江戸時代マンガの感想・レビュー161件<<12345>>がんばれ蔦屋ちゃん江戸の蔦屋さん 桐丸ゆい名無し蔦屋重三郎という人物は、 知っている人は知っている、というか、 もしかしたら謎の天才浮世絵師・写楽を 世に送り出した版元の経営者として 有名な人物かもしれません。 しかしただそれだけの人物ではなく、 今よりも娯楽が限られていた、というか 生活するだけで色々と大変で、という時代に 各種娯楽をプロデュースして世に送り出し、 それを生業として繁盛させており、なかなかの ヤリ手ビジネスマンだったと言えるでしょう。 そういうヤリ手、切れ者というと、マンガ的には 大人物でセンスがあってそれでいて金銭感覚がシビア、 という少しクールな完璧人間に描かれがちです。 しかし、この漫画の蔦屋重三郎は「蔦屋ちゃん」とでも 呼びたくなるようなカワイイキャラに描かれています。 他の登場人物(とくに歌麿)に振り回されますし。 作者の桐丸ゆい先生が江戸文化を愛する方らしく、 史実にそった範囲の中で、蔦屋、歌麿、写楽などの 喜怒哀楽に満ちた江戸生活が愛らしく描かれています。 吉原が舞台の話もあります。 なんせ吉原ですから光と影というか、陰鬱な部分も 実際には存在したでしょうけれど、 このマンガは良い意味で江戸文化の愛すべき部分を カワイイ絵で描いていて、明るく楽しめるマンガです。 ゴロゴロしてばかりで働かない歌麿や 吉原で女郎として働く女性たちなどを描きながら。 江戸文化の良い面を味わえるマンガだと思います。"2008年の江戸"が舞台ちょっと江戸まで 津田雅美nyae津田雅美先生は「色んな意味で無敵な人」を描くのが上手いな−と思います。主人公たちが最初から最後まで不幸な目に合わない。 ショックを受けるような展開は絶対にないし、悪役が出てきても絶対に読者に嫌われないように考えている。 どうしてもカレカノという絶対的不動の代表作があるので比べてしまうのは仕方ないのですが、これは津田先生の新境地というか、圧倒的振り幅の広さを見せられてるということなんだと思います。要するに津田先生ってめちゃくちゃすごい。 多分新人作家が同じストーリーを編集部に持っていっても通らないと思うんですよね。恋愛要素はあるにはあるけど二の次、いや三の次?かなというくらいですし、情報量がとにかく多い。でも細かい部分は飛ばして読んでも全く問題ない作りになっています。 江戸時代が現代まで続いているという設定で、それだけだと何だそれはという感じなんですが、違和感ないんですよね。やっぱり凄い。 あとこれはあくまでもおまけですが、ちょっと江戸までの世界にカレカノの2人がいたら…というパラレルワールドな短編も載ってます。これは必読でしょう…!その意気や良し大江戸恐龍伝 夢枕獏 やまあき道屯(とりあえず)名無し夢枕獏の小説は、漫画化してもあまり売れない…と、昔、知り合いの漫画関係者から聞いたことがある。 いやいやいやいや、岡野玲子との『陰陽師』があるし、谷口ジローとの『神々の山嶺』は名作だし、板垣恵介との『餓狼伝』だって売れたでしょ!…と反論したのだが、先方は「そうなんだけどねえ…」と言葉を濁した。 (ちなみに、この会話は「それに比べると菊地秀行の漫画化は数字的にかなり手堅い」と続いた。その比較について考えるのはとても興味深いのだが、このクチコミと主旨がズレまくるので触れない) 実は彼とは、かつてボクシングについても同じようなやり取りをしたことがある。 ボクシング漫画って売れないんだよねえ…と言われ、いやいやいやいや、『あしたのジョー』や『がんばれ元気』や『はじめの一歩』とか、ド名作があるじゃない!…と反論したのだ。だが彼は「いや、それはそうなんだけどね。でも、漫画家は描きたがるんだけど、かなり実力がある人でも、あまり上手くいかないんだよ」と答えた。 