骨董店『青嵐』の主人・池端伊織は、魔を祓う手──いわゆる物についた邪念を祓う浄化能力の持ち主。ときたま店に持ち込まれる品を浄化しては具合が悪くなるが、2年ほど前から共に暮らすようになった居候の水虎(命名=たま)のおかげで、それは長引かなくなった。普通とはいえないが、優しく穏やかで満ち足りた日々。だがそれは、ある日突然終わりを告げた。逆上した客に、伊織が刺殺されたことによって。──伊織っ、伊織っ……!? 死、ぬな……死ぬな、死ぬな!! こんな運命、認めない!! この世とあの世を行き来する命がけの奪還劇!!
千年前、知らず人魚の肉を口にし、老いぬまま独りさすらう運命に囚われた香坂芳典。癒しの力を宿したせいで幾度も狙われ、窮地に陥りながらも、彼はできる限り救いの手を差し伸べ、まっとうに生きてきた。だが、対面した『その患者』が、芳典を驚愕させ、善悪の判断を狂わせる。神原柾木──彼は、芳典が今もなお愛する初恋相手に瓜二つにもかかわらず、芳典を徹底的に侮蔑し、何より生きる意志がなかった。反発した芳典は、柾木と無理やり繋がり、その命を助けてしまうが……。──柾木は生まれ変わりなのか。過度の官能が織り成す、悠久の恋物語!
多忙を極める氷室景彰と青葉蓮の帰りを待ち、長らく続いた独り寝の夜。マスターである二人のエンジェルとして、すっかり可愛がられるための身体につくり替えられてしまった宗谷七瀬には、それは耐えがたい日々だった。その彼らの仕事が一段落。二人はまるで罪滅ぼしのように七瀬を休暇へと連れ出す。海辺のコテージ、ラグジュアリーな船上──開放的な異国の地で、主人とエンジェルらしく、どこまでもアブノーマルに求め合い……。『エンジェルヒート~Devil~』の後日談となる、鴫原冬真×里川雛希編も欲張り収録? 恋人たちの熱い休息、エンジェルシリーズ第6弾!!
神聖蓬莱帝国──万世一系の皇帝が2000年にわたり統治してきた、大小一万の島々からなる東洋の絶対君主国。皇族三閥が連綿と対立し合うなか、涼白宮星華は敵対派閥である如月宮家の養嗣子・紫苑と秘密裏に取引した。窮地に立たされた姉・水薙伯爵夫人を助けるために。代償は、紫苑の未来の妻が望んでいるという、マニアックな褥の練習台。他に差し出せるものもなく、白薔薇と讃えられる清廉な身体を開いたが、星華は想像もしていなかった。まさかそれが身も心も焦がす狂気の恋の引鉄になろうとは──。高貴なる皇族たちの、歴史を動かく恋の詩!
十八歳のアキフミ・サクライ、通称アキは、メキシコの麻薬カルテルのナンバー2、リカルド・ガルシア・セラノに育てられ、彼の命ずるままに暗殺の世界へ身を投じていた。ある晩、女装姿で敵に追われていたアキは、アメリカ人の元グリーン・ベレー、エディ・アッシャーと熱いキスシーンを演じて逃走に成功する。冷酷な養父、リカルドの愛だけど求めて孤独に生きてきたアキだったが、無骨で誠実そうなエディに初めての安らぎを見出し、惹かれていく。けれど軍人という職を捨ててメキシコへやってきたエディには、秘めた目的があって……!?
病院でリハビリを担当している作業療法士の篠は、患者たちに悪戯されそうになったところを、外科医の刈谷に助けられた。腕はいいが気難しい性格の彼の家に居候することになった篠だが、それは戦慄の罠の始まりだった──。「お前の恥知らずな体に、俺の証を刻みつけてやろう」あるきっかけで豹変した刈谷は、篠を貶め、その肉体を弄び歪んだ情交を強要してきた。(なぜ、先生は僕を…?)ただならぬ官能に溺れそうになりながらも、篠は彼の矛盾だらけの行動に疑問を抱く。そしてついに、刈谷との思いがけない因縁を知った時…!?
執事となるべくして生を受けた保坂己裕は、主人である二条則雅へ献身的に使える日々を過ごしている。則雅の学友であるサイ・ネヴィルは、俗に「処女執事」と呼ばれる特殊な存在だという己裕の秘密をすぐに見抜く。サイは策を弄して則雅から己裕を奪い取り、さらには性的にも支配しようとする。あくまで執事として新しい主人に尽くそうとする己裕だが、サイによって感情も肉欲も剥き出しにされていく。「処女執事」の貞節を剥ぎ取られてひとりの人間になることで、己裕の運命は大きく変わり……!? 魂の絆が記憶をも凌駕する”純愛”ストーリー!
南の孤島の巫女である織谷笙は、神事の際に男たちから性的な奉仕を受けて法悦を得ることで、様々な予見を行っていた。巫女になってからの笙は歳を取るのが極端に遅くなっていたが、予見の確かさは国内でも静かな評判を呼んでいる。男たちに嬲られるのを耐え続ける笙の、唯一の支えは神社の宮司でもある弟の悟だ。「弟だけは守らなければ」と願う笙だが、ある嵐の晩に幼なじみの坂守蒼治と再会する。ヤクザになったという蒼治は神事に参加するが、笙には触れようともしない。だが弟の悟は、蒼治を自分たち兄弟の敵と見なしていて……!?
戸川多希は大手食品メーカーに勤務する、ごく普通のサラリーマン。親の転勤と入れ替わるように5年振りで実家に戻ってきた多希は、義理の弟である高校生の双子、理と覚の3人で暮らすことになった。ある日、多希は満員電車で男に痴漢されて喜び喘ぐ姿を弟に目撃されてしまう。痴漢相手に乱れたことに怒った双子は、それから多希を毎日のように犯す。ベッドで、バスルームで、さらには電車内で嬲られるうち、多希の心に“被虐の悦び”が目覚めていく。しかし相手は義理の弟でもある双子。はたして3人の禁忌は、どんな結末を迎えるのか……!?
双子の供物
「自分が二人いたらいいのにって、考えたことない?」 有名企業への就職の決まった和貴は、初出社の日、突然社長室に呼び出された。そこにいた社長・桐島は数日前に公園で偶然助けた美貌の男だった。右も左もわからぬその日のうちに、美しくも謎めいた桐島の秘書に任命された和貴は、戸惑いながらも彼に毎日付き従うが、やがてその完璧な仕事ぶりに心酔し惹かれていく。ある時、桐島の様子が日ごとに少しだけ違うことに気づくが、それを口にした瞬間から、和貴の運命は狂い始める。やがて、桐島の隠された秘密の顔が明らかに……!?
没落公家の一子王麻呂は、珠のごとき美貌の持ち主で、大金と引き換えに、謎めいた男、十右衛門の元へ行った。雲上茶屋「桃源宮」では、絹縄と木馬が用意され、男を悦ばせる数々を仕込まれる。まばゆいばかりの容姿を持った人間の常として、野獣のような男達への捧げものにされる運命なのだ。やがて固い蕾も淫らに綻ぶころ、王麻呂は、江戸随一の大店の若旦那、好色な新之助のもとへ。妖しくも美しいファンタジー、登場。