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「あなたの夢のはじまりは、どこでしたか。」――月島花は、アイドルグループで頑張る19歳。アイドルになりたいと思ったきっかけは、小さい頃の幼稚園でのお遊戯会で、赤い衣装で踊る自分の姿を両親が見ていてくれたことが嬉しかったから。やがて月日が流れ、長くアイドル活動を続けている自分に、花は少しずつ違和感を感じ始める。アイドルとは何か? 自分は何が欲しくて、アイドルになることを夢見てきたのか? そんなある朝、父親との何気ない会話の中で、花は「自分が本当に欲しかったもの」に気づく。だが父親からのひと言は、花が望むものとは正反対のもので……?夢のはじまりと、そこに向かい続けた自分と、そして色々な選択を重ねながら進んでゆく花の人生。遠回りしながらも、彼女が最後に見つけた「夢」の形とは?
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冷たい雨が降っていたひとりぼっちの夜、私はとある少年に出会った――。朱(あか)と千秋(ちあき)が二人で暮らすアパートに、新しい住人がやってきた。彼女の名はターニャ。恋人に捨てられて行くところがなくなったターニャは、冷たい雨の夜に倒れていたところを朱に助けられ、そのまま彼らと共に暮らすことになったのだ。朱と千秋以外の住人がいない広大なアパート、花瓶に美しく生けられた霞草、そして写真立ての中で微笑む知らない女性……。「この家には私の知らない事が、聞けない事がたくさんある。でもいつか、朱の“色々”を私にも聞かせてくれたら――。」残された人々が纏う物悲しさと、ゆっくりと、だが確実に刻まれていく時間。『彼女はもう死んでいるのに!』、終幕の番外編。