完兀
完兀
1年以上前
「銀と金」は福本作品の最高傑作に思う。 人に一番おすすめなのは「賭博黙示録カイジ」、自分が一番好きなのは「最強伝説黒沢」、作者の代表作を一つ挙げろと言われれば「天」、主人公が一番かっこいいのは「アカギ」、一番続きを読みたい読み切りは「かすみとゲンコツ」だが… 最高傑作を選べと言われれば私は迷いなく「銀と金」になる。 理由は物語から無駄が削ぎ落されていて、緊張の糸が最も弛まない作品だからである。 この条件には「賭博黙示録カイジ」も合致しそうだが、本作と比較してしまうとあちらはスリルを描写するのにある種仰々しい装飾を施しているように思う。読者に向けて最高の調理が施された究極のメニュー「カイジ」と、素材のあまりの良さに脳と舌がダイレクトに興奮する至高のメニュー「銀と金」とも言えるだろうか。 「ダイレクトに」というのは譬喩でもなんでもなく、本当に生々しい緊迫感が読者を襲うのだ。 口コミタイトルにあるように、冷たい武器が突き付けられているかのような感覚だ。イメージは刀でも銃でも水でも何でもいい。人を恐怖心で満たし行動を制限せしめるに最も機能美に溢れた武器がいくつも読書空間に充満し、自分に向けられている感覚が私はした。 とは言っても、最後の競馬勝負はその感覚からちょっと遠いところで読めてしまったかな… 森田が抜けたことで読者に空いた穴は、スリルの圧力を逃がすのに役立ってしまったように思えてならない。
酒チャビン
酒チャビン
1年以上前
前年に始まったおぼっちゃまくんの絶大な効果により、ボンボンからコロコロに鞍替えしたわたしですが、かっとばせ!キヨハラくんの連載開始によって、わたしの中でコロコロの最盛期を迎えました!! 小学校時代の友達に、大の藤子まんがファンがいて、そいつんちでコロコロは読めたので、わたしはボンボンを買っていました。小学館のブランドのなせる業か、ボンボンに比べてものすごく品があり、健全かつ優等生的な雑誌に思え、それが逆にわんぱく盛りのわたしには物足りなく感じたものでした。ブランドカラーもコロコロは「赤!白!青!」のパキッとした清潔感のあるトリコロールなのに対し、ボンボンはピンクとかターコイズブルーとかいかがわしく微妙な色彩だったのもわたしの性に合ってました。アホーガンも良かったですし、ガンダム関連の記事も充実してましたしね。 その後、コロコロでおぼっちゃまくんの連載が始まるに至り、その破壊的なおもしろさにやられ、おぼっちゃまくんだけのためにコロコロに移籍しましたが、いまいちボンボンのことも忘れられない日々を過ごしていました。 そんな中はじまったかっとばせキヨハラくん!!!第1回はよく覚えてます!!!もうクラスでもすぐに大話題!大人気!!あの頃野球もものすごく人気ありましたし、KKコンビも プロ入り直後で大変人気でしたからね!これにより、すっかりアホーガンやボンボンのことは忘れることができました!!! 苦い思い出なのは、盲腸で入院した時のこと。。。クラスの友達が、市民病院に入院中のわたしのお見舞いにきてくれたのですが、そのお見舞い品がなんとキヨハラくんのコミックス!!!退屈していたので、ものすごく嬉しかったのですが、おもしろすぎて、傷口が引き攣ります!!あんまり笑ったりすると傷口が開くとお医者に脅されていたので、これはまずいと結局入院中はそれ以降読むことはありませんでした。 でもずっと持ってましたね。そのキヨハラくん。ですが、度重なる転居で今ではどこかに行ってしまいました。あの時来てくれたみんな、今頃どうしているのでしょうか・・・
酒チャビン
酒チャビン
1年以上前
逆境ナインをひょんなことから読み、大変面白く、最高に興奮した状態でクチコミを投稿して悦に入っていたところ、コメント欄で、こちらの作品も良いよと教えていただいた作品。 結論から言って、面白かったです!!! 伝説の(というか全く知らなかった雑誌なのですが)「ヤングキャプテン(徳間書店)」に創刊号から掲載されたそうなのですが、あえなく3号で廃刊の憂き目に・・・(しかも3号とも本作品が表紙を飾ったようですね。ゴラクにおける白竜HADOUの表紙率も驚異的ですが、創刊から配管まで全号の表紙を飾った作品は後にも先にも本作品のみではないでしょうか。偉業中の偉業だと思います。) なので連載版は3話までしかありませんが、面白かったので、完結編を書き下ろして単行本化されました。これは本当に当時の関係者の慧眼だったと思います。そしてその慧眼に誠に感謝です。おかげさまで、今こうしてこの作品をわたしが読めているので、本当に単行本化されて良かった・・・ 書き下ろし部分の執筆にもすったもんだあったそうですが、それは「あらすじ」に詳しく書いてあるので、そちらの項をご覧になってください。 ハイライトは書き下ろされた完結編なのですが、個人的な感想としては、第1話の設定と、カマキリボクサーとかが出てきた時点でもうノックアウトでした。もう面白い。 正直島本先生のマンガを初めて読んでみようという方には別のをオススメしたいのですが、少し島本先生アリだなと思った頃にぜひ読んでほしいです。 ebookになかったので、電子書籍版ないのかな?と思ったのですが、なんとKindle Unlimitedで提供されてました(2022年12月12日現在)ので、年の瀬のふところにも優しいです!
