さよならブラック企業 働く人の最後の砦「退職代行」

いのちだいじに。

さよならブラック企業 働く人の最後の砦「退職代行」 外本健生
兎来栄寿
兎来栄寿

朝の唱和、厳しいノルマ、パワハラ、恫喝、休日出勤、飛ぶ同僚……典型的なブラック企業で働く契約社員の水城リコ(25)の退職から始まる物語です。限界を迎えつつあったリコが、「退職代行」を生業とする弁護士・不知火に出逢うことで人生に転機が訪れます。 はたから見れば絶対に辞めた方がいい、と思える状況でも追い詰められた当人はまともな思考力も奪われ、どうやっても抜け出せない状況にあると思わされてしまうのがブラックな環境の恐ろしいところです。そんな時に利用できる「退職代行」というサービスの存在を知っているだけでも人生は大きく変わることでしょう。 「耐えていればいずれ報われるなんて考えは…自分を殺すことになる」 という作中のセリフの通りです。 この作品が面白いと思ったのは、ブラック企業から抜け出したことで開放感・幸福感に満ち溢れたヒロインがかつての自分と同じような苦しみを背負っている人に無自覚的にマウントを取ってしまうシーン。人間の業を感じさせられました。 幕間には、監修を務める実際に退職代行を行っている女性弁護士のコラムもあり、参考になりつつ仕事とは、雇用とはと考えさせられます。 真面目な部分も面白いですが、美人でデキるお姉さんの不知火さんは格好よくて惚れてしまいますし、ゆるふわに見えてバリバリに仕事ができるスーパー事務員の恋川さんなどキャラも立っています。 追い詰められる前に読みたい、あるいは周りに追い詰められていそうな人がいるならその人に差し出したい一冊です。

マンガで分かる心療内科 依存症編

いろいろあるのよ

マンガで分かる心療内科 依存症編 ソウ ゆうきゆう
野愛
野愛

紆余曲折あって我が家にこんな本がやってきました。まあ日常に支障が出るほどではないけど酒には依存しているので身につまされますね。 身につまされるで済ませちゃいけないんだけどね! 愛と依存の違いって何なん?とか趣味程度ならよいのでは?とか生きる喜びがなくなる!とか言い訳のように湧いてくる疑問や不安などをかなりわかりやすく解消してくれます。かなりわかりやすくなっているため、端折ってたりはするんだろうけど納得感もありつつライトな味わいなので責められてる感はあまり感じずにすむかもしれません。ギャグ漫画的仕上がりなのはたぶんこれが理由なんじゃないかと思ってます。メンタルやられてるときに100の正論ぶちこまれたらしんどいからね。 一応言い訳をするとわたしが依存症から脱却するために買った本ではないのですが、いつかわたしの後押しをしてくれる本な気はちょっとしてます。 読み終わっても酒をやめる気はないのですが、自分以外のものに人生を100%委ねちゃいけないし、預かることもできないんだなあってことを強く感じました。なんにせよ、あなただけのせいなんてことは世の中にはないのだ。