警視庁刑事部に「国際事件課」が設けられたのは、1988年1月11日の事である。課員47名、うち女性捜査員4名。この4名がチームを組み、国外で起きた日本人絡みの難事件に挑む!――――マニラ湾に日本人男性の変死体が浮かんだ。捜査が進むうちに、事態は保険金殺人の様相を呈してきた。実行犯のアリバイを崩す為、4人はマニラへ向かう……!?表題作の他に、ちょっと不思議な短編群『章太郎萬画心の詩』を収録。
富士山に不時着した米軍のB52超重爆撃機から、何者かによって水爆が盗まれ、何処かへと隠された!中学生・城丸健二の兄・一郎は、国連の秘密捜査機関のシークレットマンで、この事件を追っているうちに殺される。兄の跡を継いだ健二は、事件の黒幕である武器商人・犬山剛三の本拠地に乗り込むが、水爆は米軍の空軍大佐によって持ち去られてしまい……!?表題作の他、アクション短編2編を同時収録。
青いマン華鏡
仙台行の特急列車で隣り合わせた少年が持っていた青い万華鏡。覗いて見えたのは、青春時代の懐かしい世界だった。表題作ほか、『ボクののらくろ』『トキワ荘のチャルメラ』『手塚治虫の逝った日』、息子達との夏休みを綴った『小川のメダカ』などの自伝を収録した短編集!「シゴトテツダツテ…」の電報や「ジュン」をめぐる確執といった、手塚治虫との関係を回顧した『風のように……背を走りすぎた虫』にも注目!
がんばれロボコン
ガンツ先生の許しを得ずにロボット・ランドから家出してきた、真っ赤なボディーのロボットの名前は「ロボコン」。人間の為になんでもするように作られたサービスロボットの一体だ。たくさんサービスをして成績を向上させ、ハート印を増やすのがロボットの目的だけど、ロボコンのハートは、まだ一つだけ……。特撮テレビの放映も同時に始まり、超合金が社会現象にもなったロボットコメディ。コミック版ロボコンの暴走っぷりは必見!
龍神沼
龍神祭りを見物するために小さな山村を訪れた研一は、沼で不思議な少女に出会った。白い着物姿の少女に心を奪われるが、村人は誰もその少女を知らず……。その晩、村に不審火が放たれた!それは龍神の祟りなのか!?映画的手法を取り入れて描かれ、後世の漫画家に大きな衝撃を与えた傑作!!1957年発表の表題作の原作『龍神沼』、『きりとばらとほしと』『千の目をもっている』など、初期少女漫画の秀作が満載!
気ンなるやつら
ダブル6(六村6兵衛)、マリッペ(山田マリ子)、カミソリ(大文字清)、リス(林カン太郎)、ゴリラ(佐川ミヤ)の5人組は、なにかと事件に巻き込まれる高校生。仲間のリスが警察に捕まったという一報が届く。覆面三人組の強盗現場にリスの定期入れが落ちていたのだ。果たして彼らは仲間を救い出せるのか?そして物語は、幼なじみである6兵衛とマリッペの恋模様へ……!?明るく爽やかな青春サスペンスコメディの名作。
アール星の王子・チックンと、お目付け役のタックン・ハット、そして地球人の少女・ミコに、自称・大悪党のドクター・ベルとその子分ロボット・ギジギジ。――――『チクタク大冒険』でお馴染みの面々が、動物の“あいさつ”、“学習能力”、“体内時計”など、世界の不思議について楽しみながら学びます! 1984年~学習研究社「5年の科学」「1年のかがく」に掲載され、アニメ化もされたオモシロ学習SFコメディ。
「プレイコミック」で1969年~70年に連載された短編の数々。部屋に突如現われた女性との性的妄想を描いた『海の部屋』、思春期の性的トラウマを癒すSF『だまし絵』、トキワ荘時代の自伝を思わせる衝撃作『鋏』、シュールなギャグ『JAMSAUSAGE』や、石ノ森の才能が溢れるホラー短編『怪談雪女郎』『カラーン・コローン』『遠い日の紅』、『旅鴉』『灯台』『歯車』『衛』の11編。記憶に残る秀作が勢揃い。
全国の銀行や資産家を襲う神出鬼没の怪盗「鉄面クロス」。この怪盗を追う父子刑事がいた。息子の元(ゲン)は、熱意と才能に溢れた捜査二課のエースだったが、怪盗を単独追跡中に行方不明になってしまう。半年後、ひょっこり戻って来た元は、常に呑んだくれる腑抜けになっていた!?二度と外す事のできない鉄面を装着された元刑事が追う事件の数々とは……?人は皆、素顔を隠して生きている。悲哀と孤独のサスペンス、開幕!
メガロポリスTOKYO。スモッグが立ち込める高層ビル最上階の一番安い部屋に、ある探偵事務所があった。探偵の名はガイ・パンチ。調査依頼は……殆どない。暇を持て余し、アンドロイド助手のアン・ドールとベッド・インするも、そんな時に限って依頼が。身支度を整え、依頼主の元へ飛行艇を飛ばすガイだが、何者かに襲われ墜落し……!?男性週刊誌「平凡パンチ」に連載された幻の傑作、60年代アダルトSFアクション!
ニックネームが「ダッシュ君」の本当の名前は、速夫。お母さんはいなくて、サンデー・ニュース社の事件記者であるお父さんと2人暮らしだ。自分も事件記者になりたくて、警視庁の記者クラブにいるお父さんを訪ねた時、特ダネを見つけて大手柄。その時にダッシュ(突進)のあだ名をもらって、憧れの事件記者の仲間入りを果たす。毎日、どこかで起きる様々な事件を追って大活躍のダッシュ君。特ダネもあるけど、たまに失敗も……!?
日本の夜明け間近、1862(文久2)年の京都。実験に失敗し、何度も爆発を繰り返す少年がいた。名は、モ一(もいち)。身寄りが無く、異母寺(いぼじ)の和尚に面倒を見て貰っており、大の発明好きで、色々なアイデアを持っている――。ある日、寺に隠れていた海援隊の坂本竜馬と出会ったモ一。怪我を負い、新選組に追われているという。新選組に取り囲まれた寺から竜馬を逃がす為、モ一は新しい発明品を作るのだが……!?
マンバ通信の記事で知った作品。最近山田五郎が配信のなかで「龍神沼は石ノ森章太郎先生の少女漫画時代の隠れた名作」と言っていたので読んでみた。 東京から田舎に来た少年が美しい龍神様にひと目会い別れる…という儚く美しいストーリーが、これまた美しい筆致で描かれていて素晴らしかった。これを19歳で描いたなんて信じられない。 「少女モノらしくない少女モノを描きたかった」 「高校時代から温めていた大長編作品で、上京後で“青春ド真ン中”の1957年に描いたもの」 という文章を読み、この作品は生まれるべくして生まれたんだな…と納得した。 巻末に収録されている石ノ森先生のコメントはどれもいいが、 「マンガというものは、性別や年齢に限定される読まれるべきものである、というのが信念だった」 という一文が特にいい。 リアルタイムに読めたらどれだけ感動しただろうか……。 物凄く美しい作品だったけど、これを心の奥で少しでも「(なんだ…こんなもんか…)」と思ってしまったことが悲しい。 (AKIRAやスター・ウォーズの凄さがわからないってこんな気持ちなのかもしれない) 今まで自分が読んできた全ての少女漫画はこの名作があってのもので、2021年の読者が「当たり前」「普通」と感じるような作品を1957年に描き上げているという「とんでもなさ」をしっかり理解して噛み締めたい。