BUNCH COMICSの感想・レビュー69件<<123>>漫画で読む「人間失格 現代版」人間失格 古屋兎丸 太宰治六文銭太宰治の「人間失格」が人生のバイブルと言って憚らない私ですが、行間やニュアンスなど、人によってとらえ方が異なると思うので、漫画化(ないしは映像化)は非常に難しいと思っていましたが、本作は素直にすごいと思える内容でした。 最初、作者は、葉蔵を自分に重ねているのかな?と思いましたが、そうでもないっぽいですね。 表現の仕方だけでなく、ネットで小説を発見し読み進めるという導入が、単純に原作をなぞるだけではない手法に、小説で夢中になったあの頃と同様ぐいぐい引き込まれてしまいました。(原作も手記からはじまるので、現代版のオマージュだと思いますが) 人間失格がもつ、そのもののパワーを摩擦なく表現しきっている感じです。 自分は、本作で描かれる人間の醜さ・弱さもですが、何より主人公の惨めさが際立って記憶にあるので、そこをこれでもかと描かれる感じがよかったです。 良かったというか、胸にクる感じが、懐かしかったです。 コミカライズは多々あれど、原作好きにもおすすめしたい一作です。ハルモヤさんの〈負〉日常ハルモヤさん まんしゅうきつこかしこまんしゅうきつこ先生が非モテ女子を主人公にするとこんなに心がザワつく漫画になるんだ…。休日は同居してる両親と農協にトマト買いに行ったり、未だに中学生の頃に好きだった大橋くんを妄想のネタにしてたり、ハルモヤさんの日常は何も起こらないのに読んでて「つらい…」と思わずにいられない。そんな自分をどうにかしようと行動すれば天沢聖司似のヤリチンにヤリ捨てられるし…最悪だ…。系統でいえば自分もこういう女子なので大体こんな感じの漫画には共感するのですが、ハルモヤさんと共通点があるのはマジでヤバいと危機感を持ちました。正直なところ友達にもなりたくない…。でもまんきつ先生の漫画はやっぱり面白い。早く新作を読みたいな〜!癒されるけど刺さるお寿司たち寿司ガール 安田弘之野愛寿司ガールたちは特に何かをもたらしてくれる訳ではない、でもいつも側にいてくれる。お話を聞いて見守ってくれる。そして何よりも可愛い!! ほのぼの可愛いお話かなと思ったら、なかなかに刺さります。 お世辞にも順風満帆な人生をおくっているとは言えない女性たち。 寿司ガールがやってきたからと言って、それまでの悩みや苦しみが全部解決しちゃうなんてことはおこらない。 それでも、自分に寄り添ってくれる存在がいるのは幸せなこと。家族とか恋人とか友達に恵まれなかったとしても、寿司ガールがいることで女性たちが笑顔になったりちょっとだけ前向きになれたりするのに救われる…! 今度お寿司を食べるときは一貫一貫目を合わせて大事に食べたい…。松本次郎を語るには外せない奇作(快作)女子攻兵 松本次郎 新潮社編さいろく新東京都市では女子高生の形をした巨大ロボ、女子攻兵(以下JK)での戦争が繰り広げられている。 パイロットは軍人(おっさん)であることがほとんどだが、長い間このロボに搭乗していると精神まで女子高生になっていってしまい、精神汚染ランクが8になると電波を受信していもしないはずの友人や家族とケータイで連絡を取るようになってしまう(もちろんJK搭乗時にそれと話したりしてるわけなので巨大なケータイを使っているわけでもある) 近未来のようでケータイがガラケー型でJKのスカートの短さなどからも90年代後半のJKのイメージを松本次郎的にマッシュアップした戦争モノだが、巨大ロボ×JKというだけでもよくやったと言って差し支えない本作は、連載当時のバンチでも異彩を放つ作品だった。 精神汚染の原因はイカれてしまった汚染ランクの高いモンスター(元JK)との密な状況や接触であり、多くは物理攻撃によるJK自体への汚染が原因でコックピットにいる軍人(JK乗り)を巻き込んで汚染していくものである。 殺伐とした世界なくせにネオン街ではセーラー服を着たキャバや風俗が繁盛しているという割と救いようのない世界観だが、どこかドロヘドロのようなパンクさとMADMAXのような退廃・荒廃感を感じる。 