「夢枕獏」や「ボクシング」は、多くの漫画家がそれに魅了され、漫画にしたいと願い、そして実際に挑戦するのだが、作品的にもセールス的にもなかなか送り手が期待するような結果にならない、と言うのだ。 そう考えると、確かに、夢枕の小説が持つ破天荒な面白さを、漫画というフィールドに結実し得た作品というのは、あまり思い浮かばない。 上記三作はそれぞれの漫画家の類い稀な個性によって「面白く」なったのだが、あくまで「例外」ということなのか。 そういう意味では、スティーブン・キングの映画化と近いかもしれない。 (ちなみに、ボクシングについても、「村上もとか『ヘヴィ』や細野不二彦『太郎』といった意欲作が彼らの豊かなキャリアの中でどんな位置か」とか、「明らかにボクシング漫画を指向していたにも関わらず森田まさのり『ろくでなしBLUES』はなぜそのジャンルとして失敗したのか」とか、「車田正美『リングにかけろ』が正統的ボクシング漫画であることを止めてから売れたのはなぜか」とかを考えるのはとても興味深いのだが、これもやはりこのクチコミと主旨がズレまくるので触れない) 前置きが長くなりすぎた。 とにかく、夢枕獏の漫画化は「難しい」のだ。 しかし多くの漫画家や編集者は、この魅力的で危険な「賭け」に、今も挑み続ける。 やまあき道屯『大江戸恐龍伝』は端倪すべからざる作品である。 原作の、江戸期のスター・キャラをズラリ並べて荒唐無稽・縦横無尽に突っ走る面白さに、漫画家は必死に喰らいついている。 構成は少しダイジェスト感があり、いかんせん詰め込みすぎではあるのだが、熱気と主張ある絵柄で美事なコミカライズとなっていると思う。 近年の収穫と呼ぶに相応しい力作だと信じる。愛を語るならば先ずはこれを読まれよ鉄門海上人伝 とみ新蔵かしこ愛と狂気は紙一重。ついそんなことを思ってしまいながら読み終わりました。村の荒くれ者がふとしたことで人を殺してしまい、惚れた女と泣く泣く別れ、仏門に入り、旅をする中で人々を助け、最後には即身仏になる…。なんとも激しい一生ですが、その昔に実在した人物なんですね。てっきりとみ新蔵先生の演出だと思っていた信じられない展開の数々が実話だとは。1970年に「週刊女性」で連載され、部数増加に貢献するほど人気だったということにも驚きましたが、当時の主婦の方々がハマった理由はなんとなく分かる気がします。まず劇画タッチで描かれる鉄門海上人が男らしくてカッコいい。あと惚れた男が僧侶になった女の心情を綺麗事ばかりじゃなく描いてるところがいい。私も「こんなのもらったってどうしようもないんじゃ!」と思いましたもんね。いやでも二人の愛は本物です。最後にはこんな成就の仕方があるのかと感動しました。 マンガ自体も面白いが勉強になる公家侍秘録 高瀬理恵マンガトリツカレ男江戸時代後期の京都が舞台で日野西家の心優しき当主・晴季と食いしん坊姫・薫子に仕える青侍の天野守武の三人が中心に物語が進む。主人公は天野守武で青侍とは別に日野西家に代々伝わる宝刀『粟田口久国』を守る《刀守り》の役目があった。刀守りとしての仕事もあり、貧乏公家を支える仕事や同じ「守り仲間」の話など話数が短いのでテンポよく読めるしので全く飽きなかった。あと薫子が食う甘味がどれもむちゃくちゃうまそう 公家の言葉や文化なども細かく紹介されてたので公家のことを知るいい機会だった。 「刀守り」という仕事は実際にあったのかなかったのかが最後までわからんかった。個人的には存在して現代まで生き残っていて欲しい職業だし、これからどんどん新しい《○○守り》が出てきて後の世の中に一つでも多く残して欲しいものだ。 全然話は変わるけど、この作者のマンガが好きで20年以上読んでいて、小学館新人コミック大賞・1993年度前期一般部門受賞作【上意】や文藝春秋増刊のも持ってる。 料理もさることながら150年前の武士と現代の女性との邂逅が面白い半助喰物帖 草香去来 灯まりも名無し150年前の武士が井戸に落ちて、現代の東京にタイムスリップしてくるといった所で、どんな料理を作るのか気になって手に取りました。 