オタクばあちゃん
イベント最前で心を燃やす85歳のおばあちゃんが素敵
オタクばあちゃん 伊達しのぶ
兎来栄寿
兎来栄寿
自分が何歳まで生きるかは定かではないですが、年齢を重ねてもこのバイタリティを保ちたい。随所で笑いながら楽しませてもらったのが、こちらの作品です。 85歳のおばあちゃん・チヨとその孫の孝が主人公ですが、チヨさんはただのおばあちゃんではありません。スマホPCタブレット4台で特典を巡る予約合戦をガチり、イベントでは最前に並び、同担拒否し、自担を貶す輩には10分間の説得で推し変させるほどのガチオタクとなってしまったおばあちゃんなのです。 彼女とオタ友になるホストや、孝のクラスメイトの女子など、さまざまなオタクが登場します。 本誌で脇役の推しが登場しない期間の飢餓感、推しの命が危機にさらされることで自分の命脈にも連動するさま、はたまた推し活が報われて爆発する瞬間などは推しがいる人は強く共感できるところでしょう。 基本的にはギャグなのですが、孝のクラスで孤立するオタクの沼田に対して、 「あのね オタクになれるってだけで人類最強なんだよ  オタクになれるのはものすごい熱量を持った限られた人間だけなんだから!!」 という言葉は、悩めるオタクへの最高のエールだと思いました。 個人的にはばあちゃんが『H2』でバッティングセンターに通ってバッティング技術を得て、『YAWARA』で柔道教室に通い技を習得したところや、 「黙れ小僧」 「肉食系女子にもなりきれぬあわれな娘だ」 の件も好きです。 また、巻末の描き下ろし「チヨの初恋」は純粋に上質な少女マンガとして楽しめるお話で大変良きでした。
クロスバーストハニーハニー
大丈夫、杉谷庄吾さんのお嬢様eスポーツだよ。 #1巻応援
クロスバーストハニーハニー 杉谷庄吾(プロダクション・グッドブック)
兎来栄寿
兎来栄寿
『映画大好きポンポさん』シリーズでお馴染みの、杉谷庄吾さんが描くお嬢様学校を舞台にしたeスポーツマンガが爆誕しました。 『ゲーミングお嬢様』や『対ありでした。 ~お嬢さまは格闘ゲームなんてしない~』がますます盛り上がり、そして期待の新星Vtuberとして壱百満天原サロメ嬢がバズりにバズっているこのタイミングで、杉谷さんによるお嬢様eスポーツ。こんな鉄板な作品があるでしょうか。 ゲーム部の施設が整った朝日星学園。 ゲーム初心者でありながら、とあるゲーム向けの能力が異常に研ぎ澄まされている冨永ヒマワリと、とプロゲーマーを夢見る迅御(はやお)ルナが出逢い、寮も同室であると判明するところから物語は始まります。 「ゲームは遊びじゃない!」と豪語するルナに「ゲームは遊びでは?」と返すヒマワリに対しての 「命を削って磨き上げた技術と知識!!  これほどまでに自分の人生における信念と努力と時間を賭けてしまったからには  もう誰にも負けられないという不退転の執念が結晶化された譲れないプライド!!  ……本気でゲームで戦うっていうのは  プレイヤー同士がお互いの胸に輝くプライドという名の  存在証明を潰しあうって事なのよ  だから勝ったら飛び上がるほど嬉しいし  負けたら死ぬほど悔しい」 というルナの語りは、対人ゲームにおける本質を見事に捉え言語化しているもので、序盤から「流石杉谷さんッ! そこにシビれる憧れるゥ!」という気持ちでテンションを高めて読み進めました。 そんな二人がメインにプレイしていく、タイトルそのままの作中作「クロスバーストハニーハニー」は、対人要素もあるMMOで、RPGをプレイして強敵を倒しレベルアップしながらレアアイテムを手に入れていく喜びが表現されています。 そして、仲間であるクナイや、立ちはだかる強豪である鐡のアスラ、福音のスイレンなど魅力的なキャラクターも目白押し。 作劇のツボをしっかり押さえていて、面白くないはずのない物語に仕上がっておりこれから先の展開も純粋に楽しみで仕方ありません。
