完結したマンガの感想・レビュー16033件<<618619620621622>>もしあなたが死んでも、残されたみんなで「町は廻っていく」それでも町は廻っている 石黒正数南 光裕「それでも町は廻っている」 みんな仲良く手をとって生きているんだね、という意味だと思っていたが、違っていた。 ラストは、これまでにも何度か出てきたSF的シチュエーション。 「もしも自分がこの世に存在していなかったら」 もし自分が存在しなくても「それでも町は廻っている」 もし自分が死んでも、残されたみんなによって「町は廻っていく」 自分がいなくても、みんなほかの家族と、友人と、楽しく生活できる。その事実が怖い。自分は不要なのか、と考えることが怖い。怖くて面白い。 だから何度か似た話が出てくる。 タイトルに含まれた怖さに、最終巻にして気づいた。マンガの可能性に挑戦してるまかろにスイッチ 川田大智名無しこういうメタなやつ、あると言えばあるけど、楽しめた。メガ澤が可愛い。スマホ向けの作品も挑戦して欲しい〜。山下和美が数寄屋を建てるまでのエッセイコミック数寄です! 山下和美リョーコ山下和美初のエッセイコミック。建築家の蔵田さんと出会い数寄屋造りの家を建てるまでの話。 土地を選び値切りをして…っていうところから始まっているので数寄屋に限らずこれから家を建てようと思う人にもいいかも。毎話終わるごとに蔵田さんのコラムがあって家とかについて学べるのも嬉しい。 同時に山下和美の私生活とか漫画家生活が垣間見えるのでエッセイとしてもとても面白いし、中盤山下和美と蔵田さんの会話が「お金がないからコストダウンしてね!」っていうのが半分くらいを占めていたりして楽しい。みんなで100ツッコミを目指すトピT-DRAGON 桜谷シュウキンタマーニ※ネタバレを含むクチコミです。 不倫×グルメ!不倫食堂 山口譲司まーくんタイトルを見ただけでは、グルメ要素低めと思っていましたが、ほぼグルメ漫画、ときどき不倫です。主人公が出張先のグルメを食べるんですが、あまり東京住みでは知らないようなものを食べるので、こんなものが有名なんだと知れて、どこか旅行に行きたくなります。不倫するのも地方の女性なんですが、訛っている地方の女性もいいなぁ・・・と思っちゃいますね。散りばめられた伏線が見事に繋がっていくこぐまレンサ ロクニシコージ名無し「こぐま」という謎の少女と、色々な人が出会い、不思議な出来事に巻き込まれていく物語。 ヤンマガで連載していたので、読んでいたはずなのだがまったく記憶がない…。 あらためて読み直してみたらストーリー構成の巧みさがキラリと光る良い作品だった。 各話に伏線や繋がりがあるので、一度読んだあともじっくり読み返すのも良い。20年くらい前の作品なんだな。。ワガランナァー 羽生生純名無し4人のホームレスが毎回くだらないことをする話。友達から借りて読んで面白かった記憶があったんだけど、改めて読むと当時を知らないと笑えないネタとか、今は陳腐化してしまったネタがあり、時の試練を感じた。まぁでもそんなことは気にせずに楽しめるし「わがらんなぁー」て言いたくなるよ。 ひと夏の田舎×青春群像劇青夏 Ao-Natsu 南波あつこmampukuワイルドで無鉄砲な都会娘とクールで硬派な田舎イケメンという逆・君の名はみたいなギャップな組み合わせも面白いけれど 恋のライバルがライバルと呼ぶにはあまりにも強大過ぎて、なかなかに燃える展開ですね。 素直でまっすぐな主人公を応援したくなります。踊り子はうしろめたい職業じゃない池袋レインボー劇場 えりちんひろりんぬストリップ劇場の踊り子の話。世間的にはうしろめたいというか、大きな声で言えない仕事ではあるんだろうけど、そういうことがあまり気にならない。主人公の回りの人もふくめ、楽しんで踊り子やってるのがみててすがすがしいというかワクワクする。 とはいえそんな世間の目?みたいなのにぶつかったりすることもあり…まだ3巻なので続きが楽しみ。透明な膜で外界から隔離されてしまった町で閉じ込められながら生きていく人たちの話花井沢町公民館便り ヤマシタトモコ地獄の田中シェルターとか刑務所として使うために開発中だった技術の事故に巻き込まれて、生きているものを通さないようにする透明な膜で町が覆われてしまった。復旧のめどは立たず町から出られずに生きていく人々の話。短い短編がちょっとだけ繋がっている形で描かれている。 