半助さんの反応がいちいち面白く、すごく適応力が高い人だな〜と思いました。 歴史を知る楽しみ、料理のレシピを知る楽しみもありますが、全体を通して気持ちがあたたかくなる作品です。人体破壊表現のひとつの到達点いちげき 松本次郎 永井義男ANAGUMA古今東西のマンガで人間の体は多種多様な表現でブッ壊されてきました。 本作では農民上がりの一撃隊が使う粗削りの剣術と 殺しのプロであるサムライの剣筋とが描き分けられていて 重い、鋭い、強い、痛い、などキャラが食らった斬撃が どんなものだったのかが一発で伝わってきます。 それによって損壊される身体も 気持ちよくデフォルメされてるかと思えば、痛々しく醜いほどに写実的に描かれたりとさまざま。 目まぐるしい物語の状況変化や、キャラクターがどんな感情を抱えているのかが ときどきで破壊される身体の表現によって語られていくのです。 ただカッコイイわけでも、ただグロいわけでも、ただリアルなわけでもない。 「人を斬る」ことを真摯に捉えた表現が本作には描かれています。スペリオールの大ヒット時代劇アクションあずみ 小山ゆうくまぞうスペリオールの大ヒット時代劇アクションです。小山ゆうの作品はどれも面白いのですが、一つ選べと言われたら、月並みながら「あずみ」を選びますね。 なんと言っても主人公・あずみのキャラクター性が抜群に素晴らしいです。純粋さと鬼神のような強さが同居した精神性が好きですね。過酷な運命を乗り越え、成長する度に菩薩のような神々しさをあずみから感じました。作品内で、自分からあずみに殺されたがる者達がいたのもの頷けます。 ここまで生死観の突き抜けたヒロインはなかなかいないでしょう。まだ読んでいない方は、絵のクセや、巻数の長さに躊躇せずに是非読んでほしいですね。本多忠勝、参上!武蔵vs信長!姫路城リビングデッド 漆原玖名無し戦国武将マニアとか歴女とか御城マニアとか、 最近はかなりマニアックな趣味を堪能している方々が いらっしゃるようで。 自分はまったくそっちの知識も興味もありません。 東海地方在住でもあり、一般知識にプラスアルファで 郷土の武将達に少しだけ知識があるくらいで。 プロレスラーの藤波さんが御城マニアだそうで、 有名人が自分のマイホームについて語る 「俺の城」というTV番組から出演依頼が来たら 名古屋城とか松本城とか、御城について好きなだけ 語れる番組だと思って出演を快諾したとか。 そういう話を聞いても、あきれるというか なんでそこまで戦国時代に思いいれができる人がいるかな、と 疑問を感じるしかないのですが・・ 「姫路城リビングデッド」は、そんな私でも 冒頭の数ページを読んだだけで、 ああ御城って建造物としても凄いし、 大勢の人が色々な思いを込めて築城し、 何をどう考えて構築して、それを攻略するならどうしたらいいか、 そんな風に考え出したら止まらなくなる存在なんだな、 そう感じました。 確かに色々と浪漫を感じる存在だな、と。 そして最期まで読んで感じたのは 御城とは人民を守るためのもの、ということ。 けして城主の威光や権力の象徴ではない。 マニアが興味をもつにたる存在なのだな、ということ。 徳川が日本を平定し、太平の世が始まりかけたとき、 突然にゾンビが姫路城を襲ってくる。 しかも数十年前に死んだはずの信玄、謙信、信長などが 指揮をとり自らが先陣を切って攻め込んでくる。 迎え撃つのは伊賀忍者の末裔だったり宮本武蔵やその弟子。 そして城の守り神の依り代的な、城マニアの町民。 漆原先生が描く、その激闘シーンがこれまた凄くカッコイイ。 後に唐突に登場する本多忠勝なんて (イチ地元民としての偏見ですが) 料亭・柿安の前で銅像になって座っているだけの人 という印象しかなかったが、なんてカッコ良いんだ! 史実と浪漫がゴッタ煮になって沸騰しているような熱い漫画。 