酒チャビン
酒チャビン
1年以上前
月刊少年ジャンプで連載されていたキャプテンと同時期に週刊少年ジャンプで連載されていた作品です。連載開始時期は1年ほどこちらが後です。 元々キャプテンが盛り上がっていた、ちば(あ)先生に週刊少年ジャンプでも、との話があり、アメフトかラグビーマンガの準備をしていたらしいのですが、ルールの把握等に時間がかかり、高校入学後の谷口選手の話を繋ぎで描き始めたところ、ちば(あ)先生の方でも興が乗ったために連載となったようです。 必殺技等がない正統派野球まんがですし、敵味方ともに超人がいない世界観の中で、キャラを立たせるのが非常に難しく、試合展開も普通っぽくなりがちな中で、キャプテン&プレイボールを同時に連載されていたので、読者を飽きさせない工夫を考えるのは相当大変だったと思います。 事実、正直私も両作品とも中盤以降はちょっと飽きましたので・・・ ただやはり谷口キャップのキャラが素晴らしく良いですね。爽やかというか気持ちの良い方です。私も谷口選手のような人を目指さねばなりません。あとは半ちゃんが好きです。自分は全然出る予定もないのに城東にもらったメモを見直して、ベース寄りに立つ攻略法を気づくきっかけを作ったシーン。自分もプレイでは貢献できないけど、なんとかチームの勝利のために、という気持ちが現れている気がしてすごく良いです!! キャプテンの方は、谷口選手は割に序盤で引退&卒業してしまうのですが、こちらは物語の全部にわたって、その谷口選手が活躍するので、谷口ファンの女性にはプレイボールをオススメします。 後半、丸井が編入してきたり、五十嵐が入学してきたりと、だいぶ戦力も整って、これは甲子園を現実的に目指せるぞ、といういいところで終了してしまいます。 ドクターストップだったようで、仕方ないですが、これくらいの余韻を残した終わり方で良かったのかな、という気がします。話のゴールとしては読者にも見えてしまっているので(がんばって甲子園優勝する)、あえて描かないというのも選択肢かなと思いました。 コージィ城倉先生の手による続編があるようですが、正直蛇足かな、と思って読んでおりません。コージィ先生は好きですが、読むつもりも今の所無いです。 余談ですが、丸井の編入後は、それまでセカンを担当していた鈴木と全く見分けがつかず、読むスピードが激落ちしてしまいました。
野愛
野愛
1年以上前
ブス界へようこその河野大樹先生が「センス良。。。」とツイートしていたので読んでみた。たしかにセンス良い。めちゃくちゃ良い。 医者である主人公のもとに、元妻が患者としてやってきた。死ぬまで会うことはないと思っていたのに、生存率30%の大病を患ってやってきた。 些細な諍いで離婚したけれど、何気ない会話をすればあの頃の気持ちを思い出してしまう。好きとか嫌いとかそういうことじゃないけれど、言えなかったことがあったなあなんて思ってしまう。 時間を遡ってやり直すことはできない。でも、積み重ねた時間があるからこそ後悔を終わらせることはできる。人生って面白い。 ストーリーだけ見ると大人っぽいヒューマンドラマなのに、テンポのよい会話と小ネタ満載なのでしんみりする暇を与えてくれない。 HUNTER×HUNTER読んでない人にもわかるレベルのゴンさんパロディでもれなく笑っちゃうし、元妻の名前にも仕掛けがあって面白い。 小ネタがなくても成立するけど、こういうのが夫婦の身内ノリとしてあったんだろうなあと想像力を膨らませてくれていいアクセントになっていると思った。 言葉を使うところと使わないところの緩急も素晴らしい。センスとはこういうことか……。