モーニングの感想・レビュー812件<<2627282930>>鳥をモチーフに描かれる異界私家版鳥類図譜 諸星大二郎にわか鳥から連想されるイメージが諸星大二郎の描く世界と化学反応を起こすと、こんなにも不思議な世界が出来上がるのかと驚く。 個人的には、屋上に巨大なカラスを見かけ、探す話が印象深い。カラスから想起される「死」や「恐怖」のイメージと少年たちの大きな鳥に対する「未知」への好奇心が、とある結末へと向かっていくというもの。いい意味で予想から外れた展開となった。やはり特殊な空間を書く能力を諸星大二郎は持っている。天才なのでは!?トントロ ~逆襲の脂身~ 岡田卓也むこの「天才なのでは!?」という感想を誰かと共有したい… まさか料理漫画と思うわけないじゃないですか!なぜだろう…今まで読んだ料理漫画の中で一番美味しそうな気がしてくる…科学おもしれえ…決してマネしないでください。 蛇蔵名無し理系じゃない僕はホトホト苦手な分野でしたが、こうやって説明してもらえるとめちゃ興味わきます! 小さな頃に読むといいかも!と思いました!旧時代的「時代劇」大幅アップデート仕掛暮らし 山田芳裕 池波正太郎mampuku「へうげもの」の山田芳裕先生による新作は「NEO時代劇」と銘打たれた暗殺サスペンス&アクション。 元締から依頼を請けて人を殺すところは「仕掛人 藤枝梅安」と同じですが、本作は元締が主人公となり何人か抱えている殺し屋が登場するオムニバス形式になっています。大ゴマなどを使った演出や、ストーリーのセンシティブな部分など、かなり現代的にブラッシュアップされた文字通り「NEO時代劇」になっています。 梅安と違って香具師の元締が「音羽」なのがモーニングっぽいw こういう世界観か~夕方までに帰るよ 宮崎夏次系やむちゃこちらの作者さんの漫画を初めて読みました。 あらすじを読んだら「ひきこもり」「カルト」「99%の絶望」とかって興味深いワードが並んでいて、闇深いのって面白いよね~という軽い気持ちでいたんです。 読んでびっくり…思ってたのと違う… どう表現したらいいのか 楽しませようとする話では一切ない!という感じ?すごく独特な流れで、向こうの世界からの視点なのかもしれないと思いました。個人的には話が面白いとは思わないんだけど、くせになる気持ちがわかるなぁと。他の作品も読んでみたいです。 はちみつレモン山本嵐のジレンマ 江戸パインむ絶妙なテンポかと思えば懐かしいもの出てくるし描写はちゃんとおどろおどろしいし全く飽きさせない面白い!教養があるおじさんの愚痴漫画薫の秘話 松田洋子霧兵衛よかった点 ・絶妙にひねくれたブラックジョークとギャグが好き 総評 ・この漫画の主人公よりいい感じでひねくれた中年はあまり見たことがない。 野球好きにおすすめグラゼニ アダチケイジ 森高夕次フルカワお金とプロ野球、タブーな組み合わせだけれどそこがみんな知りたいところだったりする。主人公は25歳の地味な中継ぎ投手で成績も地味、しかしリアルな思惑の中でもがき悩み成長していくのがなんだか親近感わきまくっちゃいます。野球好きにはたまらない通好みの作品です。謎が深まってきたのでネタバレ込みで雑談鳥葬のバベル 二宮志郎埔里※ネタバレを含むクチコミです。俺の体の中なんじゃないか…?はたらく細胞BLACK 原田重光 清水茜 初嘉屋一生名無しはたらく細胞BLACK、読むと自分の体内でこれが起こってるんじゃ…と 心配になる 明日から早寝早起き運動だ… そんな気持ちにさせてくれる漫画 マジ細胞たちごめんな… モーニング新連載。新鋭が描く、異色の男性CAへの挑戦空男 糸川一成mampuku※ネタバレを含むクチコミです。世の多くの男性に手痛いダメージを与えるだろう読切sweet home 新田章starstarstarstarstar吉川きっちょむ(芸人)『あそびあい』『恋のツキ』の新田章先生の読み切り。 本当にこの作者は男性の心をエグる漫画を描くのが上手だ。 ある種のダメな男性を描くのが上手とも言えるが、世の中の男性全てに共通しそうな点でもあるのでとても他人事とは思えない。 男性からしたら一滴も思いもしなかったことが起こる。 そして思いもしなかったこと自体が罪であり、とうにターニングポイントは過ぎていたことを思い知らされるのだ。 同棲中の結婚適齢期の二人。 そんな幸せに見えた二人の生活にはひたひたと影が迫っていた。 