ブッダとイエス・キリストが現代の日本の立川でバカンスをするマンガ。非常にストーリーが良く、笑える作品です。疲れた時に読むのがオススメ。
『水は海に向かって流れる』が、すごく好きで、自分としては数少ない著者縛りをしている作家さんだけに、この新連載は純粋に嬉しかったです。 しかも一挙2話掲載。(モーニング・ツー2022年10月号) まだイントロ段階ですがすでに面白そう。 竹やぶで生えてきた?女の子を拾った主人公。 その女の子は、なんだか普通じゃない感じで、主人公に化けたり、同級生の目玉をくり抜いたりする。 と思ったら、瞬時に場面が変わり「夢」だったのか?と感じさせるも、いや、やっぱり現実なのか?という展開が続いて揺さぶってくる。 この夢なのかファンタジーなのか、わからないまま話が進むのが、たまらないです。 同じように竹やぶに生えてきた女性もでてきて、 「人間になるのか、神様になるのかは、最初に拾った子が決める」 といったところで終了。 ぞくぞくしながら、あっという間に読んでしまいました。 特に最後、竹やぶの女の子が、人間か神かを主人公が決定させるというところ。 個人的に著者の魅力は人物描写だと思っていて、特におかれている環境(誰もが抱えているどうしようもない現実)を受け入れたり、ときに受け入れなかったりしながら、登場人物たちの変化や成長の描き方が巧みだと思っているんですね。 だから、この竹やぶから生えた女の子が、この状況下で何を感じてどう変わっていくのか、そして人間か神になるのか、楽しみでしかたないです。 おとぎ話風味なのも、絵柄とマッチしていて、すごく好きです。 今後が楽しみな作品です。
モーツーで1・2話読みました。なんか要領つかめないな…そういえばなんで1話なのに人物紹介があるんだろう…と思ったら、もともと2021年10月号にプレ新連載として読切が掲載されていたようで、そっちが実質第1話でした。 その実質第1話の読み切りを読んだのですが、これがメチャクチャおもしろい! 性格こそ合わないものの、互いに補完しあう能力を持った初老の男2人のクリミナルサスペンス 資産家のムーアは 「私には人を嫌う自由がある」 と言ってのけ、かつて自らが飼っている犬と遊びたくてシャボン玉を吹きかけてしまった同じ高級アパートに住む幼い少女(その後何度も謝罪に訪れている)を十数年にもわたり邪険にし続けるような筋金入りの偏屈男。 その少女エリカは、ムーアから長年にわたり「ネズミ以下」の態度を取られたことが、心に刺さった最初の大きな棘となり、知らぬ間にカルトに引き込まれてしまう。 そんな彼女の様子に気づいたマンションのドアマン・ハワードは、ムーアがひと財産を築いた真相を握っていることをちらつかせ、そして自らが持つ不思議な能力を用いて2人でエリカを助けることを約束させる。 カルトの拠点に入ってからの戦いぶりやセリフに痺れましたね。 相手の嘘が見抜けるムーア。 相手の意志と逆の行動を強制できるハワード。 おじさん2人が鮮やかに若者たちをお縄にする様は思った以上にかっこよかったです。 1・2話ではアパートで殺人事件が起こるのですが、これもどんなふうに解決してくれるのか楽しみです。
人といる時の同調圧力とか気遣いとかを、たいていは嫌だと思う。それというのも「自分が大切にされていない」と感じるからですよね。まずは自分ひとりを、きちんと満たしてこそ、他人に気遣いしたくなる。 本作の主人公は小さなキャンピングカーで、週末ソロキャンプを楽しむ女性。各地の名物から自炊まで様々な食を楽しみ、自然を満喫する。 思いつきで予定を変えたり、未知の冒険に突っ込んでみたり、予定通りに行かなくても次の楽しみを見つけたり。ひとりならではの自由さで、自分の「本心」を満たす。そんな彼女が本当に羨ましい。 その上で、どうも人付き合いは苦手そうな彼女が、一期一会の喜びを知ったり、意外な人との交流で相手の良さをきちんと受け取る。派遣先の会社のエースと言われる女性との、お互いを知り合う関係は2巻以降の展開を楽しみにさせてくれます。 たくさんの知識と共に、主人公の「満たされる」感覚を共有すると、世界を受け入れる心の余裕が私にも生まれました。