ビーストリングス
エンタメ性&現代性全開ファンタジー
ビーストリングス 山本四角
兎来栄寿
兎来栄寿
ファンタジーと現代文明が融合した世界設定や、獣人やモンスター系も入り混じった多種のキャラクター設定が綿密に作り込まれており、それを非常に高い画力で全編カラフルに描いて現出させている読むテーマパークのような作品です。 幕間やカバー下にも詳細設定が掲載されていますが、こういったものを読み込んで世界に浸るのが好きな人にとっては堪らないでしょう。 魔法、ダンジョン、エルフにドライアド、忍者に吟遊詩人といったファンタジー要素がある一方で、スマホ、SNS、動画配信など現代性を感じさせるものが同居している世界観の中で、様々なキャラクターが群像劇的に描かれてそれぞれの物語が展開します。 筋肉で何でも解決しがちな市長や、BL妄想の激しい秘書サキュバスなど個性溢れるキャラたちも非常に魅力的。異種族間の恋愛要素もあり、好きな方には深く刺さるかもしれません。 また、画面の密度が濃い上に作劇のテンポも非常に良く、また構成も非常に良くて(影響を受けた作品にも解る解るとニヤリとします)、並の1冊のマンガを読んだだけでは得られない満足感が生まれます。 シンプルに絵もマンガも上手いので、今後のご活躍もとっても楽しみです。
シロとくじら
これはいい年の差マンガだ #1巻応援
シロとくじら tunral
nyae
nyae
ショタくんとおじさんでおなじみtunralさんの新作。これまたかわいいショタボーイ・くじらくんと、髪の毛が真っ白な青年・シロくんの日常を描いてます。シロくんは最初、外界との接触を拒む引きこもりかと思ったのですが、家族とのやりとりや突然現れた幼児への対応力などを見て、あ違うんんだとすぐに気づきます。今のところはただの無職らしい。 普通は家にいきなり元気100倍の幼児が来たらてんやわんやの生活が始まりそうなところですが、くじらくんとシロくんの相性が抜群なのか、ずっと続いてほしいと思える平和な光景が続きます。世話をするというか、年の差がある友達って感じです。ただくじらくんは前に通っていた幼稚園で起こった問題?によって転園を余儀なくされて急遽シロくんの家へ来たっぽい。 見え隠れする色んな要素に注目すれば、キャラクターそれぞれに平坦ではなかった過去があるんだろうと想像できますし、それによって物語が上っ面だけじゃないものなってると感じました。 こういうテンションのマンガって多分他にもあるけど、いくらでもあってくれと思えるくらい好きですね。いくらでもあってほしいし、永遠に続いてほしい。
トカゲ爆発しろ
『種族の垣根を超えた学園コメディ』(ニコニコ漫画トップ画像より)
トカゲ爆発しろ okamura
サミアド
サミアド
多くの種族が共存する世界で学校に通うリザードマン「里佐土リド」が不可抗力で色んな女の子の胸を触ったりする漫画です(超訳)。 お色気要素は多いのですが作風のためかカラッとしていて健全な(?)サービスシーンという感じです。 リザド君はバカで貧乏で粗野でバカですが、強く優しく 頼り甲斐があって素直で 意外と責任感があってバカなので、トカゲですが皆に人気があります。結構モテます。存在がボケですが、時にはツッコミもこなします。 ヒロインレースは1巻表紙の眼鏡エルフで決まりですが、他のキャラも個性的で面白いです。少数ですが男キャラも出ます。 「トカゲが毎回災難と役得に見舞われる」コンセプトですが、そもそもリザドは性格的にもトカゲ的にもラッキースケベが役得にならないんですよね。読者目線では羨ましいかもですが… 体が金になってクラスメイト女子の換金用アイテムになったりと、災難は普通に降りかかります。 「スピーシーズドメイン」などと比べると恋愛ドラマは極少で、ヒロインの好意や嫉妬がギャグのネタとして使われる程度です。 「恋愛要素は絶対許せん!」という人でなければギャグコメディとして楽しめます。 キャラは可愛いので萌え需要もあると思います。 画像は立ち退き拒否して勝手に図書館の蔵書を護る炎の守護者と、図書委員のダークエルフです。