絶対にしそうに見えなかった女性側の浮気。 それは忙しくして相手をしてやれなかった男性の責任かもしれないが、あくまで行為に移してしまったのは女性の方だ。 これに関して男性が悪いのか、女性が悪いのかという議論はここでは些末な問題だ。 この世に絶対なんて無いし、表面的には理想的にさえ見えた二人は女性の努力だけによって支えられていて男は自分の力だけで気持ちよく立っていると思い込んでいるだけのピエロだ。 相手を見ていない。 相手の本質を見ようとしない一方通行のコミュニケーションであり、理想の押し付けだ。 女性を一人の人間という個人ではなく役柄で見てしまっているよくいる男性像が浮き上がってきて、自分が根本的に何が間違っているか気づけず救いがないまぬけなまま華麗にしっぺ返しを食らうのだ。 世の男性が好むであろう愛想の良い女性の姿は、求められているから演じてはいるがそこに本当の彼女らはおらず、本心は別にありそれを見抜けない男性は滑稽であるという強いメッセージ性が込められているように思う。 それにしても釣った魚に餌をやらないタイプの男の趣味が魚釣りとは皮肉が効いてる。 素晴らしい。 たった一話の読切でハッとさせられるとはさすがの一言である。「作者の死を隠し、連載を続ける」という衝撃の設定ミリオンジョー 市丸いろは 十口了至maesaqu「ワンピースって実はもう尾田さんが描いてないらしいよ・・・」 こんなことが起きるのが本作。 日本一売れるマンガ「ミリオンジョー」(現代で言うワンピース)の作者の死を隠し、担当編集者である主人公が続きを描き続けるという衝撃作。もうこの時点で読みたくなりますよね(笑) 作者が変わって描き続けるという「バレる?バレない?サスペンス」は時にページをめくるのが怖くなるくらいハラハラドキドキさせられます。 設定段階から風呂敷をかなり広げている本作がどのように結末を迎えるのか、一見の価値ありです。これを3巻で完結させたのは本当にすごいことだなぁと、今でも何度も読み返してしまいます。 絶望的といった表現がぴったりすぎる作品絵の具 五月ヨシサトジェイムスン※ネタバレを含むクチコミです。なにかのオタクなら"わかる"がいっぱいZUCCA×ZUCA はるな檸檬少女漫画博士うららかヅカファンならではの、言動や解釈の仕方が面白おかしく1Pのショートストーリーでたくさん紹介されています。 宝塚にハマっていなくても「コレクション」が好きだったり、なにかにハマっている人には相性抜群の作品! フルカラーなのにも、文字が手書きなのにもびっくり! コミックエッセイ寄りの作品!読み始めたら予想よりワクワクしている自分がいたVS.アゲイン 中馬孝博starstarstarstarstar吉川きっちょむ(芸人)魚の加工販売する食品会社に勤める営業のエース挟土繋(はさどつなぐ)33歳。 10年前は会社の実業団に入りバレーボールでVリーグを目指すほど街ぐるみで盛り上がっていたが、それも過去の話、かと思っていたら後輩社員に誘われて久しぶりに再始動することになる。 サラリーマンやりながらのスポーツ漫画はほとんど読んでこなかったので新鮮で面白い。 かもめチャンスくらいかな? でも会社でやるという点で、仕事との両立がバランスよく描かれていて読み応えがある。 バレーボールを休んでいる間に営業で培った観察眼がまたバレーボールに活きてくるのも良い。 再びVリーグを目指すことになるが、そのための障壁は結構多くて、自分自身の体力だったり、チームメイトの実力、やる気、地元の後押し、もしVリーグに上がった場合の会社側の準備態勢など様々で、そこを会社員として戦う挟土が仕事とバレーの両面でいかにクリアしていくか、という読み始めたら思ったよりワクワクする展開が待っていた。 仕事は正直出来過ぎなくらいなので爽快感さえあるし、バレーボールの問題を仕事側からクリアしたときには、おー!となった。 地味ながらこれからもすごく楽しみなマンガだ。 読むと実践したくなる東洋医学素直なカラダ 東野柚子starstarstarstarstar吉川きっちょむ(芸人)西洋医学で解決できるのははっきりと原因が分かるもの。 未だ病になりきっていないものを東洋医学なら解消できるかもしれないという話。 不思議と読んでいるだけで健康になっていくような気がするほど、読後感がさっぱりしていていいです。 