閉鎖された空間で生きていかなければいけない閉塞感や、色々な可能性(職業とか)を強引に閉ざされてしまった感じとか、その中でちょっとした生きがいを見つける感じの心理的なところをかなり緻密に描いていて、さすがヤマシタトモコと思った。 この漫画の主軸にもなっている希のストーリーだけど、外の世界に恋人がいてどうしても触れ合えない悲しみをそのまま描いているのでかなり心にきました。 壮大な近未来パンデミックファンタジー 未完だが読む価値はあるセラフィム 2億6661万3336の翼 《増補復刻版》 今敏 押井守名無し押井守原作、今敏作画の超ビッグタッグ。緻密な打ち合わせを元に描かれる壮大なストーリーが繰り広げられているが巨匠が2人いればやはり対立は起こってしまうようで休載になったまま今敏が急逝。未完のまま幕をおろしてしまった。 人に天使のような羽を生やす奇病「天使病」が蔓延した世界で、防疫をきっかけに世界的な紛争が発生。WHOのものと2人の研究員と1人の少女、そして犬が中国の奥部へ調査を命じられた。どうやらそこに「天使病」の秘密を解く鍵があったようだが、残念ながらそこまでストーリーは描かれていない。本当に惜しい。 ただ、壮大な世界観と漂う緊張感にはそれだけで一読の価値がある。2人で描いたものはやはり2人でなければ描けないのもわかるが押井守には続きをやってほしいなぁと心から思う。最新生理学を含めたミステリーホラーギフト± ナガテユカアーネスト佐藤ひとりの謎多き女子高校生が、行きがかりに受けた依頼で社会のクズを解体し、臓器を取り出し、分配するミステリーホラー。実際にあった事件をモチーフにしたエピソードや闇ネット社会ネタがあり、キャラが美人やイケメンの為にそのギャップで鳥肌が立つ。物語の進行上、最新生理学技術も出てきて、生に対する倫理感を考えされられる。果たして人造人間を創り出そうとしている人類は、神を超えられるか!ぐろいけど爽快ギフト± ナガテユカやむちゃ絵がとても綺麗なぶん、グロテスクな描写が引き立っていますので苦手な方は注意が必要です。私刑をどう捉えるかという問題にも繋がるかもしれませんが、私は悪人には裁きがあって当然だと常日頃から思っているので、この漫画はとても楽しめました。他の方も書いてらっしゃいますが、デスノートのキラ崇拝者は好きな方向性だと思います。 熱い二足歩行ロボット開発アイアンバディ 左藤真通名無し理想を曲げない零細ベンチャー企業の主人公と現実を見て大企業に進んだかつての友人。取材がしっかりしてて、今のロボット開発業界やMaker文化の話も出てくるので、その分野に興味がある人も楽しめそう。ドラマ『開拓者たち』のコミカライズ作品ハツコイ~開拓者たち~ 大崎充名無し満州移民の中でも特に気合の入った「千振開拓団」の人々の物語。長編ドラマの内容が読みやすく1巻にまとまっている。 満州引き揚げの体験は壮絶だったけども、絵柄が明るいのでそこまで辛い気持ちにはならずに済んだ。読んで気分がよくなる王道な漫画おかみさん 一丸starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男相撲部屋の若いおかみさんが主人公の漫画。ちょうど相撲がすごい流行った時期あたりに連載していた。 感動する話が多いんだが、それは無理矢理感動させようという感じでないのがいいけど相撲部屋での可愛がりが問題になる前に漫画なので、表現をきついところもある。 今連載している「七帝柔道記」も同じ感じで好き ひょんなことから分裂しちゃった女子高生がもう1人の自分と向き合ったり救われたりする話見かけの二重星 つばなくるみ割り人魚「第七女子会彷徨」「ホブゴブリン」のつばなの漫画。おなじみのドタバタ感は健在で、ある日通学途中に落ちていた一万円札に釣られて(フィッシングされて)謎の天才の科学実験に付き合わされる羽目になる。ワープの実験だったんだがミスで体が分裂し、もう1人の自分が誕生してしまうという話。 どこか抜けているけど根が素直でいい子なことが幸いしてもう1人の自分と初めはうまくやるんだけど、好きな男を取り合ったりして徐々に亀裂が走ったり、本物と偽物のの区別とかでまた諍いみたいなものが生まれそうになったりして、ちょっとシリアスなところもあるが、本物と偽物が別々の仕方で相手のことを大切な存在だと確かめた結果、見事な大団円のフィナーレを迎える。 1巻完結で読みやすいし、ふんわりとしたSF要素が読んでいて楽しいし読後感も良かった。