兎来栄寿
1年以上前
webやコミティアで精力的にマンガを発表していた肋骨凹介さんの待望の初単行本です。
端的に言えばSF。ですが、未来の技術を用いながら現代の私たちが日常的に行う営為とまったく地続きの営みを行う姿、最先端の叡智と俗っぽさの融合は多くのSF作品とは違った面白さがあります。
抹香も摘める焼香ロボ、整体や眼鏡屋も入った地球への巡航船、ロボット三原則を越えた将棋AI、「甘酸っぱ鉄冷い」料理etc...
そこかしこに鏤められた数々の興味深いガジェットや設定から、濃密なセンスオブワンダーを受け取ることができます。
「自分の技能は私利私欲のためにしか使わない」と決めている主人公を始めとして登場人物たちは癖のあるキャラばかりで、そんな彼らの掛け合いにも妙味が詰まっています。
そして、1話目からでは想像がつかない展開もあり1冊を読み終えた時の満足感と続きへの期待感は非常に大きなものとなります。
本作も他の作品も含めて今後がとても楽しみです。