原因不明の片頭痛持ちなんですが、もしかしたら頼るべきは東洋医学なのかもしれないですね。 とはいえ、生活の疲れなどの原因と考えられるものなどきちんとフラットな視点で見て、どちらかを妄信するのだけは避けて自分で考えたいところです。 そういうのあったんだー、と見識が広がり選択肢の幅が広がるという点で素晴らしいと思いました。 こういうウンチク漫画系でも押しつけがましくないので読みやすいですね。 自分の身体を救うのは自分、というところも悪く言えば無責任ですが、本来そうあるべきなんですよね。 自己管理すべきなんです。 彼らはそのお手伝いをしてくれると。 それくらい謙虚な気持ちで医者にはかかりたいものです。 フラフープに関しては一度Amazonでカートに入れるところまではいきました。天国から脱走したゴッホがピカソと共に、現世の日本でマンガ家を目指す!ガカバッカ 赤堀君マンバ運営【掲載誌】 モーニング2017年48号(2017年10月26日発売)より連載開始 【代表作】 『ドーナツ父さん』 【受賞歴】 『お父さんは○○』(赤堀隆史 名義) 第62回 ちばてつや賞 奨励賞 【公式ページなど】 モアイ http://morning.moae.jp/lineup/875 Twitter https://twitter.com/pon_kan_tii 静的なコマ作り犬ヶ島 望月ミネタロウ ウェス・アンダーソン影絵が趣味ドラゴンヘッドを境に、線の多くて動的な暗いコマ作りから、線の少ない静的な明るいコマ作りへとペンタッチを改め、さらにはペンネームまでをも改めた望月ミネタロウですが、近年では静的なペンタッチにさらに磨きがかかり、ほとんどコマのなかで繰り広げられる人形劇といわんばかりになっています。 そんな望月が新たに選んだ主題が、映画監督からストップモーションアニメの監督に触手をひろげるウェス・アンダーソンの最新ストップモーションアニメです、そして、このめぐり合わせは何と起こるべきして起こったことなのでしょう。 ウェス・アンダーソンというひとは映画監督の時代からすでにストップモーションアニメのような画面をつくっていました、それこそ役者さんに人形劇の人形のような演技をさせるんですね。はたしてそんな映画が面白いのかというと、これがほんとうに面白い。本来ならカメラが追うべき人間が止まっていることで、かえって、カメラに映るそれ以外の全体が、つまりは物語の全体が躍動してくるのです。人は止まっているのに列車は走っているとか、人は止まっているのに自動車が家に突っ込むとか、そんな当たり前の物の動きがいっそう躍動してみえるのです。 望月が静的なコマ作りで目論んだものとは、まさしく、生まれもジャンルも異なるウェス・アンダーソンと知らず知らずのうちに共鳴してのことだったのではないでしょうか、望月はコマを静止させることで、かえって、コマからコマへの連結を躍動させしめたのです。ゆえに、ウェス・アンダーソンと望月ミネタロウの邂逅は必然的なものと言わざるを得ないと思うのです。 キャラがそれぞれたっているバトルスタディーズ なきぼくろトトロ野球のルールがわからなくても面白い。『交響詩篇エウレカセブン』や『デッドマン・ワンダーランド』の作者が描く、人の魂についての物語リヴィングストン 前川知大 片岡人生名無し桜井祥蔵は魂石から死亡時の記憶を読み取ることができる人情派。相方の天野はクール過ぎて人間とは思えないほど謎な人物だが…魂石を抜き取ることが仕事。 この2人が人間の運命はたましいの9割によって定められている世界のなかで、たましいの消え行く危機に陥った人々と出会うストーリー。殺伐としたなかに生きる意味を考えさせられる、作者を知らない人にもおすすめの作品です。もしもパンデミックになったら?エマージング 外薗昌也無用ノスケ子新種の出血熱ウイルスが日本を襲い、未曾有の危機に国民はパニックに陥ってしまう、というお話。 もし致死性の感染症が国内で発生したらどうなってしまうのか? 医療機関や研究機関は果たして正常に機能しうるのか?政府の対応は? 我が国の危機管理の脆さを暴きつつ、スリリングかつドラマチック(そして少々グロテスク)にシミュレートしてみせた衝撃作。 ド迫力の絵で読者を惹きつけながら、人物描写は程々にしつつ問題提起に徹していき、2冊でサクっとオチまで駆け抜けます。 なので、パンデミック映画のような濃厚パニックホラーを期待して読むと肩透かしを喰うかもしれません。 