カルム王子とかいうパーフェクト王子砂漠のハレム 夢木みつるmampukuカルム王子とかいうパーフェクト王子がとにかくカッコイイんですが、何より面白いのが一国の王子とは思えない程ぶっ飛んだ行動力。 女装して後宮に忍び込む、下水に落ちた側妻を泳いで助ける、ライバルの結婚式から花嫁を強奪する、馬車で攫われた妻を馬で追いかける・・・etc ミーシェはラブコメヒロインとしてはちょっと古臭い感じがするけど表情豊かでかわいい。 あとマウントの取り合いみたいなストレスフル要素があまり無いところが好き。仲良く喧嘩しな的なおっさん×少女の名作GUNSLINGER GIRL 相田裕mampuku あらすじや設定の超シリアスっぷりは作品情報を参照のこと。 序盤は、殺伐とした世界のなかでも人間らしく生きようとする少女たちと、彼女らを見守る大人たちの比較的おだやかな日常に軸足を置いた、一種の「終末モノ」っぽい雰囲気。それが物語後半、情勢が悪化することで一変してしまう。 かなり鬱度が高いので、悲し涙を流したくない人は途中で読むのやめたほうがいいかも。 きんぎょすくってごらん 大谷紀子大トロ金魚の豆知識が身に付きます。キャラクターも魅力的です。 今年の春に読んだのですが、早く金魚すくいをやってみたくて夏が待ちきれません。よくあるパターンかもしれないけど好き水滸伝 横山光輝starstarstarstarstar_borderマンガトリツカレ男中国の有名な小説の水滸伝を漫画化した。 内容はわかりやすくて、お互い立場が違う剣豪/英雄/軍師/道士たちが、色々あって梁山泊に108人集まって世の中の為に戦う。 漫画版は小説に比べてスピード感があって読みやすい。ただだいぶ削っている部分や、最後の方がすごい簡単に終わってしまうのが残念 今更だけど、金瓶梅が水滸伝のスピンオフだったのに気づいたり、花栄の小李広ってキングダムの主人公李信の子孫の李広から取ってたりに気づいた。 全部いいけど「きらきらと雨」が特に良かったねぇ、ママ 池辺葵starstarstarstarstarマンガトリツカレ男全部通してよかったんだけど、個人的には「きらきらと雨」がダントツに良かった。鯛の塩釜のシーンは、実家にいた時のことを思い出してしまった.... 母にまつわる短編集ねぇ、ママ 池辺葵地獄の田中母にまつわる短編集。主人公になるのは、母だけではなく息子や娘のものも半分くらいある。『かごめかごめ』のアフターストーリーに当たると思われる作品も3つ収録されている(『ザザetヤニク』『カラスの鳴く夜にヤニクは』『アンテルメ』) 個人的に特に好きだったのは就職して独り立ちする息子をもつ母親の話の『きらきらと雨』修道院に捨てられたヤニクと母の話の『カラスの鳴く夜にヤニクは』引きこもりの息子とその母の話の『stand up』の3つ。どれも悲しかったり感動している表情がとても強烈で、表情でキャラクターの感情がめきめき伝わってきてよかった。 母の話となると、(僕は)いわゆるお涙頂戴的なのを想像してしまうが、そういうのはあまりなく普通の母親と息子娘を描きながら、その時々に感じているだろう感情を逃さず描いているから、キャラクターたちに感情移入してとても感動するような作りになっていていい短編集だった。「音」をテーマとした短編連作ききみみ図鑑 宮田紘次starstarstarstarstarひさぴよ表紙から軽音楽モノだと思いがち(というかそう勘違いしてた)だが、音を描く世界は、音楽にとどまらず幅広い。 どのストーリーも珠玉でハズレなし。 さりげなく地味だけど存在感のある音や、おどろおどろしい音の表現が良い。 各話の並び順も良かった。前後の話がお互いに引き立て合っていて、その辺りも上手かったなーと読み終えてから感じる。 8話目『凪の音』は中でも傑作! <<618619620621622>>
「それでも町は廻っている」 みんな仲良く手をとって生きているんだね、という意味だと思っていたが、違っていた。 ラストは、これまでにも何度か出てきたSF的シチュエーション。 「もしも自分がこの世に存在していなかったら」 もし自分が存在しなくても「それでも町は廻っている」 もし自分が死んでも、残されたみんなによって「町は廻っていく」 自分がいなくても、みんなほかの家族と、友人と、楽しく生活できる。その事実が怖い。自分は不要なのか、と考えることが怖い。怖くて面白い。 だから何度か似た話が出てくる。 タイトルに含まれた怖さに、最終巻にして気づいた。