けれどストーリーはしっかりとしていて ただのトンデモ話ではない、よく出来た話が展開する。 戦国時代にリアルを求める人にも、浪漫を求める人にも、 SFチックなエンタメ的な面白さが好きな人にも、 是非とも読んでみていただきたい漫画。 きっと、それぞれ独特な感想を抱くと思います。子供にも大人にも勧めたい土砂どめ奉行ものがたり 青木朋ナベテツ昔々あるところに、というナレーションが頭に流れてくるのはある年代以上のような気もしますが、近世の日本を舞台にしたお伽噺であり、また史料に基づいた良作でした。 作者の青木朋先生は、中国に材を取った歴史漫画を描いていたり、あるいは現代舞台のミステリを描いたり幅広く作品を描かれていますが、この漫画は大人から子供まで楽しめる良い漫画だと思っています。 現代の日本に生きている自分達は、水で苦労することなんて恐らくほぼない訳ですが、近代以前において水利というものがどれだけ大切だったのか教えてくれますし、お上と庶民という感覚は日本では変わらないのかなあと想像したりもします。柔らかく可愛らしい絵柄で読みやすく、良作として薦められる漫画です。エンターテイメントの教科書子連れ狼 小池一夫 小島剛夕名無し漫画原作者、小池一夫さんの代表作の一つです。小池さんは1970年代から「劇画村塾」という漫画家の養成塾を開設され、数多くの門下生に対して指導なされました。ここから高橋留美子、板垣恵介など多くの漫画作家が育ちました。 小池さんによると漫画で一番重要なのはキャラクターです。小池さんはこの「子連れ狼」を題材に、どうやってキャラクターを作るのか「キャラクター創造論」などで解説しており、エンターテイメントの教科書と言っていいでしょう。ごんぶと眉毛のネコが飯を食うめしねこ 大江戸食楽猫物語 木村わさび鯉太郎ネコ漫画であり、グルメ漫画であり、江戸人情漫画でもあります!どの観点から読んでも面白いってすごいなと思います。毎回登場するごんぶと眉毛ネコの食欲丸出しの様子が笑えます。文字通り「ハニャ〜ン♡」してるのがいいです。姫路城 対 ゾンビ姫路城リビングデッド 漆原玖名無し戦国時代が終わり、徳川の世になってしばらく経った頃の時代劇漫画です。 主人公は城マニアの農民で、やたらと姫路城について知っていて、訪ねてくるお偉いさんに説明したり、ゾンビが襲ってきたときも地の利を生かした戦いを説明してくれます。 40年ほど前になくなったはずの上杉謙信や武田信玄などがゾンビとなって姫路城を侵略するのがアツい。 【ふらんき砲】など昔使われていた兵器なども登場したり、今までに見たこともない時代劇でのゾンビとの闘いという組み合わせがワクワクしておもしろい。主役交代!?“伊織伝”我間乱-修羅- 中丸洋介名無し週刊少年マガジンで4年続いた「我間乱」の続編。 それなりに人気のあった作品ながらも終盤の黒鉄陣介率いる無宝流との戦いはかなり駆け足で消化不良だっただけに我間乱が好きだった方には待望の続編と言っていいだろう。 今回の主人公は陣介の愛弟子で我間の兄弟子でもある“伊織”。前作の主人公の我間は遅れて3巻からの登場になる。 前述した通り前作は打ちきりに近く駆け足で終盤消化回収できなかった伏線や謎を回収しているのには好感がもてる。 前作のもう1人の兄弟子であり実力者“真ノ丞”が大会には参加しないが、伏線を持ったまま活躍しなかったキャラクターの再登場や新キャラクターの登場もあるのはファンには嬉しいところ。 我間がラスボスになるか、新キャラがラスボスになるかはまだ現段階では予測できない展開のため、今後の展開を予想しながら読むのがオススメといえる。蕎麦が食べたくなる、正統派時代劇!そば屋幻庵 かどたひろし 梶研吾名無しそば屋、といっても普通のおそば屋さんではありません。めったに店が出ない神出鬼没の屋台のおそば屋さん。その店主も有能だった元旗本が早隠居して、家族に隠れて商っているという異色の存在。