夢か幻かリアル
「また逢える――」夢の中の彼はそう言っていつも消えていく――■幼い頃に自分を助けてくれた不思議な青年の夢を繰り返し夢に見る瑠果は、ある日突然死神に命を狙われる。瀕死の重傷を負った瑠果を助けたのは、あの夢と同じ姿の青年だった。命を救われ、再会を喜ぶ瑠果。しかし、氷竜と名乗った青年は、純粋な魂を奪うために人間界に降り立った悪魔だと冷たく告げたのだった。死神から姉である瑠果を守り抜くことと引き替えに、氷竜に魂を捧げる契約をしてしまった弟を助けようと、瑠果は必死に策を考える。一方の氷竜は死神から瑠果の姿を隠すため、毎日のように瑠果の唇を奪い……? 愛のないキスとは思えない優しいキスに蕩け、夢の中の青年と氷竜を重ねて想う瑠果。果たして氷竜は死神から瑠果を守り抜くことができるのか? 魂を捧げる契約をした弟の運命は……? 夢と幻が交錯するファンタジックラブストーリー!
夏の約束
夏休みの思い出・幼い日の秘められた初恋──■いつの間に、どれだけ想われていたのか、私──。社会人三年目の宮本沙那と大学三年生の高島秀──従姉弟の二人がこのような深い関係に陥ったのは、ほんの一ヶ月半前のことだった。八月の草いきれの中で、必死に鳴き叫ぶ蝉の声。ねっとりとした空気は、熱く照らす太陽のせい。燃え上がるのは、想いも同じ。幾度結ばれても離れられずに、情と欲、身体をぶつけ合う一組の男女がそこにいた。「秀──好き、すき……」けれども、彼自身を深く穿たれると、その言葉が衝動に合わせて口をついてしまう。喘いでいると、上から唇を押し付けられた。「──あ……っ!」沙那は自分に覆い被さる青年の肩に爪を立てながら、高まりの中、果てた。
お互いの胸のうちを覗き込むような「お試しの恋」。■でも何処に転がっていくの、ワタシの恋心――同期入社の星野咲菜と吉本穣はひょんなきっかけから初デート、それも居酒屋。社内恋愛の駆け引きにうんざりしていた二人は、一計を案じることで合意した。「え、いい飲みっぷり……」吉本くんは目を丸くしてぱちぱちと瞬きをした。グラスを空けると一気にアルコールが回っていくような感覚がした。ふーっと長く息を吐いて、「うん、……まあ、いいけど。付き合うフリ、しても」彼の目は見ないで、そう答えた。「お、そう?」「その代わり」私は一度深く息を吸って、ゆっくりと吐き出した。身体がぽっと熱くなって、頭がくらりと揺れるような感覚。酔ってきたな、と思った。「……えっちだって、するんだからね? フリだけど」
雨の夜、私を拾ったのは仕事のため? それとも…■男に捨てられ、会社は潰れ、雨にも打たれて……。捨て猫のような私を拾ってくれた浩人は、なんと新進気鋭のIT会社の社長だった!! 進行中のアプリ開発の企画という名目で、1ヶ月間彼を寝食を共にしながら私の嗜好を観察されることに。私にトゲのある言葉を放つ美人秘書と浩人との関係は? 契約期間が終わったら、私はどうなるの? 手を伸ばせば届くほどの距離、揺らぐ心、自分の本当の気持ちは……
バラと秘密のエクスタシー! 愛しの画家は吸血鬼の末裔■平凡な日々を送るOL神代愛美。男性経験はまだだが、夢ではエクスタシーを感じてしまう。その相手は狼のような目に素敵な香り…。友人の結婚披露パーティで美麗な画家橘川アラタに出会う。あれ? どこかで会ったような。絵のモデルになった愛美とアラタは作品の創作にとりかかる。アトリエにあったバラの棘で指を怪我した愛美はアラタにその血を吸われる。気絶するふたり。そして、互いの隠された力が覚醒する……。愛美とアラタの不思議な力の秘密とは? 絵の完成を阻むライバルの出現! 愛美に及ぶ魔の手……。ふたりの作品は完成するのか!? ふたりの恋は成就するのか!? エロティックファンタジー&サスペンス!
