MFゴースト

老いも若きも自動車レースに熱中

MFゴースト しげの秀一
ゆゆゆ
ゆゆゆ

車には詳しくありません。 でも、街なかで大切に乗られているんだろう、あの白い車を見るたびに「豆腐屋さん」という単語が思い浮かびます。 本作は近未来の日本が舞台。箱根あたりは噴火によって有毒ガスが蔓延し、人が住めない状況なので、車を街なかをビュンビュン飛ばしても問題ありません。 公道ものの、こういう前提条件はとても好きです。 さらに、時代はEV一択という世界観。 「この車古いなあ」という感覚はガソリン車全般になります。何がでてきても、ガソリン車であればすべからく古いのです。おもしろいですね。 作中に出てきた、若者はシミュレーターに慣れていて、車をぶつけること(ぶつけられること)に躊躇いがないという話もおもしろいなと思いました。 他のことがらでもそういう違いって、生まれてきているのかもしれません。 メインとなる公道レースは、車の重量でタイヤの大きさが決まる、ただそれだけのルール。 日本で行われるレースなのに、外国の車が強いと言われています。 そこに現れた、イギリスからやってきた何やらすごい経歴を持つ少年。 車に詳しくなくても、大変そうなルールの中、何やらすごいことをしているというのは、物語の流れや解説でわかります。 そう、説明も丁寧です。この漫画は初心者にも優しいのです。 世界線が同じ続編なので、もしかするとイニシャルDを読まれていた方には「この人がこうなったんだ」と思うシーンがあるのかもしれません。

何度、時をくりかえしても本能寺が燃えるんじゃが!?

ループする信長

何度、時をくりかえしても本能寺が燃えるんじゃが!? 井出圭亮 藤本ケンシ
ゆゆゆ
ゆゆゆ

11巻発売に合わせ、ヤンマガWebで5巻まで無料!(要会員登録)。 ということで、読みました。 何巻か読んだことがあったのですが5巻までは初めてでした。 キリがよいといえば、良いところなんですね、5巻。 まだまだ続くんですけども、ちょっとスッキリしました。 登場するのは、信長を始めとする見た目も性格も濃いキャラクターたち。 室町時代の武士というのはかなりヤバイ人たちだったというので、その後にこういう武将たちがいてもおかしくないのかもしれません。 そして、ループしています。 うまくやれば、信長は本能寺の変から逃れられるらしいです。 失敗したら即炎上。 途中の経緯がわからないまま時は経って、炎上時にほおりこまれます。 このルールに適応できるこの信長は、柔軟な人だと思いました。口と性格は悪いですが。 そう、信長の口が悪いです。黙っていればイケメン枠に入りそうなのに、口と性格が悪いです。 表情と合わせて煽ってきます。 威圧やどこかの方言だからというレベルでないです。口が悪い。性格も悪い。 でも、ループする条件を悪用(とはいえ、どう使うかは決まりにない)するあたり、信長を発想力のある、柔軟な人として描いているなあと思いました。 5巻で一区切りついて、第二章というんでしょうか。 6巻以降も読んでいきたいと思います。

離婚しない男

社会問題に斬り込む意欲作 #1巻応援

離婚しない男 大竹玲二
兎来栄寿
兎来栄寿

近年、「実子誘拐」が大きな問題になっています。もっと言えば、そうした人権にまつわる問題に関わる弁護士や政治家、官僚、NPO、活動家等に対して強い疑義が呈されるようになってきています。 「実子誘拐」という言葉を聞いたこともない、という方は以下のような記事を読むとその内容が解るかと思います。 「実子誘拐ビジネス」とは?共同親権問題、マスコミが報じない弁護士業界のリアル https://sakisiru.jp/37276 「実子誘拐ビジネス」の闇 人権派弁護士らのあくどい手口 https://findmyparent.org/ja/knowledge-base/「実子誘拐ビジネス」の闇 人権派弁護士らのあ/ 先日、そんなとんでもない助言を行なっていた弁護士と元妻を訴訟した裁判の2審判決が出て、子連れ別居を助言したことは違法とされました。 「子連れ別居を助言」は違法 元妻と弁護士2人、2審も敗訴 - 産経ニュース https://www.sankei.com/article/20230126-GDW6NAGO3FJF3N3YN3VUPZKFXA/ 何とか1審に続いて人倫に悖る判決が出なかったことに安堵しています。しかし、この件で助言をした弁護士のことを数十人もの弁護士が擁護しているのは異様です。子供を不幸にしながら、直接的にしろ間接的にしろ利益を得るなどということが断じてあってはいけません。 どうしてこんなことが起こってしまうのかは上記の記事にもある通りですが、何しろ母親の権利があまりに強く、仮に母親が子供を虐待していて父親の方が適切な子育てを行なっていたとしてもなお父親が親権を得るのが非常に難しく、またその勝ち目の薄い仕事を引き受ける弁護士も非常に少ないという現実があります。 そこに果敢に切り込んでいったのが、本作です。不貞を働くあまりに酷い母親から愛娘を引き離して暮らしたいものの、正当な方法で親権を得るために、法的な制約により離婚をすることすら許されない父親の重苦の戦いが描かれていきます。 娘を大事に育てたいという真っ当なその願いを、人間を守るはずの法が阻害するという矛盾。父親の怒り、悲しみ、憎しみ、無力感、やるせなさ……さまざまな感情が強く伝わってきます。 この物語を読めば、誰もが「こんなことが罷り通るのはおかしい」と思うことでしょう。でも、独身で興味がなくそんな法になっていることを知らなかったという人も多いと思います。それを知ることのできる作品として価値があります。 カバー下の描き下ろしでも、浮気調査の良い依頼の仕方や、離婚の時効が成立するための期間や始点についてなど詳しく解説されています。 既に他のクチコミも複数あり非常に盛り上がっていますが、1巻発売を機により注目されて多くの人に読まれて欲しい、そして不幸になる親や子供が1人でも減って欲しいと思い、書かせていただきました。

