ナベテツ1年以上前幸せか?と訊かれて、ためらいなく頷くことが出来る大人は、どれくらいいるのでしょう。少年の日に思い描いていた大人と今の自分との間に、どれくらいの距離があるのか。殆んどの人間はそんなことを忘れてしまうんでしょうけれど、この作品は、くたびれた大人になった主人公を「ハッピーにしてあげる」という謎の美少女が出会い、始まります。 ピュアであるということは、必ずしも良いことではないと分かるくらいには老成してしまった人間は、彼女の問いかけに対して恐らく言葉をなくしてしまうのではないかと思います。それでもこの物語を読んでしまうのは、恐らくある種の郷愁があるからではないかと思います。もう戻ることの出来ない時代があると理解して、ただ喪ってしまったことを嘆くのではなく、手にしたものをいとおしむことが出来る大人になったと自覚すること。星里もちる先生は、物語の中に数滴の「毒」を混ぜる人なんですが、この作品はそのバランスが絶妙だと思いますし、その毒を包む糖衣は比較的受け入れられやすいと思います。 夢かもしんないつぎはぎだらけの幸せでも6わかる
sogor251年以上前前作「彼女は宇宙一」の評判が私の周りでやたら良かったので、谷口菜津子さんの名前を見つけてあらすじも何も見ずに今作に手を伸ばしたんです。冴えない感じで超ネガティブ思考の彼氏・一郎とそんな彼のことが大好きな美人の彼女・ゆきか…読み始めは「地球のおわりは恋のはじまり」みたいな幸せなラブコメなのかと思ってました。 そしたら突然明らかになるゆきかの過去に関する噂。生来のネガティブさもあってその噂を異常なまでに気にし始める一郎。そして唐突に登場する噂の真偽を確かめることのできるふしぎ道具。疑惑とそれを検証する術を目の前にして激しく揺れ動く一郎のメンタル。予想以上に読者の倫理観を揺さぶってくる恐ろしい作品でした。谷口さんの絶妙にデフォルメされたキャラクター造形、ベースは整然と並んだ長方形なのに突然崩れたようになるコマなど、いろんな方法で作品のリアリティラインを曖昧にしてきているのもその揺さぶりを効果的に支えているように思います。 1巻の段階ではその噂が事実かどうかは分からないけど、少なくとも現在のゆきかの気持ちは一郎に対して一途であることが伺い知れます。一郎の視点のないゆきかだけしかいない空間の描写からもそれは分かります。それを鑑みると、この作品の肝はゆきかの過去に囚われてしまった一郎の心の移り変わりにあるのだと思います。一郎が現在のゆきかだけを見て過去の噂など気にしないという態度を取ることができたなら、もしくはその噂を検証する手段があったとしてそれを実行しなければ、この2人はこれまでと変わらず穏やかに過ごすことができた、でもそうすることができなかった一郎の咎と、それを一概に否定することのできない読者側の人間の性、を描いた怪作だという印象を受けました。 「hなhとA子の呪い」「青春のアフター」「それはただの先輩のチンコ」等、好きという感情とそれに付随して回る負の感情をファンタジー設定を交えて描く作品が好きな方と相性のいい作品ではないかと思います。 1巻まで読了。彼女と彼氏の明るい未来好きだからこそ、揺さぶられる倫理観2わかる
nyae1年以上前1つの漫符の意味を解説して、実際に漫符を使用した例を4コマ漫画で描いた本。改めて、漫符の使い方や意味を知ると、意外と「なるほど」という気持ちになれる。 日本の漫画表現における漫符の存在意義と、他にはない使い勝手の良さのようなものを実感した。 実用書のようでもあるが、著者らしいのんびりと、かつシュールな世界観を十分味わえ、ファンであれば読んで損はないはず。 表紙でわかるように鳥獣戯画へのオマージュをされており、表情豊かな動物たちの日常が楽しい。ギガタウン 漫符図譜漫符は発明!2わかる
のれん雛1年以上前3巻の合宿所の駅に着いてから合宿所へ向かうまでの道中にカブトムシを捕まえようとしてる伴君と 部屋に着いた時にはカブトムシを捕まえていた伴君が好きです! 宵越君と出会った時にはカブトムシを捕まえようとしていたり、5巻おまけ漫画で井浦さんにハメられたりして、カブトムシが好きな伴君が好きです!灼熱カバディ灼熱カバディの細かい好きな所13わかる