あ、コッペリオンとも少し空気や設定も似ているとこがある。アイアムアヒーローもそうだ。つまりは世紀末感があるということだが、ここまで書いておいて松本次郎の作品でそれが感じられないのは「いちげき」ぐらいかもしれないw とにかくカツシン話はやたらと面白い!カツシン~さみしがりやの天才~ 吉本浩二starstarstarstarstarひさぴよ『ブラック・ジャック創作秘話~手塚治虫の仕事場から~』を始めとした吉本浩二ノンフィクション作品であり、他の作品郡と同様、関係者の証言を元に構成された漫画。座頭市の誕生エピソードに始まり、バルテュス、篠山紀信との交流、原田美枝子、渡辺謙、松田優作などの俳優としての顔、そして中村玉緒とその家族がそれぞれの勝新太郎の思い出を語る。 カツシンの大ファンである吉本浩二氏の昭和タッチな絵柄が、勝新太郎の世界では見事にマッチしています。カツシンが好きだからこそあの作風になったのではないかとすら思えますね。あまり知られていない勝新太郎の「さみしがりや」な部分は、この漫画でしか味わえない貴重な一面ではないでしょうか。寝ても覚めても映画と芝居が大好きで、作品創りに凝りすぎたあまり制作費を膨大に使ってしまい、会社を倒産させて多額の負債を作ってしまうあたりは手塚治虫と似た所があります(苦笑)。撮影事故、大麻パンツ事件なども僅かですが触れられています。この作品だけでは語りきれないほどのエピソードがあると思いますが、晩年までの出来事が全2巻でまとまっているので読みやすい長さかと。映画好きの方にもおすすめです。一気読みウロボロス―警察ヲ裁クハ我ニアリ― 神崎裕也名無し続きが気になって仕方が無い。一度読み始めたら止まらないタイプの作品。テンポも良いので一気に購読した後でも、疲れたって感じがあまりしないです。 ヤクザと警察って題材はありふれているのに、まだこれだけの物語を作れるのかって色んな意味で驚きました。漫画として単純に絵も上手く構成力もありクオリティが高いです。寿司とガールの不思議な関係寿司ガール 安田弘之名無し『ショムニ』や『ちひろさん』の作者・安田弘之さんが好きなので読みました。「寿司ガール」とは、寿司の妖精のような存在です。寿司ガールはなぜか悩みを抱えた女性の前に現れます。誰にも言えないような気持ちや本音を、寿司ガールになら話せるというのが不思議な関係だと思いました。なぜ寿司なのかはわかりませんが、楽しそうに過ごしているのを見ると理由はどうでもよくなってきます。寿司ネタの種類だけ寿司ガールが存在していて、頭に寿司ネタを乗せているのが可愛いです。「イクラパトラ様」とか、名前にシャレが効いていて好き。しみじみと良い漫画だと思います。 まだ見ぬプロレスファンの貴方へ俺のプロレスネタ、誰も食いつかないんだが。 さかなこうじ 柴田惣一野愛2000年代において90年代のプロレスメインで漫画にするというのがなんとも心憎いですね…。 白黒テレビで家族揃ってプロレスを見ていた時代が終わり、メジャー団体だけではなくインディー団体が生まれ、冬の時代を迎えながらも細分化され現代のプロレスに繋がっていく…そのいちばん美味しくていちばん学んでおきたいところを掻い摘んで知ることができるのであります。 とは言ってもプロレス好きな人なら履修はしてあるかな?という話題が多いとは思います。逆に言うとこの辺おさえとけばなんとなく今に繋がる流れがわかるってことなのかもしれません。 まあそんなことはさておき根本にあるのは「人の好きを笑うな」ということだと思う。 この漫画をプロレスファン以外のひとが読むことは滅多にないでしょう。でも、もしプロレスファンじゃないひとがこの感想を読んでこの漫画を読むことがあるならば(ないと思うけど)伝えたいことがあります。 誰に笑われても、誰に否定されても、どうかその好きに誇りを持ってほしい。 ニワカでも詳しくなくてもいいんだよ!