この作品は、大学病院から離島に転勤することになった総合診療医・天海唯人が、赴任先での落雷事故の影響で異世界に転生してしまうという物語です。 もともと天海はいつ病院に呼び出されてもいいように禁酒をしていたり、離島への転勤も子供が生まれる同期の代わりを申し出てのことだったりと、とにかく他人思いな性格の持ち主 そんな天海が医療という概念すら定着していないような異世界に転生してしまうのですが、自身の信念に基づき、たとえ相手が人間ではない種族であっても、また、彼にとっての正当な治療がその世界の倫理観では認められないようなものであっても、目の前の病気や怪我に立ち向かっていく、そんな彼の正義感に惹かれる作品です。 また、原作の津田彷徨さんも現役の医師なのですが、奥付を見ると、各診療科ごとに合計8人もの医師の方が監修に入っていて、ファンタジーではありますが医療シーンの描写にもすごく力が入っている作品です。 1巻まで読了
もしかしたら1巻読んだだけではこの「恋じゃねえから」と言うタイトルがピンとこない人もいるかもしれませんが、これ以上内容を簡潔かつ的確にあらわすタイトルはないかも、と思います。 こういう、世間一般に根付いてる「○○ってそういうものだから」という思い込みやバイアスによって世の中から見えづらくなっているものを掘り起こして提示するって、もの凄く精神的なしんどさがあるけど、個人的にはこうして漫画として存在してることにとても意味を感じます。本作には、創作物でよくある「教師と生徒の恋愛」を、エンタメとして消費する前に知るべきことが描いてあるはずです。 主人公が40歳なのも、先に書いた“見えづらさ”を描くのに適していると思う。歳を取れば取るほど過去を振り返るのに体力がいるから。 読むのがしんどいという感想が多いかもしれないし自分も同様の思いはあるけど、主人公たちが立ち上がってどこまで行けるのか見届けたい気持ちがなによりも強い。
母を亡くして引き取り手の無い中学生男子・ゆうくんは、母のはとこの女性・建子(やすこ)に引き取られる。ゆうくんが共に暮らすことになる建子と、同居人のおりょうとさゆりの三人にはある共通点があった。それは、三人ともゆうくんの母親の、元カノという事。 女性と付き合っていたのに、男性と結婚して子供まで産んだゆうくんの母親。様々なわだかまりがあるはずなのに、何故か楽しそうな三人の共同生活。そこにゆうくんが加わる事で、思い出は溢れ出すし三人は張り合い出すし……と動き出す一方で、ゆうくんの保護者として緩やかに協力する。 何となく気の合う「元カノ同士」という連帯は穏やかで良い。三人ともゆうくんの母親に多少未練があるのと、既に家族として安定した関係を築いているためか、この三人間での恋愛が示唆されないのも、子育て物として安心して読める(まぁ先は分からないが)。 三人がゆうくんの母親の思い出を語る時、そこには優しい愛がたくさんある。ゆうくんは三人それぞれの百合を増幅し強化する存在だし、クラスの女子関係も繋げる存在。 沖縄に多く見られるらしい現代の中学校での「姉妹制度」も描かれる本作、百合マンガらしく見えないかもしれないが実際は、とても百合に溢れた作品なのだ。 ※一時機Twitterで話題になっていた沖縄の姉妹制度についてのマンガを描かれたのも、本作の作者・宮城みち先生だったりします。 https://realsound.jp/book/2021/12/post-927924.html
