兎来栄寿
兎来栄寿
1年以上前
4コママンガに端を発しマンガ以外の業界へも広く影響を与えた吉田戦車『伝染るんです』が1989年に登場したことにより、90年代は大不条理ギャグマンガ時代が到来しました。『そんな奴ァいねえ!!』も、1994年にそんな潮流の中で現れた作品です。 本作は奇人変人ばかりが集う学校を中心にした群像劇4コマです。 やたら毒物に詳しい冷笑家のイケメン佐藤。 オカルト知識に長けた陰のある美少女相田。 博学で女装が似合う小柄な美少年高橋。 度を超えたナルシストの山田。 他にもオタク、ギャンブル狂、ダジャレ愛好家、マゾヒスト、組織の人間、元レディースの頭etc... 無数の個性的なキャラクターたちと、彼らに巻き込まれる割と普通な人々が破天荒で笑える掛け合いを繰り広げてくれます。 この作品の大きな特徴は、キャラクターたちが披露する雑知識が溢れているところ。パンダの学名は「アイルロポーダ・メラノレウカ」であること、「丁寧」とは元々中国の軍が警戒を知らせるための楽器であったことなどためになることから、決してマネしてはいけない危ない知識までてんこ盛り。読むと笑いながら賢くなれます。 単行本では作者による歌舞伎町の面白いお店に行った際の体験レポートマンガなどもおまけで収録されており、こちらもとても楽しい内容となっています。 2009年まで連載して一旦完結しましたが、2014年からは『大人のそんな奴ァいねえ!!』としてその後の大人になった彼らの物語の再連載がスタート。変わらないテイストで今も楽しませ続けてくれています。 シュールギャグが好きな方、雑学に興味がある方、変人奇人が好きな方、読んでみてはいかがでしょうか。
まるまる
まるまる
1年以上前
・名前 「 まるまると申します。 」 ・好きな食べ物 「 素麺など細くて長いものが異常に好きです。 」 ・得意な(よく読む)ジャンルは? 「 軸に根強くあるのが少女漫画なので恋愛ものとかが多いですが、最近は拘り無く読むことにしてます。 」 ・敬愛している漫画家は? 「 池野恋先生をはじめとしたりぼんのレジェンド作家さん(主に90年代)。 」 ・紙派、電子派? 「 いまのところほぼ紙ですが、電子も少々。 」 ・紙と電子の買い分けにこだわりがあれば一言! 「 日付が変わった瞬間に読みたいやつは電子で買って、その後紙でも買います。 」 ・最近読んで良かった漫画は? 「 「薔薇はシュラバで生まれる―70年代少女漫画アシスタント奮闘記―」面白いと噂だったので読んだら、やっぱり面白かったです!あとは「ゆびさきと恋々」や池野恋先生の新連載など」 ・みんなに一言!  「 そんなにたくさんクチコミを書く方ではありませんが、しょっちゅうマンバを覗きに来させてもらってます。皆さんのクチコミを読んでは、この世には面白い漫画がたくさんあるんだなあと感動しています。今後もよろしくお願いいたします!」
野愛
野愛
1年以上前
那須の田舎町で生きる人々の日常を、小さな診療所を営む見川センセの視点で描いた短編集。 郷愁を誘う美しい大自然と、とぼけた表情の人間味あふれる人物描写から心温まる作品かと思って読んでみたところ、良い意味で裏切られました。 あくまでも那須の田舎町の中だけで、見川センセの見える範囲で物語が展開していきます。短い物語の中、登場人物は見川センセと一瞬心を通わせても、町から去ってしまえばその後のことは誰も知らないのです。 人は自分の見える範囲のことしかわからない。少しだけ思いを馳せて、後は忘れてしまうしかない。 その無力さとやるせなさを嘲笑うことも慈しむこともせず、粛々と移ろう那須の四季の鮮やかさ。 ただ漠然と、生きるってこういうだよなあという感想を抱きました。 美しい四季に目もくれず、メランコリーに浸ることもなく、性を貪りその日を暮らすこと。その強さ、尊さに心が震えます。 泣くほど悲しいとか感動するとかそういうお話がある訳ではないのです。艶っぽいお話も多いですし、ちょっと笑えるような場面もあります。 この作品に描かれているのは間違いなく生身の人間です。素手転の、丸腰の人生です。 読んだら間違いなく、生きること死ぬことに思いを馳せるはずです。