あなたの好きがコンテンツを支えるんだよ! わたしの好きなプロレス団体の代表は常々「プロレスをメジャースポーツにする」と謳っています。今存在する全てのコンテンツが、新規に伝えることを辞めてしまったら衰退するばかりなのです。 ニワカであることを誇れ!古参はニワカを愛せ! たまちゃんをニワカだと批判するキャラクターが途中登場しますが、これは全てのヲタクが自分を省みるべきという戒めなのだと思います。知識とか認知とか金額とか(それらはひとつの指標だけど)だけを誇ってはいけないし、他のヲタクを排除してはいけないのです。 愛するコンテンツを守るために愛を広げなければいけないのです。 虎はウザいしたまちゃんはもっと喋れ、女装家レスラーやジェンダーレスレスラーがいるんだからオカマとか安易に言うんじゃない、とか思うところは多々あれど、結局はラストシーンでたまちゃんが虎に発した台詞が全てだと思います。 好きなものは好きと言おうじゃないか。好きなものを好きでい続けようじゃないか。 そして、プロレスをメジャースポーツにしようじゃないか!!!あり得そうでコワイ。ヒル 今井大輔名無し誰かが家の鍵を使い、住人が不在の間に上がり込み、居室で勝手に過ごしている。現実にもあり得そうな設定で、しょっぱなから怖い。 住人の留守中を過ごす家無しの女の子の、無人のはずの居室での出会い。過去も垣間見えて、女の子のこれまでの境遇とか、出てきた元同級生との関係が気になる展開です。すごいよこれナイショの戸黒さん 詩原ヒロさいろく※ネタバレを含むクチコミです。 ナイスバディ(相棒)GANGSTA. コースケ名無し犯罪都市・エルガストルムで、汚れ仕事を引き受ける便利屋を営むニックとウォリックのマフィアンアクション。荒くれ者の縄張り争い、警官にも悪いものがいたり、売春婦が逃げ込んできたり。常に危険と隣合わせな荒廃した街で、暗躍する二人がナイスバディすぎます。激しいバトル描写、マフィア同士の緊張の駆け引きなども見どころとなっています。本多忠勝、参上!武蔵vs信長!姫路城リビングデッド 漆原玖名無し戦国武将マニアとか歴女とか御城マニアとか、 最近はかなりマニアックな趣味を堪能している方々が いらっしゃるようで。 自分はまったくそっちの知識も興味もありません。 東海地方在住でもあり、一般知識にプラスアルファで 郷土の武将達に少しだけ知識があるくらいで。 プロレスラーの藤波さんが御城マニアだそうで、 有名人が自分のマイホームについて語る 「俺の城」というTV番組から出演依頼が来たら 名古屋城とか松本城とか、御城について好きなだけ 語れる番組だと思って出演を快諾したとか。 そういう話を聞いても、あきれるというか なんでそこまで戦国時代に思いいれができる人がいるかな、と 疑問を感じるしかないのですが・・ 「姫路城リビングデッド」は、そんな私でも 冒頭の数ページを読んだだけで、 ああ御城って建造物としても凄いし、 大勢の人が色々な思いを込めて築城し、 何をどう考えて構築して、それを攻略するならどうしたらいいか、 そんな風に考え出したら止まらなくなる存在なんだな、 そう感じました。 確かに色々と浪漫を感じる存在だな、と。 そして最期まで読んで感じたのは 御城とは人民を守るためのもの、ということ。 けして城主の威光や権力の象徴ではない。 マニアが興味をもつにたる存在なのだな、ということ。 徳川が日本を平定し、太平の世が始まりかけたとき、 突然にゾンビが姫路城を襲ってくる。 しかも数十年前に死んだはずの信玄、謙信、信長などが 指揮をとり自らが先陣を切って攻め込んでくる。 迎え撃つのは伊賀忍者の末裔だったり宮本武蔵やその弟子。 そして城の守り神の依り代的な、城マニアの町民。 漆原先生が描く、その激闘シーンがこれまた凄くカッコイイ。 後に唐突に登場する本多忠勝なんて (イチ地元民としての偏見ですが) 料亭・柿安の前で銅像になって座っているだけの人 という印象しかなかったが、なんてカッコ良いんだ! 史実と浪漫がゴッタ煮になって沸騰しているような熱い漫画。 