影絵が趣味1年以上前両親は駆け落ちしてもいいけれど、雨は降っていたほうがいい。 田島列島の約5年ぶりとなる新作は、いきなり非常に印象的な雨のコマから始まっている。しかも、その雨を介して、人と人とが出会う。降りつのる雨は街を浸して、水たまりには雨の波紋が幾重にもひろがり、濡れしきる道路は自動車のヘッドライトから伸びる二つの閃光のひかりを反射している。 およそ何年もマンガというものを読んできたけれど、ここまで明確な雨、降っていなければならない雨、人と人とが出会うべくして出会う雨というのを私はほかにあまり知らない。因縁のふたりはこの雨を介して邂逅することになる。始めはふたつだった傘が、今度はひとつになり、さぁ未来はどうなるのか。それは私たちには及び知らないことだけれども、邂逅のたびに降るこの雨が、どうやら海に向かって流れることだけは確からしい。水は海に向かって流れる両親は駆け落ちしてもいいけれど、雨は降っていたほうがいい5わかる
名無し1年以上前大体のメンバーは一話からそれほど印象変わらないけど ダイブツだけ一話とそれ以降でキャラがちょっと違う気が する 今本当に寡黙だけど一話の頃はもうちょっとノリが軽そうだった(「いい人枠」なのか「悪人枠」なのか判断できない感じ) 怪我したマリを自分から背負って歩き出した時から明確にキャラ定まった感じだけどそれ以前から他人思いでさりげなく優しいところ描かれてた 車の外に最初に出る役リョウに押し付けられたえーごをさりげにかばうみたいに先に自分側のドア開けて自分が出たり カトーさんを木から降ろして地面に安置したのは死体あんな状態じゃ気の毒だと思ったダイブツの意思と判断かなと思ったり(リョウは猿の手がかり残ってるかもみたいな理由でなかったら降ろすよう命令しないだろうし、降ろす時ダイブツ悼んでる表情に見えるし) 小さなコマだけどカトーさんの遺体からいったん離れた後でまた覆いかぶさるようにして遺体の着衣とか整えてあげてる?っぽかったり 焚火のための薪拾いもシマ君を無言で手伝ってくれたり ダイブツが人格変わるとしたら安斉さん系統よりは マリが殺されてピークの八木さんみたいに「猿から逃げ回るんじゃない、こっちが殺してやる」、みたいに復讐に燃える系統なイメージ でもメンバーを囮に使ったりとかはしなさそうだけどモンキーサークルモンキーピークの外伝、モンキーサークルについて話そう7わかる
(とりあえず)名無し1年以上前『バタ金』で世に現れて以来、望月峯太郎(ミネタロウ)は、ずっと「今、一番カッコイイ」へ向かって漫画を描いてくれている。 『バタアシ金魚』は文句なしの最先端で、当時の「ヤンマガ」力をまざまざと見せつけた青春ギャグだった。鮮やかな作風チェンジをした『座敷女』は現在でも頭抜けたサイコホラーの傑作たり得ているし、『ドラゴンヘッド』の始まりは、『AKIRA』以降の漫画に「新基準」設定を強いるほど強烈なインパクトを与えた。 一方で、そのあまりに「センス漲る」個性ゆえ、物語が長篇化すると、著者の希求する感覚と作品世界の拡がりに軋轢が生じ、収拾がつかなくなる傾向がある。 このキャリア初期の長篇作は、そんな「暴走」が初めて記録された、稀有な失敗作だ。 だが、それが失敗であるからこそ美しいものもあるのだ。 こんなに一途に己の感覚を追い込み、そして暴走しクラッシュしてしまう才能! しかし、望月峯太郎は、何度もボロボロになりながら、常に新たな可能性に向かって立ち上がる作家でもあるのです。バイクメ~ン強烈無比な大「失敗」作7わかる
ぱんだらら1年以上前社会と上司に小さいながらも抵抗するぺんぎん。じわじわきます。口は悪いけれど、頷けることばかり。言えないけれど言いたいことをばっさり代弁してくれてます。本屋さんにずらっと並べたい!理不尽な事があってもこの本を読んだらなんだかすっきりします。テイコウペンギンペンギンが可愛すぎる15わかる