野球マンガの感想・レビュー261件<<12345>>4世代にわたる大長編野球マンガ!!キャプテン ちばあきおstarstarstarstar_borderstar_border酒チャビン表紙のとおり、野球マンガです。特徴としては、墨谷二中の野球部のキャプテンが4代にわたって主人公をつとめる、リレー形式のマンガという点です。 谷口キャップ→丸井キャップ→五十嵐キャップ→近藤キャップ マンガは主人公のキャラクターが大事と思いますが、4者4様なので、その都度結構作風・校風が変化します。初代の谷口キャップは、素質はそこまででもないと思いますが、とにかく努力の人で、読む者に勇気を与えてくれます。谷口キャップ時代の面白さに文句をつける人はいないと思います。 わたしが次に好きなのは、近藤キャップ時代です。丸井&五十嵐の時代にも、近藤キャップは登場してましたが、そのときはいけすかないキャラ設定で、正直好きになれず、五十嵐キャップの次のキャプテンが近藤キャップに決まったときは、「これでこのマンガも終わったな」と思いました。 ですが、近藤キャップはキャプテンになってからものすごく変わりました(変わりきれずに退場になったりもしてしまうのですが・・)。それまでの墨二は、ものすごい練習量で、言い方は悪いですが、とにかくシゴきにシゴきまくって欠点を修正し、チーム力をアップさせるやり方を採っていたのですが、近藤キャップに変わり、皆の長所をうまぁく引き立たせて、野球を楽いと思いながら前向きに頑張れるように導くスタイルに変化します。練習量は激減しますが、逆に成果は落ちてなくて、下級生たちの実力も選抜大会出場校の選手と比べても遜色のないほどに成長していきます。 どちらが良いとかは一概には言えませんが、素質はありながらも1年のときから先輩たちにバカだの何だの言われて怒られ続けてきた近藤キャップだからこそ、できない人・怒られる側の気持ちがわかり、その人達の実力を引き出すことができるんだなと思って感心して読みました。最終盤で近藤キャップがお父さんと相談して作った練習計画ノートが出てきたときは感動で咽び泣きました。 丸井と五十嵐の時代は、わたしは読んでてダレてしまいました。正直読破を諦めようかとも思いましたが、最後近藤キャップの活躍が見れて、がまんして読んで本当によかったです。 丸井も合宿の掃除や炊事を買って出たり、悪いやつではないのはわかるのですが、正直でしゃばりすぎだと思います。基本いいやつだとは思いますが、出てくる度にがっかりしてました。タイムとかも取りすぎです。 谷口キャップと近藤キャップのところだけなら★5でいいと思います。ファミスタのピノ級に足の速いやついたよな?ONE OUTS 甲斐谷忍名無し今までの野球漫画のセオリーをぶっ壊す、120kmのストレートと心理戦で日本一を目指す話。 心理戦がめちゃくちゃ面白い。 野球好きな人はぜひ読んでみてほしい。 1番印象に残ったのは、敵チームでめちゃ足の速いやつがいて、盗塁成功率100%で、塁に出ればホームスチールで確実に1点が入るという不思議なやつ。 ファミスタのピノの足の速さを思い出したよ。ギャグ漫画よりの野球漫画Mr.FULLSWING 鈴木信也名無し新しいタイプの漫画だと思う。 スポ根野球漫画や野球ギャグ漫画は存在するのだと思うけど、 ギャグ野球漫画はあまり聞いた事がない。 序盤は、ほぼギャグ漫画となっている。 なので野球を馬鹿にしているのでは?腹を立てたくなるが 終盤になるとギャグがどんどん薄れていく。 なのでギャグマンガが好きな人はどんどんつまらなくなり、 野球マンガ好きは序盤で読むのをあきらめる。ヤンキー✖️野球ROOKIES 森田まさのり名無し高校生の野球漫画です。 ヤンキーばっかりの悪ガキどもが親顧問の川藤先生に少しずつ心開いてチームワークが出来てくるという青春ストーリー。 ヤンキーが更生して、野球に打ち込む姿は、とても感動します。 ドラマ化された有名な作品なので知っているかたもいるのではないでしょうか? かっこいいキャラはドラマでは市原隼人が演じていた安仁屋という凄腕ピッチャーです。 能力高くて、かっこよくて、モテて不良なんて羨ましすぎるキャラです。 部室に女の子を呼んで、スケベな事をしているシーンから始まり、不良たちとのケンカ、 全力で野球に取り組む姿。 