けれどストーリーはしっかりとしていて ただのトンデモ話ではない、よく出来た話が展開する。 戦国時代にリアルを求める人にも、浪漫を求める人にも、 SFチックなエンタメ的な面白さが好きな人にも、 是非とも読んでみていただきたい漫画。 きっと、それぞれ独特な感想を抱くと思います。現代の秘境で見たものは?!キャッチコピーは「心にググッとグンマ県」!お前はまだグンマを知らない 井田ヒロト名無しチバ県からグンマ県に引っ越してきた高校生が、恐るべきグンマの真実を知っていく物語です。 転校初日からグンマ文化の洗礼の数々が待ち受けています。 開かなくなる電車の扉、ヤンキー率の増加、からっ風のせいで自転車が進まないなどなど。 小学校のころにグンマに転校していった友達はグンマ漬けになって体質も変化し、今では水沢うどんを操って空中を飛ぶことが出来る能力者になっていたり、JKJという怪しい集団が登場したり、トチギとは交戦中という設定だったり、スケールのデカい嘘がたまらなく面白い。 かと思えば、上毛カルタ(聖典)のようなローカル知識をしっかりと取り上げていたり、グンマのPRにも一役買っています。 とにかく、グンマすごい!と思いました。 焼きまんじゅう食べて死にたいお前はまだグンマを知らない 井田ヒロト野愛関東地方に住みついて長くなったものの、群馬を訪れたことはない。 高速道路で通過したことはある。下仁田を横目に「ネギのとこか」と思った記憶がある。花火大会に行ったら中止になって予定が潰れたと知人から聞かされたことがある。 それくらいの認識しかなかった。 こんな危険な場所なんて知らなかった!!!!焼きまんじゅう旨そうって思ってたけど県外なので食うと死ぬ!!!! 和算の大家関孝和!!!!誇る文豪田山花袋!!!!上毛かるたガチ勢と一戦交えたいなんて思ってごめんなさい。 でもね、故郷への誇りって素敵なものです。 わたしもど田舎出身なので自虐として出身地のお話をすることはあるけれど、やっぱりそこには愛と誇りがあるのです。 きっとグンマの人達もそう。だから栃木とバチバチしちゃうんだね。餃子もレモン牛乳も美味しいけど井森美幸も中山秀征も好きだからグンマ自信持ってねグンマ。焼きまんじゅう食べたいよ。グンマがなけりゃ静かなるドンの実写ドラマはなかったんだよ。 生まれ育った地に対してプラスでもマイナスでもどっち向きでもいいから、アイデンティティ抱えてる人って幸せだと思いますよ。帰る地があるということ、人に語るべきことがあるということ、幸せでしょ。 死んでもいいからわたしは焼きまんじゅう食うぞ。姫路城 対 ゾンビ姫路城リビングデッド 漆原玖名無し戦国時代が終わり、徳川の世になってしばらく経った頃の時代劇漫画です。 主人公は城マニアの農民で、やたらと姫路城について知っていて、訪ねてくるお偉いさんに説明したり、ゾンビが襲ってきたときも地の利を生かした戦いを説明してくれます。 40年ほど前になくなったはずの上杉謙信や武田信玄などがゾンビとなって姫路城を侵略するのがアツい。 【ふらんき砲】など昔使われていた兵器なども登場したり、今までに見たこともない時代劇でのゾンビとの闘いという組み合わせがワクワクしておもしろい。漫画だからこそ描けた絶望人間失格 古屋兎丸 太宰治野愛太宰治『人間失格』を漫画化した作品。 原作をそのままなぞっているのではなく、現代的かつメタ視点で描かれている。 古屋兎丸先生自身がインターネット上で大庭葉蔵の日記「人間失格」を発見し、読み進めていくというストーリー。 読者は古屋兎丸の目を借りて、葉蔵の人生を追いかけていくことになる。 父を憎みながらも実家の金で裕福に暮らし、仕送りが打ち切られれば女の家に転がり込む姿に、最低だ罪人だと責めたててしまいたくなる。 煙草屋の娘に恋をして、1日に何度も煙草を買い、素直になれず揶揄う姿はなんとも可愛らしい。 他者の目を挟むことで、葉蔵という人間の可愛らしさや狡さ、いやらしさがより鮮明に浮かび上がる。女を誑かす様子なんかは、原作よりも真に迫るものがあるような。 