ビームの別冊付録の読切みんな面白かったけど、個人的にはこの「おじさんの塀」がダントツでした。 おじさんの家に入って玄関の床のタイルが綺麗だという描写から、お風呂を見せるところでもう「これは…ッ!!」となった。そこからおじさんの人となりが明らかになり、そしておじさんに字を教えてあげようとするゆう太のながれ、胸打たれます。絵もストーリーも完璧で言うことなし。
百合といわれれば、そうなのかもだけど、その言葉でくくってしまっては表現しきれないものが沢山ある。 本作は、そんな作品。 舞台は、代々卒業生の「髪」で縫い上げた制服を着るという伝統がある、女子校。そこで過ごす女学生の群像劇。 卒業生の「髪」で制服をつくる…若干ホラー臭がしますが、そんなことはありません。 むしろ、その女学生の髪の毛、女性の命ともいえる髪が1本1本美しく、それこそ生きているかのような描写に息を呑みます。 恐怖よりも、そっちが強いです。 そして全体的に漂う、どこか儚い雰囲気が、この伝統とよくマッチしてて、物語に惹き込まれてしまいます。 随所に散りばめられた繊細で詩的な表現が、また良いのです。 百合か~と避けていた人、百合は少し苦手~という人にこそ、おすすめしたい作品です。 美しさの中に、少しの狂気を孕んだ展開にゾクゾクして続刊が気になりますよ。
何度も「何を読んでるんだろう?」という気持ちになったけど不思議とページを捲る手は止まらないし、あのおっさんたちの前向きさに救われるような気がした。唐突に現れたキミオちゃんという小さいおっさんが実は警察署長だったというオチの話がいちばん好きでした。 3人のホームレスと不幸にも巻き込まれるひとりの女性。ジャンプ作家とかが同じ設定で描いたら普通に人気出そうと思いました。
という言い方をすると、生まれなければよかったのか、生まれてよかったのか、どっちなんだという話ですが…漫画好きとしては読みたいと思える漫画が多いに越したことはない… ショート・ショートの詰め合わせという感じで、短期集中連載とのことですが、共通しているのはコロナ禍の世界だということ。創作もあれば、会期が延期してしまった著者が参加する展覧会のドキュメント(っぽい)話もあり。 そりゃあ、電車がガラガラだったら流星課長の出番も無しだわな。 しりあがり寿が描くコロナウイルスが思いの外かわいい。
※ネタバレを含むクチコミです。
ホラーというよりは、最後に「実は〇〇は✕✕だった!」的なサスペンス・ミステリー要素が結構強いのかなと思いました。 ギャグ一本でやってきたおおひなた氏も、原作付きとなるとギャグを見事に封印しています。ただ表紙のトメちゃんの、どこか抜けた感じで魔法少女であることをみじんも感じさせない風貌からは、著者のらしさがにじみ出ているように思います。 オムニバスなので話によって怖さに多少ばらつきがあるものの、構成も展開も凝っていて全部面白いです。めちゃくちゃ怖いのが読みたい!という人にはもしかすると少し物足りないかもしれないので、ちょっと苦手だけど怖いもの見たさで読んでみたい、という人に丁度いいかもしれません。
絵になる絵を描く人ですね…ファンになりました。 心をこわして透明人間になってしまった(と思われる)弟とその姉の、シリアスになりすぎないユーモアに富んだお話でした。 むりやりこちらへ引っ張り戻そうとするのではなく、いつでも戻っておいでというような、良い距離感の優しさを感じます。
ご縁があり、連載前からバクちゃんを読んでいました。毎月ビームを購入していますが、楽しみにしていましたし、単行本が発売されてとても喜んでいます。 夢の枯れた星から、地球に移民としてやってきたバクちゃん。作者の増村さん自身が海外に住んでいた経験があり、実際に海外で過ごした経験と視点が、日本という国や社会を見る眼差しの根底にあると思っています。 一人暮らしを始めて20年以上になるのですが、故郷にいた頃よりも確実に、海外出身の人や海外にルーツを持つ人は増えていると思います。 あなたの周り、自分の周りにも、バクちゃんやダイフクくんはきっといます。彼らは、共存すべき他者であり、共に社会を構成するメンバーです。 この国には、沢山のバクちゃんがいる。この作品は、そのことを教えてくれます。一人でも多くのバクちゃんが、お腹いっぱい夢を食べられますように。
ビームの別冊付録の読切みんな面白かったけど、個人的にはこの「おじさんの塀」がダントツでした。 おじさんの家に入って玄関の床のタイルが綺麗だという描写から、お風呂を見せるところでもう「これは…ッ!!」となった。そこからおじさんの人となりが明らかになり、そしておじさんに字を教えてあげようとするゆう太のながれ、胸打たれます。絵もストーリーも完璧で言うことなし。