ。当時ちょうどアフタヌーンを読んでたので(BLAME!!とか無限の住人、EDEN目当てで買ってた)懐かしい気持ちで電子の単行本を読み返した。 短編集。集まるとこういう意味があるんだ、やはり好きだ。 一気読みする気持ちよさは本作には結構あって、色々と豊田徹也の始まりらしい作品になっている。後の作品にも通ずるキャラや設定が出てきたりするのでぜひ読んでみてもらいたい。 私は「とんかつ」が好きでした。