邪神信仰が根づいた島で、聖なる巳子と尊崇される加賀美凪。しかし彼はそんな立場にありながら、誰にも言えない大罪を、二つ犯していた。一つは養い子である咲真への浅ましい恋。そしてもう一つは……。思い悩んだ末、凪は咲真への想いを断ち切ろうと、一人の男に身を任せる。ところが、そこへ突然『彼』が現れた。咲真であって咲真でない── 「俺はお前が犯した罪そのものだ」 残虐な彼、咲魔が露悪的に明かした、戦慄の真実とは……!? 引き裂かれた善と悪。積み重なる新たな罪。穢れた巳子の淫らな贖罪。
幼馴染の和也に、ずっと邪な想いを抱いていた将吾。堅物で潔癖な彼に想いを告げられない切羽つまった日々の中、将吾は和也に似た男たちに次々と身を任せることで欲望を押さえ込んでいた。ある時、その男遊びがばれ糾弾された将吾は、嫌悪される覚悟で、「一度でいいから抱いてくれ」と和也にせがむ。すると和也は戸惑いながらもその望みを叶えてくれ、さらには「これからは俺だけにしておけ」と固く約束させられてしまう。一度はその手にすがりついた将吾だったが、自分の我儘に和也を付き合わせることに苦痛を感じはじめ……。
玩具の恋
「お前は俺の玩具だ。俺が飽きたらお終いだ」 恋をしたとこのないうぶな高校生のケイゴは、初めて行ったゲイバーで泥酔した客に強姦されそうになり、店の常連客で、冷酷な眼鏡の男・草加に間一髪で助けられる。一目で彼に惹かれてしまうケイゴだが、草加には悪い噂があり、しかも子供は相手にしないのだと知ってしまう。それでもあきらめきれないケイドは、彼に相手にしてもらう為に、髪型を変え、年齢を偽って迫り、ついに一夜限りを条件にベッドを共にすることに成功するが──。ケイゴの初めての恋の行方は!?
形代の恋
信じていたすべてに裏切られ家を飛び出した高校生のガクは、繁華街で男に声をかけられ暗い夜の世界に堕ちた。『赤い鳥』は会員制の高級男娼館。覚えのない借金を負わされ逃げられないガクは、そこで男たちに身体を売る日々を強いられる。家族や恋人を持ちながらも自分に溺れる男たちを見て、ガクは「愛」に失望し、自棄になったように身体を投げ出し続けていた。ある夜、ガクは客のひとりから薬を盛られ、ひどい虐待を受ける。そんなガクを助け優しく介抱したのは、いつもは冷酷な店の支配人・鈴木だった。棄てたはずのあたたかいものにに触れたガクは、心を揺らすが……!?
黒い竜は二度誓う
竜が伝説のものではなかった時代。小国アベリエの第三王子ラシュリは、人質として隣の強国ガズマール帝国で暮らしていたが、母妃譲りの美貌が災いし、老皇帝ダクトーレの慰み者にされていた。母国のために男娼同然の扱いに耐える日々をおくっていたラシュリは、ある夜、剣闘士のジェイドと出会う。自分の衣にいきなり口づけたジェイドを、ラシュリは従者として召し抱えるが、彼は、過去の記憶を失っていた……!? 忠誠は真実の愛へと変わるのか? そしてジェイドの真の姿は……? 著者渾身のファンタジー、満を持して新レーベルに登場!
恋獄の囚人
二〇〇×年の首都直下型地震で、日本は壊滅状態に陥った。社会は荒廃し、犯罪が多発する中作られた少年刑務所「特U施設」。駿也が送られたのは、更生とは名ばかりのそんな無法地帯だった。入所初日、恒例のリンチに遭いかけた駿也を、通称「ディンゴ」なる男が救う。だが彼の行動の目的は、駿也を自分専用の慰み者にすることだった。逃げ場のない檻の中、執着じみて暴力的な凌辱にひたすら耐える駿也だが、自分と「ディンゴ」の間にある不可解な符合の存在から、大いなる陰謀に巻き込まれていく……閉鎖された空間で生じる、濃密で危うい恋の行方は。
老舗呉服屋の支店を任されている名越春彦には、人に言えない秘密があった。両親を失った春彦を引き取って育ててくれたダンディな義父・基伸を、ずっと思い続けていたのだ。一時は基伸を諦めようとした春彦だったが、基伸の実の息子で義弟の篤基と関係してしまう。さらに篤基は、基伸が好きなのは春彦の実父・木嶋秋人だと告げる。実父の身代わりとしてなら、基伸は自分を抱いてくれるかも──? 篤基との淫らな行為に耽溺しながら春彦が思い描く昏い欲望を、篤基が更に煽り立てて……!? 想いが縦糸と横糸のように絡み合うトリプルラブ!!