感動しますね。厳選!読んでほしいこのマンガトーキョーゲーム著者:青山広美完結全2巻作品情報はこちら久しぶりにマンガで笑いました。地獄甲子園 漫☆画太郎starstarstarstarstar_border酒チャビンマンガで爆笑するってことありますか??基本、たぶん一人で読むことが多いと思うので、ギャグが面白くても「クスリ」とか「ニヤリ」程度だと思うのですが、私はこちらの作品で久しぶりに笑ってしまいました。 脳科学的に止むを得ない話なのですが、ギャグマンガの先生って、やっぱりお年を召してくるに従って、少しキレが落ちてくる宿命にあると思います。 ですが画太郎先生は珍遊記の頃に比べてさらにキレを上げてらっしゃいました。珍遊記より圧倒的にこちらの方が面白いと思います。 正直わたしもいい大人になってしまったので、画太郎先生のち○ことかう💩ことかションベンとかハゲとかの小学生ギャグでは最早笑えないだろうな、と思ってましたが、大爆笑です。 とにかく何もかも忘れて笑顔になれる作品ですので、最近、政争に負けて讒言に遭い失脚してしまった大臣や、リモートワーク移行で部下の心が掴みにくくチームのパフォーマンスが上がらないとお悩みの部長クラス以上の方にオススメします。勉強になるメンタルトレーニングおおきく振りかぶって ひぐちアサ名無し※ネタバレを含むクチコミです。柔道漫画ではありません。ドカベン 水島新司名無し柔道漫画から野球漫画にシフトチェンジをして、日本で1番有名な野球漫画になりました。 一巻の表紙を見るとわかると思いますが、誰もバットを持っていません。 誰もグローブを持っていません。 坊主もいません。 ドカベンの野球に関する面白さは他の人が投稿すると思うので、僕はドカベンの家庭環境について感想を言いたいと思います。 ドカベンこと山田太郎は、母がおらず父が畳屋、小さい妹がいます。 ドカベンは貧乏という事をインプットしておく事が重要です。 なぜなら、続編にプロ野球編があり、ドカベンは西武ライオンズに入団します。 そこで、ものすごい成績を残します。 年棒の描写はないですが、きっとお金が増えたのだろうな。家族みんな楽になっただろうなと思うと、貧乏ながらコツコツ愚直に続けてきたドカベンを改めて尊敬することができます。 他にも大甲子園という続編もあり、山田太郎は永久に不滅なのです。 拷問器具!?大リーグボール養成ギブス!?巨人の星 梶原一騎 川崎のぼる名無し茶舞台返しが得意なスパルタ教育肉体労働者の父と、隣から見ているだけの傍観者の姉をもった、星飛雄馬が根性で野球で勝ち上がる話です。 スポ根とはこの漫画が発祥だと思います。 今では完全にNGな兎跳びもこのマンガから始まりました。 代表的のは、大リーグボール養成ギブスという体にバネを巻きつけ、恐ろしい程筋力を増やす拷問器具です。 筋トレ後には、良質なタンパク質が必要なので、ギブスよりも肉を食べた方が効率的な事を知っているのは僕らが現代人だからです。 野球漫画第1章の幕開けです。モノマネで甲子園風光る 七三太朗 川三番地名無し子供の頃に野球をしたら、全員ががイチローの真似をしますし、ボールに話しかけて桑田の真似をします。 王貞治の真似をして一本足打法をやってみたり、長嶋茂雄のようなスローイングで公園を沸かしたはずです。 この漫画の主人公は野球はド下手ですが、モノマネをすれば一流選手になるという、僕らの子供の頃の遊びで勝ち上がるサクセスストーリーです。 多少無理のある設定ですが、これ漫画ですから! ただのモノマネだけでなく、七三太郎先生の野球論もふんだんに盛り込んでおり、野球好きがうなる作品です。プレイボールが復活!プレイボール2 コージィ城倉 ちばあきお地獄の田中※ネタバレを含むクチコミです。圧倒的に一番好きな野球マンガでした!!ジャストミート 原秀則starstarstarstarstar酒チャビンわたしにとってこれこそザ・80'sという感じのマンガです!!とにかく賑やか!目立つことが大好きな9人が集まった星高野球部が甲子園などで活躍する物語です! 努力などはあまり出てこず、とにかくカラっとしています!