余命宣告を受けた合気道の達人のおじいちゃんが異世界に転生して無双する話…と単純に書いちゃうと「よくあるやつじゃん」となってしまうのでとにかく試し読みしてほしいです。主人公がおじいちゃんというところは捻りつつも、ストーリーラインや演出はド真ん中なのが気持ちいいんですよね…。

武道の達人であるカイチさん、物理的にも精神的にも本当にしっかりしているので安定感がすごくて、地に足ついた異世界の世界観をよりドッシリと感じさせてくれます。やはり体幹、体幹は全てを解決する。
カイチさんはファンタジー系の知識に疎いんですが、相棒の看護師トキちゃんはその手の専門家で、ふたりのやり取りもコミカルで楽しいです。とにかく色んな敵をびしばしスカッと倒して異世界ロードを邁進してほしい。

変化球と見せかけて王道な異世界ファンタジー、これ系に飽きている人こそ読んでみてほしい!

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エロイーズ 本当のワタシを探して

物語の始まりのシーンが好き

エロイーズ 本当のワタシを探して
ANAGUMA
ANAGUMA

本作、ベンチに座っていたエロイーズがふと記憶喪失になっていたことに気付くシーンから始まるのですが、その自然さがなんだか巧みで、ピンク色のカラートーンとともに強く印象に残っています。 メインとなるストーリーラインはサブタイトルにもある「本当のワタシ」探し。 少ない手がかりを元に記憶を失う前の自分がどんな人間だったのかを調べていく…と書くと壮大なミステリーやサスペンスのようでもありますが、そうそう大変なことが起こるわけでもないのが人生というものかもしれません。 どこにでも居る女性だった(と思われる)エロイーズ・パンソンの身の回りも、世の人のご多分に漏れずありふれた出来事ばかりだったようで、一生懸命過去の自分の身辺調査を行うほどに些細でちっぽけなことばかりが判明していきます。そのようすは親近感やおかしみと同時に、どこか空虚さというか、切なさも感じさせたり…。 「記憶を失う前の自分ってどんな人間だった?」というのを入り口に「そもそも根本的に自分ってどんな人間なんだろう?」という二重の意味で「本当のワタシ」を探すことになるのが妙味です。 そんな深いテーマもありつつ、バンドデシネとしてはかなり読みやすい部類に入ると思います。エロイーズのちょっとした仕草がどれもかわいかったり、普段縁遠いフランスでの「フツーの」暮らしが垣間見えるだけでも面白いので、読む機会があれば気軽に手に取ってみてほしい一作です。

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