ヤバい組織に追われているという友人に頼み込まれ、差し入れを届けることになった柿崎忍。しかし指定されたその電車に乗り込んだ途端、乗客たちが一斉にいやらしい手を伸ばしてきて、忍はパニックに陥った。集団痴漢──衝撃の事態に忍は恐怖したが、真相はさらに劣悪だった。「教えてやるよ。ここはな、電車の中で思いっきり痴漢プレイをしたいっていう彼らの欲望を叶えるための場所だ。お前はそのための『接待係』」獲物である忍に、男たちの容赦ない淫虐の手が迫る。忍は逃げ場もなく拘束されて……。乱れるほどに愛される、恍惚の凌辱ロマンス!!
俺はこの手で弟を殺した──。過去の罪の意識から死人のように暮らすサイキックのライ。ある夜“誰も姿を見たことがない”と言われている殺し屋ラシャを偶然目撃してしまったことから、ラシャ、そしてラシャと行動を共にするリーガの“ゲーム”に巻き込まれて監禁されてしまう…。逃げる術も無くラシャに凌辱されたライは屈辱に涙を流すが死ぬことすら許されず、3人の奇妙な同居生活が始まった。ラシャを間近で見るうちに、ライは徐々に冷酷な殺し屋ラシャのからっぽの心を知り、彼を止めたいと願うようになる。傷ついた魂が交差する未来SFアクション。
深海魚は愛を歌う
東京は神楽坂にある老舗料亭『さがわ』の跡継ぎ息子、狭川領一郎は、地方出張の折にバー『深海魚』で艶やかに歌う千草と出会った。ドレスを着てウイッグも付けた姿はまるで「歌姫」だが、千草は間違いなく男だった。その歌声は、どんな酔客の心をも蕩けさせてしまい、領一郎もそんな客の一人となった。千草もどうやら領一郎を憎からず思ってくれているようだ。とはいえ領一郎は東京へ戻らねばならず、しかも千草はストーカーに付きまとわれていて……!? 老舗料亭の若旦那とバーの女装歌姫という「格差」LOVE、鮮やかに登場!!
実業家・柏木一也のもとでボディガードをしていた元刑事の裕太は、孤独な一也から強く求められ、一也に惹かれるようになる。あと少しで結ばれるはずだった二人の前に、景という子供が現れたことで二人の運命は大きく変わっていく。一也が捨てた、一也そっくりの息子・景を、裕太は溺愛し、大切に育て上げた。そんな景が19歳を迎えたとき、裕太は景の異変に気づく。姿も心もあまりにも似すぎている父と息子は、やがて裕太を奪い合い、泥沼へと進んでいく。密かに愛し続けた男と、慈しみ育てた我が子同然の男の間に挟まれて、裕太が最後に選んだ道は──。
女神信仰の宗主国エメリッヒ──。その現王の子でありながら皇子と認められず『神の御子』として体よく虐げられてきたメルヴィン。彼を厭う王妃の命で気の塞ぐ淫らな務めもあったが、それでもその心は凪いでいた。二人の優しい異母兄、フェンネルとクライブがいたから。ところが18の年、メルヴィンの属していた『奥の院』が突然解体。行き場を失ったメルヴィンは、兄皇子たちの妾として後宮へ連行される。「母からお前を守り、生き永らえさせるには、こうするほかない」──閉ざされた高級で紡がれる背徳の官能。禁忌のロマンス!!