巨人の星・あしたのジョーなどの70年代スポ根マンガが、ドロっとジメッとしていて暗くシリアスでブリティッシュロックなのに対し、こちらはカラッと底抜けに明るい西海岸アメリカンロックといった感じです!! もちろん70年代スポ根もわたし大好きなのですが、子供の頃は努力の大切さも分かりづらかったようで、どちらかというとこのマンガがすごく好きでした! ギャグもめちゃ面白く、今読んでもかなり面白いと思います!スーパースターはご機嫌ナナメの感想 スーパースターはご機嫌ナナメ 永松潔マンガトリツカレ男たしかコミックジャングルで連載していたのを読んでいたが今回久しぶりに読み返したが全く記憶と違った・・・ 主人公の清川卓がほとんど表情を出さず、野球で特異な才能を発揮して幼馴染の女の子との約束である甲子園に連れていくという内容だった。「ツヨシしっかりしなさい」と記憶が混ざってそうだ・・・ 絵もうまいから読みやすいROOKIES 森田まさのりstarstarstarstar_borderstar_bordermotomi不良が心入れ替えて野球に熱中する姿は感動します。仲間を大切にする所もいいです。 主人公の川藤先生がたくさん名言を言ってくれます。 言葉だけでなく、行動力でも野球部以外の登場人物に夢を持つことの素晴らしさや 仕事や学生生活において生きていく上で大切なことを力説するところも面白いです。吹奏楽ってかっこいいと思わせてくれる青空エール リマスター版 河原和音starstarstarstar_borderstar_bordermotomi甲子園目指す男子とそれをアルプスから応援する吹奏楽部女子の組み合わせの王道少女漫画です。 見ているだけで恥ずかしく、キュンキュンします。2人とも気持ちはあるけど部活一筋なところが共通しています。先輩、後輩の関係性などリアルな学生時代の部活事情も面白いです。 主人公の女の子が吹奏楽部でがんばる姿やそれを励ましながら、野球部でがんばるヒーローの二人の関係がピュアで凄く良かったです。若人のゆめ 羽曳野の 聖丘清く 育みてバトルスタディーズ なきぼくろstarstarstarstarstar_border酒チャビン名門・PL学園高校野球部出身の方によるPL学園マンガです! 実はわたし、あろうことかメルカリ等でPL学園の帽子やTシャツを買ったことがあるほどのPL学園ファンで、昨今活況を呈しているユーチューブ界隈のPLものはほぼ全て拝見しているのですが、その中で面白おかしく触れられていたことがそのままマンガになっております!!面白か!!! YouTubeでは卒業生の方々が、当時のことを面白おかしく話されてますが、やってる当時は信じられないくらいの苦しみがあったと思います。それを乗り越えられたのはやはり甲子園優勝という目標に対する強い想いがあったからだと思いますし、そういうこの世の地獄的なところを一緒に潜り抜けてきた友達との固い絆は羨ましく、自分もかくありたいと願います。 訪れよ!困難! あとこれも大事だと思うのですが、PLの上下関係とかしきたりとかに注目が行きがちですが、肝心の野球パートもさすが名門PLでやられていた著者の方なので、かなり奥深い描写もあり、野球マンガとしてもかなりレベルが高いと思います。野球もうまくてマンガもうまいなんて、そんな方が世の中に爆誕し得るのですね。すごか!!燃やせ!ニコガクダマシイ!!ROOKIES 森田まさのりstarstarstarstarstar酒チャビンわたしはテレビ、というか動画全般があまり好きではないのですが、当時の同居人がどうしても見たがったため、こちらの作品のTVドラマ版を毎週見ていました。 あれ、なんか面白い・・・。それで手に取ってみた本作品のマンガ版!!小さい時に読んでいた「ろくでなしBLUES(ぶる〜ちゅ)」でお馴染みの森田先生による高校野球マンガ!!!最高クラスに面白すぎる!! 読んだ当時、マイベストマンガランキングの1位か2位か3位には入りました!全部スポ根ものですね!! 登場人物は基本いわゆるヤンキー系なのですが、悪いんだけれども、その代わりすごくピュアなんですよね。我が強い自己中心的なメンバーばかりでチームワークに一抹の不安を残しますが、ある試合であるメンバーがチームの勝利のため、自分に代打を出すことを承知する場面は、相鉄線の中で号泣しました。 公共交通機関内で号泣したのは人生で計4回あるのですが、そのうちの1回です。