『刻刻』も大好きで本作も本当に楽しく読んでるのだが、先が気になり過ぎて我慢していたコミックDAYSを購読してしまった。今なら遡れば7巻の終わりから最新話まで途切れず読めるしめちゃくちゃ盛り上がってるから今ですよ今! 物語は終盤に差し掛かってるような気がする。7巻で「フクノカミは現代の人間の欲望や価値感覚が分からないのではないか?」という仮説が出てきた。我々は歴史を学ぶ時などに、過去を現在の感覚で捉えて「昔の人はこんなものを信じてたんだなぁ」などと上から目線になってしまいがちだが、実は「過去から現在がどう見えるか」という視点こそが重要なのだ。人間は昔からお金に振り回されてきただろうけど、今のように庶民がお金で頭がいっぱいな時代(株、FX、不動産、インフルエンサー、保険、仮想通貨…)ってあったのだろうか。 そういった「当たり前に過ごしているけど、よくよく考えたら変だぞこれ」っていうものを象徴的に表現するのに、ファンタジックな現象をうまく利用している。細かい描写に一貫性とリアリティがあって安っぽくならない。 堀尾先生自体はあんまりSNSとかやってなさそうなのに、IT系の話題もしっかり消化して小ネタに挟んでて面白い。あと個人的に恋愛描写が好き。心理戦とか駆け引きを描くのがうまいからかな。
堀尾先生の前作「刻々」もそうだったのですが、ある程度まとめて読むとこの世界観の奥深さや物語の展開のダイナミックさがわかるのでお薦め。一人の小さな欲望が他の人の欲望に火をつけ、多くの人を巻き込む経済発展につながり、逆にその発展に振り回される人たちがスピーディーに描かれています。昭和の経済発展とはこういうものだったのではないかと思わされると同時に、みんなが満足する発展とは何かを考えさせられます。
※ネタバレを含むクチコミです。
爬虫類好きは必読。 蛇人間のへビオと、学校の寄宿舎で同室の田中学くんの日々の記録。 ヘビオくんは蛇人間なので、食べ物を丸呑みしたり脱皮したりします。人から変な目で見られることもあるけど、学はヘビオにドキドキさせられる毎日で… 妖艶な空気をまとうヘビオと、すべてが平凡な学くんのふたりをどんな目線で見れば良いのかこちらもドキドキしちゃうって…
これは「汚部屋マンガ」であって「汚部屋片付けマンガ」ではないことを最初に言っておきたい。「汚部屋=悪」という固定概念を覆してくれます。まさか汚部屋が肯定される日がくるとはね…。新しい価値観に気付ける素晴らしい漫画です。 なんか私の散らかった部屋も、自分が毎日生きてきた結果であり、生活しやすいかたちとしてこうなったと考えればいい部屋に見えてくる。片付けて、整理整頓して、ものがない部屋だけが正義じゃないんだ。
試し読みをすると、何だか随分明るい雰囲気で、生死の話をしていても深刻に見えないかもしれません。しかし先を読んでいくと、カジュアルさを纏いながらもそこには切ない思いがあり、胸に来る物語となっています。 親友を亡くした少女が、死期を悟った神様、死ねない男と共に「黄泉比良坂」を目指すお話。三人それぞれの死生観はどうしたって重くなりますが、それを美麗な画面と、かなりズレている三人の楽しい旅が和らげます。 少女がいかに親友への喪失感に苛まれているかが語られる。喪った大切な人への「執着」、そしてその「執着」を失う事への恐怖に、強く共感してしまう。 心に亡き友を想いながら旅をする、という形は例えば『マイ・ブロークン・マリコ』とも似たところがあります。その想いの強さも同様ですが、それは旅の同行者や出会った人によって、変化を起こすのか。それともその重い愛を保ったまま、少女は黄泉の国に辿り着くのか……。 そんなロマンシス(女性同士の愛情にも近い友情)的観点からも、今後読み続けたいと思います。 (勿論、人の視点を超越した神様、死ねない男それぞれの物語も今後注目。男色が描かれるので、百合好きさんはご注意を)