美少女は天才バイオリニストの巧みな指使いに溺れていく……■大富豪の一人娘・卯月は未来の花婿を探すために黄金の都へ向かう。そこで出会った俺様バイオリニスト・ニノと紳士的なアートコレクター・ルイス。二人からの対照的な求愛を受け、美少女の心は大きく揺れ動く。ある日、自分の気持ちを確かめるために卯月はニノの楽屋を訪れる。そこで待っていたのは、彼からの優しい包容と愛の告白だった。彼女の事が好きで今すぐに抱きたいと迫るニノにキスをされ、卯月は心も体も蕩けてゆくが……
この恋が報われない時からずっと、深紗緒さんを愛し続けていたんだよ■目が覚めたら知らない人が隣で寝ている……深紗緒は自分が置かれている状況が把握できずにいた。なぜ? どうして? だけど、躯は訴える。甘く激しい時を過ごしたことを。見知らぬ場所、見知らぬ人と関係を持ってしまったことを。やがて目を覚ましたその男性が高校時代の後輩、颯太だとわかって驚く深紗緒。颯太との会話から、昨夜の出来事を思い出す。ホテルのバーで偶然再会したこと、懐かしさから会話が弾み、彼の家に行ったこと。そして結ばれたこと。驚きはそればかりではなく、ずっと深紗緒のことを想い続けて今に至るというのだ。本当に? 疑う深紗緒に、颯太の果敢なアプローチが始まるのだけど。深紗緒と颯太の絆が織り成すハートフル・ラブ・ストーリー
私の胸に咲く花が、あなたの色に染め上がる■あおいは湖にある神社・青龍神社の巫女である。見かけは高校生だが、実際は云百歳という年を生きている。実は幼いころに龍神・輔真に救われて龍族の一員に加えてもらい、輔真の世話役である天女・千草に竜宮城で育てられて今日に至る。そんなあおいは、密かに輔真を想っている。だが、龍神と巫女では身分が違うし、なにより巫女としてしか見てもらえていないと、告白することをあきらめている。そんな中、『龍神大祭』が青龍神社で行われることになる。準備が進められている中で、龍神たちが集まってきた。黒龍、黄龍、紅龍、白龍……みんな個性的で戸惑うあおい。そんな中、黒龍が強引に迫ってくる。それを見た輔真が妙に怒り出し、それはあおいをめぐる大きな衝突に発展してしまい……
深夜の逢瀬で秘蜜のレッスン……背徳の「謎」に蕩けるラブ&サスペンス■「マナーを知る為には身なりを整えることも大切です、それに着替えて」想い人より贈られた豪奢なドレスに芳醇な白肌を包まれて、純潔の乙女は背徳の蜜味を教えられてゆく―――大富豪の家系に生まれ育ちながらも何故か家族に愛されず、孤独な年月を送るシャーロット。しかし、カルデローネ家の屋敷に美貌の料理人・エルバートが現れたその夜から、彼女の薄幸な日々は激変した。秘蜜の逢瀬……揺らめく蝋燭の明かりの下、深夜のマナー・レッスンを重ねるたび、甘く蕩かされていくシャーロットの想いと【謎】―――「可愛いシャーロット……では私を誘ってください。自ら足を開いて、その可憐な唇で……さぁどうして欲しいのか言って……」
春雷
冬の終わりを告げる響きは「雷獣」と奏でる純愛のコンチェルト■「きらきらと輝く都会で恋をしたい!」という夢を抱いて東京の短大に進級した桃華は、たった一年で失意の春休みを迎えていた。軽率に付き合っては別れを繰り返す同級生。お互いの容姿ばかり気にしている品性の無い合コン。私の欲しい「恋」はこれじゃない…! 最も衝撃だったのは、一緒に上京してきた幼馴染みの真矢から突然に受胎を告げられたこと。いつ? 誰と? 短大はどうするの? 彼女までも自分の知らないイキモノになったのか―――故郷へ向かう電車の雑音に紛れて、桃華はふと遠くに雷の音を聞く。冬の終わりを告げる春雷……桃華の記憶に小さな頃の思い出が蘇った。そう、彼女は小さな頃、とても不思議な「初恋」を体験したのだ……
貴女は僕の胸に咲く真夜中の白い薔薇……一途に貫くホワイト・ロマンス■「迷子になったのかい? 君の涙は、まるで薔薇の花弁を濡らす朝露のようだね」広大なパレスの温室で出会った大富豪の嫡男・ユリウスと【一夜の契り】を交わしてから二年が過ぎ……クザーヌス侯爵家の白い薔薇ことヴァイセローゼは社交界へデビュタントすることになる。女帝・エルミーラの即位を祝賀する絢爛な舞踏会で再会したユリウスは、商人の道を捨て騎士団の一員として華々しい武勲を立てていた。彼は、由緒ある伯爵家と成り上がり大富豪の赦されざる恋愛騒動で生まれた社交界の寵児……自らの努力で生い立ちのしがらみを断ち、ユリウスがローゼに結婚を申し込もうとしたその瞬間「私のダンスの相手をせよ」と女帝の非情な声が響き……!?
二人の妖狐に憑かれ奪われ…宵闇に愛炎の華咲く濃蜜恋執奇譚■ぼうっぼうっと無数の狐火が闇夜に浮かび舞い踊る……真っ白な乙女の身体を緋藍の色に染め上げて――妖怪の子供を産むことが出来る特殊な感応能力を持つ娘【みこと】は、陸と颯という二人の「妖狐」に見初められ、夜毎、激しく奪い合われることになる。お互い最後の金狐族・黒狐族として、みことに種を宿したい二人は、競って彼女の身体と「愛情」を求めてきた。なぜなら、彼女が心から感じてくれなければ、受胎の霊力が発動できないから!? 最初は二人同時に迫られ、次は陸と颯から交互に抱かれ……それぞれの愛を哭く切ない妖狐の恋執に憑かれて、みことの心は燐火のように緋と藍の狭間で揺れる――