そんなそば屋のまわりでおこるいろいろな事件を、主人公の牧野がそば屋の店主として、また以前の人脈や剣の腕で解決していくお話。武家の顔と町人の顔を使い分ける主人公はかっこいい!家族や周りの人に正体がバレそうになったり、実際バレてしまったりするのもまた楽しい。ストーリーそのものは昔ながらの時代劇を見ているような勧善懲悪展開が気持ちいい!またそば屋で出すおそばも楽しみの一つ。主人公が結構なそば馬鹿で、屋台で出すそばが毎回工夫が重ねられているので、読んでるとそばを食べたくなります。絵も綺麗でテンポも良く、すいすいと読み進められる名作だと思います。初期の卍さん強すぎ無限の住人 沙村広明名無し目にも止まらぬ速さで、一瞬で相手を切り捨てまくる初期の卍さん好き。 スピード、パワー、テクニックどれを取っても逸刀流を上回ってる。 本当はもっと強いのに、凛と暮らしてる間に弱体化したんだと思う。心が温かくなる素敵な料理人情噺みをつくし料理帖 高田郁 岡田理知名無し両親を失い、天涯孤独となった澪は江戸へ向かい、神田の蕎麦屋「つる屋」で働き始めますが、腰を痛めた店主に頼まれて、ついには雇われ店主になることに。若くして苦労人の澪ですが、いつでも健気で一生懸命、「つる屋」を守りたい、そして美味しい食事を町の人たちに食べてもらいたいという一心で料理にも取り組む姿が、作品を読んでいてとても愛おしくなります。下がり眉で、ちょっと天然な澪と周囲の人々の繰り広げるドラマの数々にも、人情に触れてジーンときたり、時には笑わされたり、憧れの人への恋心にほっこりしたり、と温かい気持ちになりました。世知辛い世の中にふと疲れた時に、美味しそうな料理と、人の心の温かみに触れられ、しばしの癒しを得られる素敵な作品です。今読んでも色褪せていない名作子連れ狼 小池一夫 小島剛夕名無し劇画漫画の代表作ともいえる『子連れ狼』。かつて、萬屋錦之助さん主演でTVドラマ化されましたが、小池一夫氏の原作に忠実な演出であったとしても、小島剛夕氏の描く絵の世界観は残念ながら再現しきれていませんでした。TVドラマ版の「子連れ狼」を観ていた方々には、今からでも遅くないので、この原作を読んで頂きたい思える作品です。特に柳生との最終決戦となる後半に繋がる前半の展開が最高ですので是非!弥次喜多 in DEEP弥次喜多 in DEEP しりあがり寿名無しまず、絵柄で好き嫌いがあるかと思います。私も始めは苦手な絵だなと思って読んでいたのですが、世界観が幻想的で不可思議なギャグに笑いつつ、心動かされ、ハマっていきました。作品世界にどっぷりつかれて濃密な体験ができる漫画です。絵で読む雪と松 高橋秀武華子コマ割りが独特、吹き出しが独特、絵柄も大凡BL作品とは思えない劇画チックさで、読む人を選ぶ作家なのかな?と思いますが、ワタシ個人的には大好きです。 1ページ四コマ、台詞は少な目ですが、一コマ一コマが一枚の絵として成り立っており、絵を読む漫画では無いかと思います。 BL漫画といえば、性描写が近年露骨になっており、もはやポルノじゃないのか?と思えるモノが多いのですが、高橋秀武の描写の素晴らしい事。 漫画なのに比喩(波)で表現されたそれを初めて見たときは、はっとさせられました。 またギリシャ彫刻かよ、とみまごう描写により、ポルノ的なエロさを感じないのです。 あえていうなら、芸術的エロス。 恐らく、ご本人もそのあたりを目論んで描いているのではないかと思うのですが、いかがでしょうか?(知りませんね…) ラストシーンはものすごく良かったです。 時代に流されぬ、二人の深い愛を感じました。 天才か。時代モノ少女漫画にしてはすごく読みやすい青楼オペラ 桜小路かのこ名無し吉原というからには話し方も独特で独特な文化もあるはずなのに、盛り上がりそのままにわかりやすく読みやすい! 少女漫画要素もありつつ時代物を取り入れてあるの難しいのにすごいなと思います。 