美しい世界、魅力的なキャラ、奥が知れない物語と展開。 そして幻想的な「魔法」のエフェクトに加えてそのエグいほどの恐ろしさが、表紙からは想像もつかないギャップとも言える世界観を作っています。 ジャンルとしてはダークファンタジーと言ってもいいと思う。 壮大で人を惹きつけ魅了する世界観がありつつもゾッとする恐ろしさが両立しているため、こう表現すると陳腐かもしれないけどジブリ映画のような完成度の高さが垣間見えている作品。 以前どこかで見たんですが、白浜先生が絵を描いている動画があって「そこ直接書いてるの!?」とビックリした憶えがあります。 扉絵か何かで魔法使いの子供たちが家でご飯の準備か何かをしているシーンだったかと思いますが、画力というのはこういうのを言うんだなーと勝手にこれまでの努力も凄かろうと想像して感心させられました。 服のシワの書き方とか模様とかもすごかったなぁ。。。 もちろんストーリーも面白いし、怖いし、先が気になる素晴らしい展開。 編集部からも大事にされてるんじゃないかと思いますが、ゆっくりでいいので最後までクオリティを保っていただければこれ幸い。 追記:白浜先生の画力の高さはこの序章を担当されてるところでよくわかります http://www.moae.jp/comic/kugutsusenki/1
昔読んだときはなんか合わなくて読むのやめちゃったんだけど、アニメ観たらドハマリしてしまいました。動物図鑑を読み込むタイプの子供じゃなかったから、今更大人になって動物の魅力に夢中になっています。 動物がその姿や生態である理由、形態に込められた工夫や意味なんて考えたこともなかったなー。 馬と牛の生態の違いとか、体の縮尺を単純にでかくすると体の熱で熱中症になってしまうとかすごく勉強になる。 デザイン部のみんなが生き物をデザインしてる途中(基本的にかなりエゲツない生態をしてる)で「あっ、これ〇〇作ってるな」って気づけたときちょっとテンション上がる。 老けない(死なない)生き物、子供の餌に自分の子供を使う生き物、オスがメスの体に取り込まれる生き物、親が子供にウンコ食わせる生き物、子供の布団係として生きる生き物…。 毎日毎日、SNSでニンゲンのクソつまらない生態なんか見るより地球の珍しい動物見るほうがよっぽど楽しいなと気づいてしまった。 世界は広い。
普段何気なく眺めているチラシやポスターですが、当たり前ですが人の手によって加工され印刷されているんですよね。 あと、本なんて印刷物の塊ですよね。 そういうことの細かい作業や苦労が本作によって知れます。 身近な印刷物にもつい目がいってしまうほど、色味とかつくり方とかの説明をわかりやすく面白く伝えてくれます。 また、主人公が元ヤンという設定も良いです。 というのも、元ヤン=アツイ思いがありやるときは突き抜けてやる、イメージがあるのですが、本作も同じです。 大好きな漫画に影響されて入った会社なだけに、その理想と現実にギャップを感じながらも、一生懸命向き合う姿は勇気と元気をもらえますね。 誰もが何かしら思いがあって、その仕事についているわけですから。 クセのある同僚(主人公も元ヤンで大分クセありますが…)との、連携などもアツイです。 印刷物や印刷会社のことがわかりながらも、お仕事漫画特有の面白さもある漫画です。 人間関係の広がりも含めて2巻がどうなるか楽しみです。
絵の魅力はもちろんのこと、魔法が存在する世界が緻密に描かれてて説得力がある。久し振りにこういうの読めて嬉しい。
説明のつかない力に解釈をつけるのが妖怪や幽霊、神や魔法を生み出す理由だと思うのですが、このゴールデンゴールドは「お金」というものの持つ力を「福の神」という具体的な比喩を用いて描いた作品だと思いました。 お金は人を集め、羨望や憎しみや、好意という気持ちすらもコントロールする。 怖い、でもお金のもつ魔性の力が人間にものすごく強く働いた時どうなるのか、その先が見てみたい、そう思って読んでいる作品です。
ブッダとイエス・キリストが現代の日本の立川でバカンスをするマンガ。非常にストーリーが良く、笑える作品です。疲れた時に読むのがオススメ。