ちなみに相鉄線に乗ったのは人生でその1回(往復なので2回とも)だけなので、号泣乗車率が100%です。 今でも、どうしてもつらいなってとき、ニコガクのメンバーも頑張ってるんだから、と勇気をもらっています!!!意地で全44巻読んだぞ風光る 七三太朗 川三番地マンガトリツカレ男万年一回戦負けのチームの野球選手のモノマネが上手い補欠の野中ゆたかが元有名野球選手の君島監督に見出されて成長していく話。野中ゆたかの野球への真摯な気持ちや試合ごとの監督がどうやって選手を自主性を育てながらチームを成長していくかのマネジメントなど含めて面白かった。43巻の時点で試合がかなり盛り上がっているがあと1巻でどうやっておわるのかな?天のプラタナスとおなじ大きくなる巨人エンド?と思っていたがいい感じで終わっていた。 他の七三太朗/川三番地のマンガと同じように「意地で全44巻読んだぞ」と書いたがDreamsに比べたらかなり読みやすかった 次は4P田中くん読むかな女子野球のリアルと夢 #1巻応援オール・ザ・マーブルズ! 伊図透あうしぃ@カワイイマンガ豪速球を投げるヒョロ長い女子投手が、身体を流線形にしならせる。 野球のために、人の形を捨てて気流のように最適化されてゆく身体。現代アートのような斬新でスタイリッリュな、そして野球人の夢のような投球フォームに魅了される。 そんな彼女を見つめる主人公は、やはり女子で、ぽっちゃり目のスラッガー。冷笑系の彼女は複雑な思いで「女子が野球をやること」に揺れている。 二人は女子野球部のある高校で出会い、迷いの中で切磋琢磨し、ライバルで仲間という関係を築く。野球に恋焦がれ、高みを目指す二人の熱量に引き摺り込まれる。 女子高校野球の全国大会は、実際の会場がそのまま描かれる。女子が野球をやる事の「やりにくい空気」は複雑だが現実的……とてもリアルな描写の一方で、女子たちの野球への想いは夢のように美しいが、それ故に切なくもある。 女子野球のひりつくリアルと、焦がれる夢。そんなものでできているこの作品は、とても強い。「女性」が主人公の、野球漫画!オール・ザ・マーブルズ! 伊図透nyaeコミックビームで伊図透さんの新連載開始ー! 男性に混じり、堂々とした姿でマウンドにたつ、第一話ではほとんど顔もはっきりと描かれない主人公と思わしき女性。 そして、彼女のかつてのチームメイトと思われる女性たちが、彼女の投球フォームを見てなぜか涙を流したり「裏切り」というワードが出てきたりと… ここに来るまでは一筋縄ではなかったと思われる過去を背負っているようです。 オリンピック競技から野球が落とされたということを発端に、純粋にただただ「野球がやりたい」という女性たちの意思に反して運命が翻弄されてゆく、という感じでしょうか。 まだつかみどころが見えないのが正直なところですが、期待しております。 ドン・ボルカンの感想 #推しを3行で推すドン・ボルカン 次原隆二マンガトリツカレ男・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ 30年以上タイトルを間違って覚えていた・・・そういやこせきこうじの「ペナントレース やまだたいちの奇蹟」と同時期ぐらいにやっていて野球漫画が多いなと思っていたな ・特に好きなところは? 昔はわからなかったがジャンプっぽくない人情話が多いところ。あの時代のジャンプに人情話は難しいだろ ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! 小学生当時に読んだ時よりも面白かったな。全二巻とあるが正式には全1.5巻ぐらいで二巻に読切が2作入っていたけどそれも面白かった。 選手を見る目ドラフトキング クロマツテツロウ父日本のプロ野球が好きでよく見ています。雑誌で紹介されていて興味を持って読ませいただきましたが、面白かった!今までスカウトを主人公にしたマンガってあったのでしょうか?フィクションですが、「こんなスカウトいそう」と思いながら楽しく読みました。野球はしない女子野球漫画いにんぐ! 茶麻野愛野球は好きか嫌いかでいうとまあ好きなほうです。でも欠かさず見るわけではないし詳しくもないです。そんな人でも楽しめる、もちろんガチ勢もミリしら勢も楽しめる女子野球部漫画です。 部長のさくら、野球知識ゼロのゆま、新入部員のかなえ。以上3人が女子野球部です。