ペラッペラな内容になるか逆に難しくて感情移入できないかその塩梅が絶妙では?! 気丈で気骨のある少女が大人な顔で笑うシーンがすごくいいですね。 ちゃんと主人公にフォーカス当たるし、展開に置いての感情の起伏が納得できるし面白いと思います!恋愛、時代、サスペンス、全部楽しめる。青楼オペラ 桜小路かのこ名無し武家から吉原に入った主人公の茜が、意思が強くて賢くて、そどよく愛嬌もあるのが素敵です。カッコイイ男たちに守られる設定だけど、嫌味に感じません。 人物も着物も、建物もしっかり描かれていて、きれいだし、世界に入り込めます。漫画の所々に入ってくる、吉原のしきたりや時代の説明もありがたい。 茜の恋ががどうなるのかだけじゃなく、事件の真相も追うストーリーなので、恋愛物、時代物、サスペンス的な面白さも全て楽しめると思います。原作が残したマンガへの影響バジリスク~甲賀忍法帖~ せがわまさき 山田風太郎せのおです( ˘ω˘ )2/22のマンバ読書会「忍者マンガ&マンガにでてくるネコ」の時に、ゲストの兎来さんのトークでとっても興味を持ったので読んでみました! 以下はトークショーで教えてもらったことですが、原作がなんと1959年。 しかし、60年以上も前の作品とは思えない、奇抜で斬新なキャラクターと忍法、展開の読めない10対10のチーム戦、そして伊賀と甲賀の一族を超えた想い…! 現代のマンガにも多く用いられている物語のテーマやキャラクター設定が本当に盛り沢山!! マンバ読書会のトークショーで兎来さんは、「この作品がなければNARUTO、ONE PIECE、H×Hやジョジョも生まれていなかった」とおっしゃっていましたが、まさにその通りだと思いました!! 2003年から連載が始まったこちらのマンガですが、…かなり夢中になって一気読みしてしまいました。 絵がとにかく美しくて素晴らしい、、!! 少女漫画が大好きで、普段女性向けの作品を読んでいる私なので、 せがわまさき先生のお名前や作品名は知っていたものの、まず読むきっかけが全くありませんでした(笑)が、 今はとにかく読了後のあのラストの余韻と、こんな素晴らしい作品を読むきっかけをくれたマンバ読書会と兎来さんに感謝の気持ちでいっぱいです…!!あの小山ゆう先生の新作‼颯汰の国 小山ゆうネギゾー「お~い!竜馬」で有名な小山ゆう先生の江戸時代・コミック。作画の美しさとストーリー展開のドキドキ感は相変わらずです。この先が読みたくて仕方ない。主人公の佐々木颯汰のキャラクターも天才的。<<12345>>
蔦屋重三郎という人物は、 知っている人は知っている、というか、 もしかしたら謎の天才浮世絵師・写楽を 世に送り出した版元の経営者として 有名な人物かもしれません。 しかしただそれだけの人物ではなく、 今よりも娯楽が限られていた、というか 生活するだけで色々と大変で、という時代に 各種娯楽をプロデュースして世に送り出し、 それを生業として繁盛させており、なかなかの ヤリ手ビジネスマンだったと言えるでしょう。 そういうヤリ手、切れ者というと、マンガ的には 大人物でセンスがあってそれでいて金銭感覚がシビア、 という少しクールな完璧人間に描かれがちです。 しかし、この漫画の蔦屋重三郎は「蔦屋ちゃん」とでも 呼びたくなるようなカワイイキャラに描かれています。 他の登場人物(とくに歌麿)に振り回されますし。 作者の桐丸ゆい先生が江戸文化を愛する方らしく、 史実にそった範囲の中で、蔦屋、歌麿、写楽などの 喜怒哀楽に満ちた江戸生活が愛らしく描かれています。 吉原が舞台の話もあります。 なんせ吉原ですから光と影というか、陰鬱な部分も 実際には存在したでしょうけれど、 このマンガは良い意味で江戸文化の愛すべき部分を カワイイ絵で描いていて、明るく楽しめるマンガです。 ゴロゴロしてばかりで働かない歌麿や 吉原で女郎として働く女性たちなどを描きながら。 江戸文化の良い面を味わえるマンガだと思います。