ヤンデレ彼女に眠らせてもらえない話
タイトルで判断しないほうがいい
ヤンデレ彼女に眠らせてもらえない話 くすのき
六文銭
六文銭
ヤンデレ属性って、嫌いじゃないんですよ。 病的なまでの恋愛感情が、一周回って魅力的にすら感じるんです。 んで、本作のタイトル 「ヤンデレ彼女に眠らせてもらえない話」 あーなるほど、ヤンデレ彼女から深夜でも連絡がとまらず、 眠れないって話ね。 なるほど、、、、、 いいじゃないの! と脳内シナリオを完成させて、読んでみました。 内容は、交通事故にあって亡くなった主人公が、彼女(ヤンデレ)の能力によって、クマのぬいぐるみに憑依させられたという話。 そう、彼女はヤンデレだけでなく「いたこ」でもあったのだ。 ・・・ちょっと何いっているかわからないかもしれませんが、自分も初見のときはびっくりしました。 あ、霊だから? 霊だから眠れないって、そういうこと?  みたいな。 ただ、全体的にヤンデレ要素はちゃんとあって、 クマのぬいぐるみであっても、主人公への狂愛はかわらず、結界をはって動けなくしたり、または生前の付き合いまで根堀葉掘りとチェックしていくなど進んでいきます。 全体的に、コメディタッチで明るい部類のヤンデレだと思います。 物理的といよりは、霊的?な話ので驚きましたが、まぁ、これはこれでアリかなと読みすすめていましたが、 最後の最後で、また、 え? ってなりました。 1巻完結なようで、これで終わりってマジか・・・となってます。 色々、想像の斜め上をいってくれる作品でした。
同棲生活
みんな百合同棲で幸せになろうぜぇ
同棲生活 さつま揚げ
あうしぃ@カワイイマンガ
あうしぃ@カワイイマンガ
いゃぁ、ぶっちゃけ出生率が下がろうが「私」の幸せには関係無いじゃないですか?だから百合同棲で幸せになれるならガンガンすれば良いと思うし、足立区は滅びれば良い※(追記あり) 『同棲生活』の社会人女性カップルは、少しのすれ違いや言い合いなんかはあるけれど、深刻な対立にならない。なので、現実の荒んだ日常に疲れた人の癒しになるし、なんなら女性同士の同棲に夢を見られる。 ……百合同棲で、自分も幸せになれるかも?って。 ただ難易度高いと思うのは、お互いを「責めない」事。例えば片方は料理苦手だし、仕事のコトをグジグジ愚痴る。方やタバコを吸ったりして、互いに喧嘩になる要素はありそう。それでも互いに「愛されている」という自信(作中では「慢心」)があるので、逆にどこまでも相手を赦し愛する。 大きな情動は少ない代わりに、どこを切り取っても楽しさしか無い。良いパートナーに巡り合えた二人の、日常の遣り取りをただただ眺めて、幸せになる作品です。 攻め受けがくるくる入れ替わるエロ要素も、トキメキいっぱい!(俗に言うリバですが、二人の関係は対等なので、割と自然です) ※「足立区は滅んでしまう」発言については下記記事を参照下さい。 https://www.google.co.jp/amp/s/www.tokyo-np.co.jp/amp/article/61336 ※追記:その後2021年代4月1日に、足立区でパートナーシップ・ファミリーシップ制度が施行されました。カップルに子供がいる場合、家族として証明するという、もう一歩進んだ制度となっているそうです。 区の真摯な取り組みに敬意を表すると共に、足立区が全ての人にとって住みやすい地となる様、祈ります。 https://www.tokyo-np.co.jp/amp/article/95246?__twitter_impression=true