とはいえ表紙からも覗えるように、発症から大量出血で命を落とす描写はかなり怖いです。 作者の母を追いつつ、自身の源流を探る物語HaHa 押切蓮介鳥人間近年の押切蓮介といえばハイスコアガールのイメージが強いかもしれない。「あの事件」によって憔悴しきった時期に、大物っぷり溢れる豪快な母の半生を描くことに挑んだヒューマンコメディ。 母の歴史を知ることで、母の言葉の重みを知っていく……なかなかに心に響くマンガ。うるさいだけだった母の小言が、作者自身にも、もちろん読者にも、ドスンと響いてくる。 母を素晴らしい存在として描くだけの良い話ではなく、若かりし母の残念なエピソードもちらほら。このあたりは従来の押切作品っぽさを感じつつも、それがまた「あーこんなことあったんだなぁ」というリアリティを感じられて良い。 過去作の「猫背を伸ばして」にも押切母が登場するが、こちらも合わせて読むとより楽しめると思う。 単巻で短いながらも濃密な作品でした!まだまだやってやるODD FUTURE 中島佑starstarstarstarstar吉川きっちょむ(芸人)僕はお笑い芸人だ。 7年目でもまだ若手で、まだ売れてもいない。 今年で30になるが、意識するとふと他の生活を考えてしまうことがある。 そんなとき、いつも思い出すのは僕がお世話になった先輩と、この読切漫画だ。 この漫画は、売れていくイケメン芸人と、真剣にお笑いに向き合っていたが苦悩の末にアイドルにハマって辞めていった主人公を描いている。 イケメン芸人は主人公・清水の才能を羨み、清水はイケメン芸人を妬んだ。 僕の先輩は、心底面白くて、芸人の誰からも愛されていて、でも地味で人気がなかった。 僕なんかのことを可愛がってくれた「大久保たもつ」さんという大好きな先輩だ。 深夜のバラエティに少しずつ出始め、ドラマ化した芥川賞受賞作の「火花」で売れていく若手芸人役を演じて、去年の冬に、突然芸人を辞めた。 「ODD FUTURE」の主人公・清水は、実はこの大久保さんがモデルだと聞いた。 当時、まだ芸人を辞める前に、この漫画を読んだ大久保さんがTwitterで感想をつぶやいたところ、作者から返信があったと喜んでいた。 この漫画がいいのは、もがいた闇の向こう側に一筋の救いを見せてくれているところだ。 僕たち若手芸人はその一筋の光にすがって売れるか辞めるまで、もがき続ける。 おそらく都内にいるであろう1万人ほどの売れていない芸人が抱えている苦しみ、葛藤、光と闇を生々しく描いてくれている。 主な収入はアルバイトで、睡眠時間削ってたくさんライブに出ていっぱいオーディションを受けても売れなければお笑いでの給料は雀の涙だ。 それでも頑張れるのはひとえにお笑いが好きだから。 しかし好きでも結果が出ないと疑念が首をもたげ、自身の才能を疑い、貧しい老後、孤独死を考えない人はいないだろう。 僕が大好きな先輩も芸歴10年目にして辞めてしまった。 夜道で泣きながら必死に自転車をこいで気持ちを紛らわせた記憶がまだ生々しく残っている。 しかし、実はいまその大久保さんは就職して幸せそうに暮らしている。 人生何が起こるか分からない。 この漫画はあくまで可能性だ。 再び立ち上がることもあるかもしれない、そうじゃないかもしれない、もっと向いていることがあるかもしれない。 この漫画を読むと、それでも自分が思う幸せに向かって頑張ろうじゃないか、少しでも報われることもあるかもしれないよね、と語り掛けてくる、気がするのだ。 そう思うとまだ頑張れる。 今年で30。 結構じゃないか。 80で死ぬとしてもまだあと50年。 余裕余裕。 折り返し地点にすら来ていない。 まだまだやれる。 やってやる。 読切がずっと読めるモアイさんはありがたい。 http://www.moae.jp/comic/chibasho_oddfuture<<2627282930>>
鳥から連想されるイメージが諸星大二郎の描く世界と化学反応を起こすと、こんなにも不思議な世界が出来上がるのかと驚く。 個人的には、屋上に巨大なカラスを見かけ、探す話が印象深い。カラスから想起される「死」や「恐怖」のイメージと少年たちの大きな鳥に対する「未知」への好奇心が、とある結末へと向かっていくというもの。いい意味で予想から外れた展開となった。やはり特殊な空間を書く能力を諸星大二郎は持っている。