魔入りました!入間くん外伝

外伝 一巻 カルエゴ編

魔入りました!入間くん外伝 西修
ゆゆゆ
ゆゆゆ

ストーリー設定は、あの悪魔(人)たらしの入間くんがまだいない世界(もしかすると、産まれてすらいない?)、そして見慣れた大人の面々もまだ初々しいというか若さというか、まだ幼さを感じる年齢の時代。 学校も荒れています。よくあの秩序だった今の学校へ変わったなと驚くばかりです。 登場する、若かりし頃のオペラさんは無茶苦茶というかめちゃくちゃ度合いがフルスロットルで、とてもおもしろいです。大人げない無茶ぶりと思っていましたが、落ち着かれていたんですね。 バラム先生は本編でもあったように、絵本を読む、夢見る子として描かれています。かわらず怪力ですが。そして、しれっと出てくるバラム先生のご両親。他のご家庭と同じく、似ています。 主人公のカルエゴ先生は、真面目というか厳格というか、その性格ゆえに昔から苦労していたことが伝わってきます。 まさか自分が召喚されてエギーちゃんになると、想像だにしないでしょう。 大人になっても「仲が良い」三人組の学生時代。 本編では読むことができない、作者本人によるサイドストーリーは、とてもおもしろかったです。 読み直したら、あとがきに「外伝は基本カルエゴの物語なのですが、他にもお話したい悪魔たちは沢山います」と書かれていて、カルエゴ編続刊も、別の方の外伝も楽しみだなと思いました。 続刊を気長に待っています。

フェアウェイの声をきかせて【電子単行本】

正統派スポ根美少女ゴルフ! #1巻応援

フェアウェイの声をきかせて 椎葉裕巳
兎来栄寿
兎来栄寿

昨日『ライジングインパクト』のアニメ化が発表されたり、福本伸行さんも『二階堂地獄ゴルフ』を連載していたりでゴルフ関係の作品が熱くなっている今日このごろ。 『BIRDIE WING -Golf Girls' Story-』は2期を終えてこれ以上続きはなさそうだなぁ……と少し寂しくなっていたところでしたが、その心の隙間を埋めるように現れてくれた熱い美少女ゴルフマンガがこちらです。 「すごい人たちがいっぱいの舞台でわくわくするゴルフがしたい」という雛守日和(ひなもりひより)。 日和が出逢うのが、2年連続全中準優勝の小鳥遊衣鈴(たかなしいすず)。オーバーワークによる怪我で一度夢破れてしまった衣鈴ですが、日和に初心を思い出させてもらい改めて高校ゴルフ界の頂点を目指していきます。 そんなふたりに絡んでくるプライドの高いお嬢様の頬白冬子(ほおじろとうこ)も交えて、3人はゴルフの名門校鳥座(とぐら)女子へと入学し覇を競っていきます。 まず、椎葉裕巳さんの絵がとても良く、キャラはかわいく魅力的でありつつ肝心なゴルフのアクションも派手で迫力があり見応えがあります。 筆者がゴルフにハマりすぎた結果、担当編集に「もうゴルフマンガ描きましょう!」と言われて生まれた作品ということで、ゴルフ周りの描写も実体験に基づき愛を持って生き生きと描かれているのが伝わってきます。 ストーリーも競技スポーツマンガの王道を行く形で、真っ直ぐな面白さが展開されていきます。 監督の霧生秋沙(きりゅうあいさ)、部長で生徒会長の星ノ宮つばめ(ほしのみやつばめ)、2年生の鳳(おおとり)たまきなど、魅力的なキャラクターたちがどんどん登場していきお話を盛り上げていってくれます。主要キャラは概ね鳥に関係した名前を付けられているのが特徴的です。元々、ゴルフのバーディやイーグル、アルバトロスなどの用語も鳥由来ですからね。それに因んでいるのもあってか主人公はまだ空を知らぬ雛、衣鈴は一度地に落ちた小鳥という対比がなされているのも良いですね。 日和たちが試練を乗り越えて成長していく姿を、ライバルたちとの熱い闘いを、その中で育まれる絆を何十巻でも見ていたくなる作品です。

吹部やめたい萩野さん【電子単行本】

ゆるく明るく楽しい吹奏楽部コメディ #1巻応援

吹部やめたい萩野さん 桃原
兎来栄寿
兎来栄寿

読切掲載時に人気を博し、連載化された期待作の単行本1巻が満を持して発売されました。 中学時代から吹奏楽部の経験者で、地味で根暗な眼鏡っ子のおはぎこと萩野(チューバ)。 高校から吹奏楽を始めて吹くどころか腹式呼吸もろくにできないものの、顔はかわいい桐谷(バスクラリネット)。 そのふたりが中心となって、高校の吹奏楽部を舞台に繰り広げられるコメディです。作者本人が公言している通り阿部共実さんのフォロワーであることがよく伝わるアニメ塗り調のパキッとしていてかわいい画風に、独特のギャグがミックスされた心地よい世界が展開されています。 特に、各所でのセリフのセンスがとても光っています。たとえば1,2話から引用すると 「猟奇的な偏見!」 「何そのモールス信号みたいな呼び方」 「先輩は私の毒牙に侵された生ける屍」 「人生は! かさぶただらけが丁度いい! この屈辱は私の命を彩り焦がす青春の研鑽だ!」 といった具合で、ボケもツッコミも普通には思いつかなさそうな言葉の並びが出てきます。かわいい絵柄ながら、パワーを感じる表情や勢いとワードセンスのマリアージュが絶妙です。 話が進むにつれて魅力的なキャラが増えていきますが、個人的には芒乃さんや藤村さんが好きです。2年のトランペットの鶴巻先輩を巡るラブがコメるようなコメらないようなところも楽しいです。 阿部共実さんのダークな部分やブラックな部分を取り除いて、残った光の部分に独自のスパイスをかけたような作品となっているので、気軽に何かを読みたい方や笑いたい方にお薦めします。 どうでも良いのですが、「バァァスゥゥクゥゥラァァア!?」は某看護師ドラマの「あ〜さ〜く〜ら〜〜〜!?」を意識しているのかがほんの少しだけ気になります。