小説『人間失格』も葉蔵の日記を読む他者の視点で描かれている。漫画『人間失格』も同じだが、古屋兎丸視点で古屋兎丸の絵で描かれているので、メタ要素がより色濃く感じられる。 葉蔵を見つめる読者である古屋兎丸を見つめる読者である自分自身。古屋兎丸の目が自分自身の目となり物語に飲まれていく。 嫌悪、軽蔑、共感、友愛…葉蔵に対して様々な感情を抱きながら、共に絶望の果てに追い込まれる自分自身をまざまざと見せつけられる。 小説『人間失格』からは「ただ、一さいは過ぎて行きます。」という一文が示す通り、すべてが過ぎ去ったあとの凪のような絶望を感じた。 対して、漫画『人間失格』からは今まさに激流に飲み込まれて苦悩しているような生々しい絶望を感じた。 それぞれの絶望の味を是非読み比べてみてほしい。 古屋兎丸先生の人間失格が素晴らしかったので 津軽×魚乃目三太先生とか、斜陽×えすとえむ先生とか 相性の良さそうな太宰×漫画家を妄想するのが楽しい…駆込み訴えをどうにか現代設定(どうやって)にしてゴリゴリのBLにしたりとかめっちゃ見たい わかりみがつよい働かないふたり 吉田覚やむちゃ許されるならずっとおうちにいたい、インドア代表の自分にはバイブル的な漫画。 でもこんな素敵なお兄ちゃんがいたら養いたくなるな…登りたい気がする山と食欲と私 信濃川日出雄野愛めちゃくちゃインドア派なるべく平坦な道を歩きたい派なので、山に登りたいと思ったことはないですが鮎美ちゃん見てたら登りたくなる気がします。 ついついSNS見たり本を読んだりyoutube見たり、ひとりで過ごす時間はあっても何か情報を得ようとしちゃうのが常。 自分と向き合う時間を持つのはなかなか難しいことです。 ひたすらに山と向き合い、自分と向き合い、食欲を満たすという原始的な欲望と向き合い、そんな鮎美ちゃんかっこいいなあ…と小松原さんとおんなじ気持ちを抱きました。 まずはスマホを持たずに近所をお散歩するところからはじめようかな…登山はハードル高いので。 山ご飯美味しそうなので漫画飯再現したいのですが、山登らないのに高カロリーなもの食べるのは罪悪感がありまくりますね。でも食べたい。凄いタイトルだけど純粋な母への愛が描かれたエッセイ母を亡くした時、僕は遺骨を食べたいと思った。 宮川さとしnyae著者が、母親が亡くなったあとに同じ境遇のタレントに親近感が湧いたり、同じ思いをしていてほしいという思いから会う人に両親の存命を確認したりしてしまうという話がいちばん印象的です。 瀧波ユカリ先生の「ありがとうって言えたなら」同様、母親が癌で亡くなった話を描いたエッセイ。ありがとうって言えたならでは、あまり良いとは言えなかった親子関係があった上で描ける複雑な思いがありますが、この本では純粋に愛する人が亡くなるとはどういうことなのかというのが描かれています。 タイトルにある「遺骨を食べたい」という気持ちは、火葬後に納骨からもれた細かい遺骨に対して生まれたもので、人によっては猟奇的にも感じるかもしれませんが、愛する人の体の一部を自分と一体化したいという思いはある意味究極の愛のかたちでもあるなと思いました。 #stayhome のお手本働かないふたり 吉田覚野愛せっかくの休みなのにお家にいるの飽きちゃったなあなんて思う今日この頃。 不要不急の外出はしないなんてもちろん百も承知なんだけど思いっきり遊びたいなんて思う今日この頃。 働かないふたりを読んで目が覚めました。 子ども心を忘れずゲームや漫画やDVDに明け暮れたらいいんだ! お菓子いっぱい食べたらいいんだ! スウェットでごろごろしてご近所さん眺めてたらいいんだ! 守と春子を見習って平和にぐーたら過ごせたらこれ以上に幸せなことなんてないです。 こんな世界じゃ些細なことで憂鬱になってしまうから、せめて家にいるときは楽しいことだけ考えようじゃないか。 それでも不安で眠れない人は、倉木さんのように働かないふたりを見守って癒されようじゃないか。 ほっこりするけどそんな息つく間もないくらいに笑わせてくれること間違いなし。