サタノファニ

妄想すべし、突っ込むべし

サタノファニ 山田恵庸
サタノファ女塾

サタノファニはツッコミ所が多く、非常に妄想の し甲斐がある作品です。 このクチコミでは、史実や科学的論拠などに基づく 考察ではなく、思い切り妄想を語ったり、ツッコミ をぶつけたいと思います。 では先ず「大相撲サタノ場所」のお題 サタノ山、サタノ富士、サタノ海、サタノ花、 サタノ島、サタノ若 などなど サタノファニは、相撲取りのネーミングと とても 相性が良いです。 コミックスの巻末に、まわし姿のヒロインたちが 現れたら 鼻血ものだ!(笑) では、ヒロインたちの中で 相撲が強いのは誰か!? 先ずは、鬼七瀬と張り合った 千歌です。 エドモント本田のような「フンフンフンフン」という 百列張り手を受け流し、スーパー頭突きを喰らっても 立ち直るタフさは凄いです。 美依那の、おばさん姿の着ぐるみも 相撲向きです。 真理央に「ごむっ」と喰らわせたタックルが強烈です。 カレンの、組長を持ち上げた「ドMの馬鹿力」も凄い! 洋子には、鉄山皐(カオ)の当たりがある。 霧子からは、強烈な張差し(ビンタ)が飛んで来そう。 でも、一番強いのは 小夜子ではないか。 潮の代わりに 毒を撒いて大勝利だ!??

彼女のエレジー

美形シュールギャグの新星 #1巻応援

彼女のエレジー 遊園地迷子
兎来栄寿
兎来栄寿

漫画家の中でも、ギャグ漫画家というのは一際大変であろうと思います。読者を笑わせることのできるギャグをコンスタントに生み出し続けるということの、どれだけ大変なことか。作品を連載していく中で「笑いとは何か」、「面白いとは何か」という正解のない根源的な問に立ち向かい続けねばなりません。 そんな問に悩み悶え苦しむのが、本作の主人公・江萌井哀花(えもいあいか)です。才色兼備の美少女で両親も官僚というスーパーお嬢様ですが、 "‥‥どうして人は金玉という言葉をつくったの?" "私ならきっと安易に「ちん玉」と名付けてた‥ 悔しい‥そこで「金」を出せなきゃプロにはなれない‥‥" と真面目に悩み、ギャグ漫画家を目指している異色の少女です。 学校一面白いとされている田中さんら他のキャラクターたちとの絡みも通しながら、ときに下ネタや変顔などパワー系も交えたギャグをガンガン繰り出していきます。基本的に哀花はお嬢様なので一定の品格はベースとして存在しながらもそこからどんどん崩れていくギャップや、さまざまなツッコミどころ、特異なシチュエーションの面白さなどが病み付きになります。 木村龍介さん名義で描かれていた「【読み切り】青春、失格。」の頃から類稀なるシュールギャグのセンスが好きでしたが、その更に前の「話にならない恋の話」のときから比べても短期間で画力もグッと上がり、哀花のキャラクター単体でも成立するほど外見も中身も魅力的です。 最初に『天才バカボン』を抱えているように、歴代のギャグマンガへのリスペクトを感じる部分も好きです。 『パタリロ』、『B.B.Joker』、『坂本ですが?』、『ふうらい姉妹』、『あそびあそばせ』など、美しいキャラが狂ったギャグを見せる作品が好きな方には強く推薦します。

松山くんと小林さんの3メートル

衝撃の怪作ラブコメ #1巻応援

松山くんと小林さんの3メートル 与左衛門
兎来栄寿
兎来栄寿

1話目のインパクトで言えば、ここ最近でも屈指の作品です。 クラスで1番かわいくてスタイルもいい小林さんは、主人公の松山くんにとっては「遠くから見ている分にはいい」存在。なぜなら、半径3メートル以内に入ると彼女がとてつもない異形の姿に見えてしまうから。 試し読みの1話目で、その衝撃的なヴィジュアルをぜひ体感してみてください。クトゥルフ的な何かが好きな方や異形フェチには堪らないかもしれない姿形です。 もしも最愛の相手が途轍もなく悍ましい姿に見えてもあなたは変わらず愛せますか? というのはかなり究極的な問です。 『火の鳥』や、『◯◯の◯(ネタバレになるので名称を挙げられない某作品)』や『△△の△(ネタバレに以下略)』などを思い出す設定ですが、本作では小林さんの見え方が1話目に登場する形だけではなく、毎話さまざまなものになっていくのが特徴的です(ずっと1話のような姿でいて欲しかったと思う方もいるかもしれませんが)。ときに小林さんの心情にリンクしていたり、ときに小林さんの夢を映し出したり……。 松山くんにしか解らない小林さんの深い部分が知れることでラブがコメっていきますが、小林さんも不憫な生い立ちに加えて強面の男たちに強く出たりクラスメイトのマンガに対して熱い批評を行ったりと魅力的な部分もあって応援したくなります。果たして着地点をどうするのかが気になるところです。 他にない作品を読んでみたいという方は、手を出してみるのも良いかもしれません。