六文銭
六文銭
1年以上前
同著者の作品「千早さんはそのままでいい」が好きで、将棋マンガも好きだったので、ある種流れで読んでしまったが、いい作品に出会えた。 女流棋士を題材にした作品だが、特に気に入ったのが、主人公がその業界ではいたって「普通」な感じなところ。 もちろん主人公になるくらいなので、ある種センスみたいなものはあるようだが、神童だったとか、業界から一目おかれるズバ抜けた才能があるとかない。 なんなら奨励会に通う年下に、ハンデをもらうくらいだ。 伝聞推定だが、将棋界とは、幼少の頃から化け物みたいな強さでしかプロにはなれないし、ゆくゆく生き残っていくにはそれ以上でないと厳しいと聞いているなかで、主人公の能力はいたって平均値(ちょっと強い?)くらいの印象しかない。 ずっと続けていくのかも不明だ。 ただ、将棋を教えてくれた憧れの女流棋士と指したい、その一心のみで指している。 この普通なのが、なんとも良いんです。 将棋よく知らない一般人と目線が揃うというか、特に女流はぬるま湯とか腰抜けとか、この普通さに女流の現実を切り込んできちゃうのもいい。 そんな主人公の香が、これからどう化けていくのか、そのきっかけは何なのか、将棋界における女流の現実と、どう立ち向かうのか? 色々、今後が楽しみな作品です。
sogor25
sogor25
1年以上前
海面上昇で陸地が海に沈み、人類が人工地盤の上で生活する世界。旧時代の遺物が遺る海底遺跡へとダイブして探索を行う"アトラダイバー"の物語。新人のナギサは実技の成績はいいけどその他はまるでポンコツ、実際の遺跡へのダイブでもドジばかり。でも優秀な先輩のハルカとバディを組むことになり、持ち前の明るさと切り替えの早さで"アトラダイバー"として成長しながら未知の世界へと足を踏み入れていく―。 という物語なんだけど、物語が進むにつれて徐々に作品の様相が変わっていく。元々海底遺跡へのダイブは危険が伴うという描写が描かれているけど、ナギサが学校で学んできたものとは明らかに違う"危険"が物語の端々で映るようになり、そして1巻の最後でそれは正体不明のままナギサの目にもはっきりと見える形で顕現する。 公式のあらすじにも「ナギサの未知との出会いが始まる」とあるが、果たしてナギサの出会う"未知"とは何なのか。1話からは想像できないような物語が今後も広がっていきそう。 「がっこうぐらし!」を例に挙げると極端かもしれないけど、この作品も実際に手にとってもらった人に最高の形でストーリーのサプライズ感を楽しんでほしい意図があって表紙や帯・あらすじをデザインしてると思う。だけど、逆にそのために本来のターゲットに届いてないとすれば勿体なさすぎる作品。ぜい、騙されたと思って1巻を読んでみてほしい。 1巻まで読了