3人しかいないので野球はできません。応援も観戦もしません。モノマネはめちゃめちゃします。 元ネタがわからないものもありますが、女子高生が渋い野球モノマネしてる時点で面白いんですよね。愛の深さは伝わります。 ゆまに1から野球のルールを教える回があるので野球知識ゼロの人も楽しめると思います。 投手は何する人かわかりますか? これがホームベースです という地点から説明してくれるのでめちゃくちゃ親切です。ぶっとび!潤二郎の感想 #推しを3行で推すぶっとび!潤二郎 真船一雄starstarstarstar_borderstar_borderマンガトリツカレ男・読んだ直後に思ったこと ※一番大事!※ ツッコミや表情に小林まことの「1・2の三四郎」っぽさを感じる。 ・特に好きなところは? 昔の漫画でよくある「主人公がスポーツができるが事情があってそのスポーツをやらずに他のスポーツを初めて仲間や過去のライバルが増えていく」のがいいね ・作品の応援や未読の方へオススメする一言! 80年代のマガジン漫画が好きならおすすめ 「雷神〜RISING〜」も好きだったので作者にはもう一回野球マンガを描いて欲しい初めて「クワドラプル」という言葉を覚えた『銀のロマンティック…わはは』について甲子園の空に笑え! 川原泉兎来栄寿北京の冬季五輪では、羽生結弦選手が挑戦した前人未到のクワドラプルアクセルが大きな話題になりました。 私が「クワドラプル」という言葉を知ったのは、川原泉さんの『銀のロマンティック…わはは』でした。 川原泉ファンの間でも屈指の名作とされており、花とゆめコミックス版では単巻で発売されていたのですが、電子化されているのは文庫版『甲子園の空に笑え!』の中に収録されているものだけです。『川原泉傑作集 ワタシの川原泉』というシリーズの3巻にも収録されていますが、こちらも紙版書籍のみとなっており、電書派の方からは非常に見付かりにくくなっていると思うので、これを機に紹介しておきます (『甲子園の空に笑え』自体や「ゲートボール殺人事件」も面白いのですが、そちらは別で非常に熱いクチコミが書かれていますのでそちらをご参照ください)。 本作は、元々スピードスケートの選手だったものの競技中に怪我をしてしまいフィギュアに転向することになった影浦忍と、父親が世界的な天才バレエダンサーでありながら母から教わったスケートの方が好きで初のジャンプでトリプルアクセルを飛べてしまう才能を持つ由良更紗の二人がペアを組み、ペアスケートという道で戦っていく物語です。 この作品が書かれた1986年には、まだ公式戦でクワドラプルを成功させた選手は現れていませんでした。それから2年後、カナダのカート・ブラウニング選手が1988年の世界選手権で初めて4回転トウループを成功させることとなります。伊藤みどりさんがトリプルアクセルを決めて世界を沸かせて本格的なスケートブームが日本に訪れるのもその後の時期です。川原さんがフィギュアスケートを題材として選び、(「アーティスティック・インプレッション」など現在では採用されていない基準ですが) ルールの解らない読者にも懇切丁寧な解説を挟みながら、クワドラプルに挑戦していく様を時代を少し先取りして描いたのは流石の慧眼と言うべきでしょう。 本作のみならず川原泉作品に通底する特徴としてシリアスとギャグのバランスの良さが挙げらます。中でも、この作品は特に抜群です。時にメインキャラクターが酷い境遇であったり、理不尽が襲い掛かったりするのですが、抜け感のすごい絵柄によって悲しみが緩和されながらも心の奥底にはしっかりと届く作りとなっています。シリアスな絵柄と混ざり合い、しかし決めのようなシーンでも絵が抜けているところはあり、それでいて深い感動を与えられる……。こんなにも軽やかでありながら沁みるマンガを描ける人はそうそういません。「川原節」と言うべき、独特の読み味を実現しています。 元々はB6サイズ1冊に収まるお話ですが、その分テンポも良く充実感も大きく、何度も何度も読み返したくなる名作です。 時代は移り変わり、とうとうクワドラプルアクセルを現実に行う選手が現れたことに目を細めながら、クワドラプルという単語を聞くといつもこの作品の「ある見開き」と、最後の二人の表情を思い出さずにはいられないのです。<<12345>>