いくつになってもうんこで笑っちゃうよね。無料だったので読んでみたけど続き読みたくてポチッとしちゃったよね。 この作品を読んでいると、家族にどうしようもなく会いたくなってしまうところだけがちょっとつらい…けどまた元気に会える日を信じて引きこもります!働かない、は素晴らしい!!働かないふたり 吉田覚名無し超ほのぼのしてる引きこもり漫画ですね! 読んだようで読んでなかったので一冊試しに読んでみました。 好き!!!!!!! お兄ちゃんと妹がとてもいい。 ほぼ家で話が完結しているので逆にすごいです。 ニートが生みだす優しい世界働かないふたり 吉田覚六文銭新刊が出ると即買ってしまう数少ない作品。 ニート兄妹、守と春子の日常を描いた作品。 ニートなのに楽しそうで、ニートなのに一番人間らしい生き方をしていて読んでいて心が洗われるんです。 人間らしい…というのは、偏見ですがニートって余裕がないイメージなんですよ。精神的にも金銭的にも。 そうなると必然的に他人に強くあたったり、必要以上に卑屈になったりするイメージなんですが、この兄妹は全然違うんです。 誰にも自然体で、誰にも優しくて、まともな職についている人よりよっぽどまともなんです。 人間として。 ニート的な着眼点でハッとする部分もあります。 最新巻でも、整形して後ろめたさをもった春子の友人(あかね)に 「たくさんお金を貯めて、痛い思いもして、なんでそれがズルいの?がんばってえらいんじゃないの?」 と聞く姿には、うるっときました。 毎巻こんな感じで、他人を思いやれるそういう目線、スッと出る言葉に、作者の優しい人間性がよく出ていると感じました。 ほのぼのと優しい世界と時々出る常識を疑う目線に惹きつけてやみません。 ニートを楽しむ働かないふたり 吉田覚名無し私自身、若い頃はニートをしていたので、読んでると当時の事を思い出したりします。外に出るのが億劫で、朝起きたら夜中まで同じ格好のまま。家でゴロゴロして遊びながらも、内心はネガティブな気持ちで過ごしてました。でも、このマンガを読んでいると本当に楽しそうなんで、もう少しニートであることを楽しんでいいたらなあ。。と少し後悔しました。現在もしくは過去のニート経験者ならではの「こういうのあるある」共感しきりなマンガだと思います。山が呼んでる〜!山と食欲と私 信濃川日出雄山おじさんタイトルそのまんま 山と食欲と私(主人公:日々野鮎美)の漫画です 感染症のせいで外にいけない今だからこそ呼んで妄想したい漫画! 行きたい!奥穂高!! 孤独のグルメとかそういうのに近いかもしれませんね。 3巻まで読了! 山知識はしれっと絵で書き表してあったりで、やはりメインはご飯を食べること! 自分は山登ってからの温泉こそ最高派ですが、山頂で自分のコッヘルで飲み食いするのも最高っていうのはわかります! 料理と山の絵、女の子が頬張って満面の笑みを浮かべる超幸福度高い漫画! 真似したい!本当は真似したい!<<123>>
太宰治の「人間失格」が人生のバイブルと言って憚らない私ですが、行間やニュアンスなど、人によってとらえ方が異なると思うので、漫画化(ないしは映像化)は非常に難しいと思っていましたが、本作は素直にすごいと思える内容でした。 最初、作者は、葉蔵を自分に重ねているのかな?と思いましたが、そうでもないっぽいですね。 表現の仕方だけでなく、ネットで小説を発見し読み進めるという導入が、単純に原作をなぞるだけではない手法に、小説で夢中になったあの頃と同様ぐいぐい引き込まれてしまいました。(原作も手記からはじまるので、現代版のオマージュだと思いますが) 人間失格がもつ、そのもののパワーを摩擦なく表現しきっている感じです。 自分は、本作で描かれる人間の醜さ・弱さもですが、何より主人公の惨めさが際立って記憶にあるので、そこをこれでもかと描かれる感じがよかったです。 良かったというか、胸にクる感じが、懐かしかったです。 コミカライズは多々あれど、原作好きにもおすすめしたい一作です。