世界の中心でくだをまく[仮]

赤裸々すぎる飲兵衛漫画

世界の中心でくだをまく[仮] ロドリゲス井之介
名無し

たいていの酒飲み漫画や飲み助漫画ってのは どんなに酒飲みの醜態・痴態をネタにしたとしても 最終的には「お酒っていいよね」で、 終わるのがパターン。 けれど「せかくだ」は最後の最後まで 飲兵衛ってウゼー、サイテー、という話だったりする。 正確に言えば、漫画家・原作者・編集者などの 漫画業界関係者って皆が酒癖悪すぎでウゼーッって 印象しか残らなかったりする。 一応はフィクションの体裁をとってはいるが、 ノンフィクション臭が強い。 業界的には、ホントに洒落で済んだのかこの漫画。 そう思うとタイトルの(仮)に関して シャレにならない本気度を推測してしまったりする。 ロドリゲス井之助先生の漫画は私は好きだ。 初めて読んだのは「係長ブルース」なんだけれども 切れ味鋭い、とかとは真逆の 真綿で首を絞めるようなジンワリくるギャグが 個性的で面白かった。 その後しばらくロドリー先生の作品を読む機会が なかったのだけれども、この「せかくだ」のあとは なんだか別ジャンルの漫画作品が多いみたい。 「せかくだ」も、いかにも私の好きな感じの ロドリー先生的な真綿で首をしめてくる漫画なのだけれど、 ほんとに真綿で首を絞めて(何かを)殺しちゃいました、 みたいな転機?になる漫画だったりするのかな、 と、シャレにならない邪推をしてしまう。 飲兵衛漫画としては個性的で、 まちがいなく面白い漫画なんですけれど。

筆とあいつがいればいい。

やっぱりスペリオールの新連載には期待してしまう!

筆とあいつがいればいい。 中田アミノ
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

主人公の女の子がかわいくてこじらせてていい感じに意地が悪いのが良い!! 人から良く見られちやほやされることを生きがいにしている女子高生の瓦木叶(かわらぎかのう)ちゃん。 クラスメイトに乗せられうっかり絵が上手い発言をしてしまうが、実際はクソど下手な叶ちゃんのもとに現れた他の人には見えない手のひらサイズの小さなじじい。 寝てる間に身体を乗っ取り凄まじい絵を描くそのじじいの正体は葛飾北斎!? 葛飾北斎は満足するまで絵を描きたい。 叶ちゃんは完璧でありたい。 互いに利害が一致し利用し合うことに! 他人にはいい具合に無害な女の子の小ズルさというか、本質は置いておいて良く見られたいという浅ましさが出ていてとてもいいし、たまに出すかわいくない顔芸も素晴らしいし、じじいがちょうどちょっとキモくて絵が凄くて生活に小波乱を起こしそうないいバディ感を醸し出している。 女の子は良く見られたいという理由で頑張っている基本的にはちょっとアホで残念な女の子なので必然的に幽霊であるじじいがいいツッコミ役になっていて、誰がツッコミやってんだよ感はあるものの、何も知らないアホな小娘よりすべて知り尽くして無茶苦茶やるじじいのほうがまともだわなと納得。 2話目で早速葛飾北斎が大いにやらかしているので、叶ちゃんのその場しのぎのカバー力が試されていて面白かった。 今後、絵画の素材や技法がたくさん出てきそうなので単純に面白くなりそう。 ブルーピリオドなどと合わせて読みたい。 もしも葛飾北斎が人生の続きを現代で生きたらという妄想はロマンがあってとても好き。 シオリエクスペリエンスのジミヘンや、少し違うけど刃牙道での宮本武蔵然り。 現代で無双するのか、どこの時点で成仏するのか、いやそもそも絵に終わりははいから満足しないでしょ?とか、ヒカルの碁的に叶ちゃん自身も成長するのか、どう展開するのか楽しみ! 少し気になるとしたらタイトルが葛飾北斎目線っぽいところ。 いや、どっちとも取れるか・・。

五月に隕石、六月には京都

ポップでキュートでコミカルな童貞3人組! #読切応援

五月に隕石、六月には京都 安彦晴
吉川きっちょむ(芸人)
吉川きっちょむ(芸人)

毎日昼休みに校庭に出てバレーボールで遊ぶ日常系四コママンガのように和やかな女子高生3人組、を見る野暮ったいクラスの端っこにいるような3人組がこの話の主人公。 漫研でもないのに生身の女子3人組の二次創作漫画をそれぞれノートに描いてきては交換するというキモ日課を送っていた。 彼女らのことはずっと見守るだけでいい、と距離を取っているが、その中の一人今井君は違う感情を抱いていた。それは・・・。 めちゃくちゃいい! まずページをめくってパッと目に入ったときの絵の印象が最高で、キャラのデフォルメ具合がたまらなくて見やすい。 イケてない彼らでさえとってもキュートだ。 キュートな絵柄なのに、女の子の描写はたまにエロくも見える色気がある。 団子っ鼻でメガネで白目でニヒルな女の子もいい味出してる。 これでいいのかと自問自答し大いなる一歩を踏み出す今井くんが素晴らしい。 いつまでもそのままずっと、ぬるま湯に見える薄めの硫酸風呂に入り続けることもできたのに。 「眺めるだけで本当にいいんですか!?」「小さな決断があとあと効いてくるんです!!」は自分たち自身に問いかけ続け毎日小さい後悔を積み重ね続けた言葉だろう。 沁みる。 最終的にもなんだかポップでかわいらしい結末が待っている。 ここで、なるほどそうだったのかと腑に落ちる。 そしてもう一度読み返すと、あーほんとだ、と。 とても好きな読切だった。 コンプレックスやダークサイドの描き方も傷心も全部ポップ! 全くエグくならず、コミカルで楽しい読み味が続く。 自分の中で早く連載を読みたい作家さんの一人になった。